漢方みず堂ブログ

男性更年期障害(LOH症候群)と漢方

男性更年期障害(LOH症候群)と漢方

男性の年齢と体の変化

某有名薬酒メーカーのCMで、女性は7の倍数で体が変化する、というのを見た方もいらっしゃるかと思います。
実は、男性版もあり、男性の場合は8の倍数で体が変化します。
しかしながら、現代は随分と長寿になり、50〜60歳が寿命だったこの頃とはかけ離れている印象もありますね。
男性の場合は、以下の8の倍数を当てはめると老化現象が始まる40歳頃から徐々に更年期の不調が始まり、64歳頃にかけてじんわりと進行します。
現代では寿命が10〜20年は伸びているので、50歳ごろから70歳ごろが男性更年期にあたるのではないでしょうか。

↓「素問 上古天真論篇」より
8歳になると腎気が実しはじめ、歯が生え変わり、さらに成長が進む、
16歳になると腎気が盛んになり、天癸が至り、精気が充満し、子供がつくれる
24歳になると腎気は平均し、筋骨強くなり、成長は極点に
32歳になると筋骨さらに剛健に、筋肉は逞しく豊満に
40歳になると腎気は衰えはじめ、髪がぬけはじめる
48歳になると陽気が衰退し、やつれ、白髪が生える
56歳になると肝気が衰え、筋肉は動けず、天癸が枯れて精は少なくなり、
64歳になると歯も髪も抜けてしまう

男性更年期症状が起きやすいタイプ

男性・女性問わず、更年期障害は、体が老化していく過程で起こってくる症状です。
つまり、老化現象を加速させる因子があると、更年期障害が起きやすいと言えます。
大きく以下の4タイプがあります。あなたはどのタイプに当てはまりますか?

①過労・慢性疾患・不規則な生活で命を消耗させているタイプ
②胃腸が弱く、十分な栄養が体に行き渡らないタイプ
③ストレスが多いタイプ
④飲食の不摂生や運動不足で老廃物が溜まっているタイプ

①過労・慢性疾患・不規則な生活で命を消耗させているタイプ

そんな生活していたら早死にするぞ!と言われるタイプです。
多忙、重労働、慢性病、不規則な生活、過度の性生活などで命の消耗は加速されます。
また、生まれ持った生命力が弱い人も、持ちこたえられる期間が短くなります。
年齢に限らず、無理をしてきた人は、更年期症状が早めに始まることが多いです。

【症状】
頭がぼーっとする、腰痛、足がだるい、疲れやすい、頻尿、耳鳴り、寝汗、性欲がない
【おすすめの漢方】
六味地黄丸(ろくみじおうがん)、八味地黄丸(はちみじおうがん)、鹿茸(ろくじょう)、女貞子(じょていし)など

②胃腸が弱く、十分な栄養が体に行き渡らないタイプ

胃腸は食事からエネルギーや栄養を取り込み、一部は生命エネルギーとして蓄えに回されます。新しく取り込めるから、また次の日も元気に生きていけます。
胃腸の力が弱ければ、生命エネルギーを補うどころか、逆に生命エネルギーの消耗を早め、老化を進めます。

【症状】
食欲が少ない、太れない、下痢しやすい、体がだるい、前向きになれない
【おすすめの漢方】
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、六君子湯(りっくんしとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)、帰脾湯(きひとう)など

②胃腸が弱く、十分な栄養が体に行き渡らないタイプの男性更年期障害の改善例

【お客様背景】
・59歳男性
・2~3年前にご両親を亡くし、一人で生活するようになったころより、体のほてりを感じるように
・真冬の極寒でも全身がたぎるようで、すごく気持ちが悪い
・何をするにも体がだる~~く、動くのがだんだんきつくなってきた
・体温はこんなに体が熱いのに、いつも36度台。
・病院では「男性更年期」と診断されたが、特に治療するでもなく、お薬を出されるでもなく、苦しさからは解放されず
・元々胃腸が弱い
・この5年は心労もあり、体重が10kg以上落ちてしまった

【漢方的解説】
元々胃腸が弱く、ここ5年で10kgも体重が落ちているため、体の“元気”と“栄養分”の両方が損なわれてしまっている状態です。
これを漢方では「気陰両虚」と言います。
漢方では、“栄養分”は、即ち“体のうるおい”。
うるおいがないので、火を抑えることができず、燃えさかり、また熱でうるおいを乾かすという悪循環に陥っていました。
お飲みいただいたのは、夏バテで汗と一緒にうるおいやエネルギーが損なわれた時に使われる漢方です。
夏バテの漢方で男性更年期が治るなんて、西洋医学じゃちょっと考えにくいですよね!

