症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2020/08/18 (火)

眠りが浅い時に飲む漢方〜疲れすぎて眠れない〜

眠りが浅いタイプの不眠
ちょっとした物音で目が覚めたり、ちょこちょこ目が覚めて、なかなか疲れが取れない。

心身の消耗が激しいと、ぐっすり眠ることができなくなります。

特に、胃腸が関係する場合と、「肝」が座っていない性格の方は心身の消耗が起きやすく、ぐっすり眠る力がなくなってしまいます。
 
胃腸が弱くて深く眠る力が不足する
胃腸が弱くて眠れないことなんてあるの〜?と思われるかもしれませんが、あるんです!

胃腸は食べ物から栄養を取り込む役割。
胃腸の力が弱く、精神活動を担う「心」に必要な栄養が届けられなかったり、心配事などで「心」の栄養の消耗が激しいと、精神活動が不安定になり、ぐっすり休まることができなくなります。

眠りが浅い他、
不安感、元気がない、貧血、食欲がない、夢が多い、ヒステリックになる
といった症状が出やすくなります。
 
代表的な漢方薬
帰脾湯(きひとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)、甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)など
おすすめの食材
胃腸を整え、精神的に安定させるもの

米・山芋・じゃがいも・南瓜・キャベツ・人参・ほうれん草・小松菜・鶏肉・牛肉・イカ・タコ・栗・落花生・葡萄・蜂蜜 など
 
胃に食べ物が溜まっていて眠れなくなる
質の良い睡眠の為には、寝る前には胃がからっぽの状態が理想的。

しかし、もともと消化能力が弱かったり、習慣的に寝る前に食べたり、暴飲暴食をして「胃」に負担が掛かりすぎると、消化が進まず停滞します。

体の深部体温が下がることでスムーズに睡眠に入りますが、胃のなかに食べ物があると胃に血液が集まってしまい、血流が悪くなってしまいます。
そうなると、うまく寝付けなかったり、ぐっすり眠れなったり、夜中に胸苦しくて目が覚めるようになります。

症状としては、
胃のあたりの張り、口臭、ゲップ、吐き気、下痢または便秘
が出やすくなります。
代表的な漢方薬
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、加味平胃散(かみへいいさん)、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、調胃承気湯(ちょういじょうきとう)など
おすすめの食材
熱を冷まして、胃を整え、精神を安定させるもの

たけのこ・梨・海苔・昆布・クラゲ・あさり など
 
怖がり、ビクビクしやすい人は眠りが浅くなる
性格的に“肝が座っていない“タイプの方は、びっくりする出来事や強い恐怖感を抱くことがあると、不安でいっぱいで眠れない、小さな音が気になって眠れない、眠ろうとしても怖いことを思い出すといった状態になります。

性格的なものだから仕方ないの!?と思われるかもしれませんが、漢方ではある程度克服できると考えます。

漢方では「肝」や「胆」の働きが弱くなると、決められない、おろおろ、ビクビクしやすくなると考えます。
「肝」:自律神経や肝臓の働きを担い、ストレスの影響を大きく受ける。
「胆」:肝と密接な関わりがあり、消化も助ける。精神的には「決断」を司る。


症状としては、
びくつきやすい、優柔不断、不安で仕方がない
などが現れます。
代表的な漢方薬
加味温胆湯(かみうんたんとう)、酸棗仁湯(さんそうにんとう)、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)など
おすすめの食材
気を補って精神を安定させるもの

米・山芋・じゃがいも・キャベツ・干し椎茸・人参・ほうれん草・小松菜・鶏肉・牛肉・イカ・タコ・栗・落花生・葡萄・ライチ・ローヤルゼリー など