症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2023/06/07 (水)

卵巣年齢40代、不育症を乗り越えて

 
30代女性のお客様。
4回の人工授精でも結果に恵まれず、その後、体外受精に踏み切り、3回とも着床をするもすぐに流産してしまい、原因不明の不育症ということで大変悩まれていました。

AMH測定でも卵巣年齢40代中盤という結果。
旦那様は精子の運動率が悪く自然妊娠は難しいレベル。

1カ月後に採卵予定ということで、それまでにできることをしたいとご相談に来られました。
本来備わっている授かる力
じっくりお話をお伺いすると、お二人ともお仕事がとてもお忙しく、気が休まる暇がありませんでした。
体質的にも気の張りが強い症状(首・肩こり、お腹の張り、夢が多いなど)が多数。それに加えて不妊治療での精神的・肉体的負担も大きく、体力的にもお辛い状況でした。

卵巣年齢は40代とのことでしたが、気の張りや肉体疲労も加わり、本来備わっている授かる力の半分も発揮できていないように、私は感じました。

これまでも根本的な体質改善をしていけば、たとえAMHの数値が低くても無事にご妊娠・ご出産される方はたくさんいらっしゃいました。

このお二人も、授かる力を発揮できるように体質改善していけば、きっと願いは叶う。
そんな気がしました。

まずは1カ月後、良い卵が採卵でき、旦那様の精子の質が高まり、生命力の高い受精卵ができるように。
そして、その後の移植までになるべく早く体質改善を進めて、着床後もしっかり受精卵に新鮮な血を送れる体づくりを叶える。
お二人と一緒に共有した目標です。


まずお客様は、気の張っていることが原因で、血の質も流れも不十分な状態。これを改善すべく、気血のバランスを整えるための煎じ薬をお選びしました。
そして生命力自体を高めることを期待して、生薬(上薬)の濃縮エキスを。
この二つの漢方で、お客様の本来の力がしっかり発揮できる体作りを後押しします。
さらに、早めに卵子の質が高まるよう、動物生薬の漢方を2種類飲んでいただきました。

そして旦那様には、1カ月でも精子の数が爆発的に増えた経験がある漢方を。

その時、私の考えうる最高の方法で漢方をご使用いただきました。
自分を信じて、小さな命の力を信じて
そして迎えた1カ月後。
結果は凍結胚が4つ。
前回は1個でしたので、これは大きな前進!
もちろん体調にも良い変化が。元気が出てきて、寝つきもよくなりお通じも改善。生理痛も軽減されていました。

そして次の周期で移植、今回も陽性反応。
すぐに安胎薬といって、初期の流産予防の漢方に変更しました。

ここからが本番。

出血はないものの、強めの腹痛が。
これまでのお辛いご経験もあり、相当ご不安も大きいようでした。
つわりが酷くお辛そうでしたが、つわりがあるのは赤ちゃんが育っている証。

ご妊娠後も、こまめに連絡をとり続けました。

ご不安以上に、ご自身の力を信じること。そして頑張って生きようとしている小さな命を応援してあげること。

一緒に何度も確認しながらの日々。

毎週の受診日のたびに、私もとても緊張してご連絡を待っていました。

「心拍が確認できました!」

不安と喜び、また不安の1週間。

「無事育っているみたいです!」

また一週間。

「双子です!!」

一緒に繰り返して、何とか、何とか安定期に。

やっと、やっと、やっとここまでこれた。

私もやっと胸を撫で下ろしました。

一つの大きな壁を乗り越えた二つの小さな命。

これからもご両親の大きな愛情を受けて、しっかり育っていくでしょう!!