【経過】
10日目でほてりが全くなくなり、食欲が出てきた。
けだるさがまだ少し残っていましたが、それも次第になくなった。
1か月後には、「な~んも体調で気になることはないよ!」と元気な笑顔をみせてくださいました。

③ストレスが多いタイプ

ストレスにより自律神経が乱れ、体内のペースメーカーがキャパオーバーになっている状態。生命力が弱ってくると、自律神経自体もパフォーマンスが下がります。その下がった状態で、ストレスや過度の緊張が掛かると、耐えきれなくなり仕事が渋滞。自律神経の乱れから様々な不調が起こります。

【症状】
憂鬱感、イライラ、のぼせ、動悸、多汗、口苦、脇腹が張る、めまい、頭痛、吐き気、喉のつかえ感
【おすすめの漢方】
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)、柴朴湯(さいぼくとう)、四逆散(しぎゃくさん)、抑肝散(よっかんさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)など

③ストレスが多いタイプの男性更年期障害の改善例

【お客様背景】
・50歳男性
・体力を使うお仕事でもともとは体力に自信があり
・1ヶ月前から急に体がだるくなり、気分も落ち込むようになり、夜ほてって何度か起きるようになった。
・なんだか普段の疲れとは明らかに違う。家に帰ってご飯を食べてバタンキュー。奥様も明らかに違うと感じていた。
・体形はがっちりしていて、見かけはエネルギーに満ち溢れている
・首、肩、背中のこり
・体・足が重い
・手のむくみ
・ボーっとする、立ちくらみ
・副鼻腔炎
・お天気が悪いと頭痛
・お通じは1日3回
・ストレスを感じやすい性格
・尿路結石、中性脂肪とコレステロール高い

【漢方的解説】
漢方では、その人の状態を判断していく時に、まず最初に「体力がある=実証」と「体力がない=虚証」に分けます。
尿路結石や、中性脂肪、コレステロールも高いため、普段のお客様でしたら実証タイプの漢方を飲んでいただいたと思います。ですが、ここ1ヶ月のお体の状態では、とても強い実証タイプの漢方を飲むことで余計に疲れてしまう恐れがあったため、虚証と判断しました。
体がだるい、気分の落ち込みは元気の「気」が消耗している状態です。
また、ストレスを感じやすいということは自律神経が乱れやすくなります。これまでのお客様は多少のストレスがかかっても跳ね返す力があったのが、年齢と共に体全体の力が低下し、自律神経が乱れ様々な症状が出てきていました。
したがって、まずは元気の「気」を補う漢方と、マカなどが入った男性ホルモンを整えるものを飲んでいただきました。

【経過】
1週間後、奥様はだいぶ変わってきた。と仰っていましたが、ご本人様はあまり実感がありませんでした。
2週間後、ごはんを食べてバタンキューだったのが、起きていられるようになった。夜起きないでぐっすり眠れるようになった。
1ヵ月後、一年で一番忙しかった一ヶ月を乗りこえられた。あのままだったら、きっと乗りこえられなかったと思う。と仰っていました。
現在は体調をみながら量を調節して続けていただいています。
年齢だからと諦めずお体を整えて、いつまでも元気にお過ごしいただきたいです。

④飲食の不摂生や運動不足で老廃物が溜まっているタイプ

年齢と共に代謝も下がるのに、それに見合わない過度の飲食や運動不足が続くと、脂肪やコレステロール、尿酸、どろどろ血が溜まる一方になります。これらは全身に届けるべき気血の巡りを邪魔したり、内臓の働きを低下させ、慢性病を生みます。これについては、更年期の原因の中で唯一、生活習慣で予防できることです。

【症状】
胸苦しい、体がだるい、頭が重い、思考が鈍い、胃が重い、口が粘る、痰が多い、軟便、尿が濁る、眠ってもすっきりしない
【おすすめの漢方】
温胆湯(うんたんとう)、加味温胆湯(かみうんたんとう)、茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)など

あくまでも、漢方は体質に合ったものを飲むのが一番効果的です。
特に、更年期など年齢とともに起こる心身の変化は、長く付き合っていくものだからこそ、ぴったり合うもので、これからの毎日を快適に過ごせると良いですね!

一覧へ

症状別で探す