症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/10/15 (金)

ニキビ・吹き出もの

漢方的な原因
漢方的にニキビの原因は大きく3つに分類されます。
(1)脾が弱っている
「便秘をするとニキビができる」
「胃の調子が悪いと肌荒れする」
という経験がある方は多いのではないでしょうか。

食べたものから血液を作る「脾(胃腸)」が元気に働いていると、綺麗な血液がたっぷり補充され、綺麗な肌の源にもなります。
しかし食べるものが悪かったり、脾の働きが弱ると毒素が溜まり、血液が汚れてしまいます。


脾が弱る原因としては、
辛いもの・油もの・味の濃いもの・甘いもの・生臭い魚の食べすぎ、飲酒の習慣など。
また、どんなに食事に気を付けていても、元々脾が弱いという方もいらっしゃると思います。


230種類以上ある漢方薬で最も種類が多いのが脾を立て直す漢方薬。
今まで胃薬や整腸剤など色々飲んだけど、いつも胃の調子が悪い…という方にも、ぴったりの漢方薬が見つかると思います。
ニキビの特徴
□ 顔面、額に多くできる
□ 胸や背中にも発生する
□ 絞り出すと白または黄色く粘った膿が出てくる
□ 紅い(わずかに紅い)
□ 頂点に黒い点々がある(老廃物が酸化すると黒くなる)
その他よく見られる症状
□ 皮膚は油を塗ったように光っている
□ 舌の色は紅い
□ 舌につく苔は薄い黄色あるいは厚くべっとりとしている
□ 喉が渇きやすい
□ 便秘
□ 黄色い尿
代表的な漢方薬
半夏瀉心湯、茵蔯蒿湯、茵蔯五苓散、防風通聖散、清上防風湯など
 
(2)肝が乱れている
ストレスや過度な感情の起伏は、気血の巡りを調節している「肝」の働きを乱します。
大人のニキビと言われるものの大半は、この「肝」の乱れが原因。

気分の落ち込み、辛いものの食べすぎ、強壮剤の飲みすぎなども拍車をかけます。

このタイプのニキビは慢性化し、良くなるのに時間がかかる場合が多いです。


根本的な改善には、ストレスの緩和や十分な休息などで「肝」をのびやかに保つことが大切。

漢方には「肝」をほぐして気血の巡りを整えていくものがたくさんあるので、ストレスと上手に付き合っていく心強い味方になります。
ニキビの特徴
□ 顔のにきびが長期にわたってある
□ 皮膚は紅色または暗紅色、紫っぽい
□ 生理がくると悪化し、月経後軽減する
その他よく見られる症状
□ 月経不順
□ 月経時には血塊・腹痛がある
□ しみ・そばかす
□ あざができやすい
□ 舌の色は暗紅または瘀斑(茶色〜紫、黒っぽい斑点がある)
□ 舌の裏側の静脈が青々と筋立っている
代表的な漢方薬
桂枝茯苓丸加薏苡仁、桃核承気湯、加味逍遙散当帰芍薬散温清飲、荊芥連翹湯など
 
(3)(1)と(2)が慢性化してこじらせている
ニキビを繰り返していたり経過が長くなると、体を流れる「気・血・津液」の流れがより悪くなります。

化膿した部分が大きく、固くなって隆起したり、局所的に大きく化膿したものが連なって、見た目にもかなり酷くなるため、悩みは大きくなっていきます。

もともとの体質が関係することが多く、飲食の不摂生やストレスなどの外的要因が拍車をかけます。


焦りすぎず根気よく続けることで、内側から少しずつ改善していくことができます。
ニキビの特徴
□ 頬部や下顎部に反転して生じ、長期間にわたって消失しない
□ 大豆大、ソラマメ大にまで増大した紫紅色の腫塊が高く隆起する
代表的な漢方薬
(1)と(2)で紹介した漢方薬の中から、何が一番原因となっているかによって1〜2剤を選択し、一つ一つ解決していくことになります。

桂枝茯苓丸加薏苡仁、芎帰調血飲第一加減、折衝飲、温胆湯、六君子湯、参苓白朮散、茵蔯蒿湯、防風通聖散など
 
漢方の外用薬「中黄膏(ちゅうおうこう)」
漢方薬の外用薬といえば紫雲膏(しうんこう)が有名ですが、ニキビの場合は中黄膏(ちゅうおうこう)がおすすめです。

一般的な効能効果は、
急性化膿性皮膚炎(はれもの)の初期、打ち身、ねんざなどの炎症症状。

清熱作用が強いため、熱症状のニキビや吹き出物に使用します。
また解毒作用があるため、患部が化膿して膿をもった場合にも使われます。


ウコンの色の黄色が衣服に着色しやすいですので、ガーゼを当てるなど気をつけて使用してください。
基本的に漢方の軟膏は厚く患部に乗せるように塗布します。

炎症が治まりニキビ跡が残った場合には紫雲膏を使用するとよいでしょう。
 
『ニキビ・吹き出もの』を根本から改善するには、漢方薬を
「スキンケアや塗り薬だと、その時はいいけどまたニキビが出てくる」
「ストレスやホルモンバランスは自分ではどうしようもない」
そんな方は漢方薬で身体の内側からきれいにするのが一番の近道です。

ニキビの原因となりやすい食生活や睡眠不足・スキンケアはなんとか努力すればできる改善策ですが、「それでもなかなか良くならない」という方も多いと思います。


漢方薬は、ホルモンバランスやストレスなど、根本的な体の中の原因から改善することができます。
「皮膚は内臓の鏡」とも言われ、繰り返すニキビの原因は、体の内側にあります。

ニキビの場合は悪いものを先に出してしまったり、根本的な胃腸を整えたり、計画的に漢方薬で体質改善を進めていくことが大切です。


漢方相談では、まずはなぜニキビを繰り返しているのか、体の中でどういうことが起こっているのかを漢方的に紐解き、お一人お一人に最適な処方を選んでいきます。

そして、そもそも体のバランスが乱れる原因は、心・食事・運動・休養・環境の乱れ。
漢方薬を飲むとともにこれらを見直していくことで、自分の良くなる力をより発揮できるようになり改善への大きな後押しとなります。

ニキビや肌荒れでお悩みの方は、ぜひ一度漢方みず堂にご相談くださいませ。