症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2023/05/15 (月)

【睡眠養生法】

*適度な睡眠時間は「7時間程度」
日本や世界で行われた大規模調査では、睡眠時間が7時間ほどの人の死亡率が最も低かったとか。
ショートスリーパーで有名なナポレオンも、日中よく居眠りをしていたと伝えられているそうです。

休日に寝だめする方は、「睡眠負債」といって日頃の睡眠不足が慢性化している証拠。週1,2回の寝だめでは解消できないものなので、1日の睡眠時間を少しずつ増やすのが得策です。

逆に毎日9~10時間以上必要な方は、「睡眠時無呼吸症候群」などにより睡眠の質が低下しているのかも。身体を整えることが、程よい睡眠時間でスッキリした目覚めに繋がります。
 
*ゴールデンタイムは「23時~3時」
陰陽が切り替わり、疲労回復やデトックス、記憶の定着が行われる時間帯。

老若男女問わず、あらゆるお悩みの方に寝ることをお勧めします。
夜勤の方も、この間で仮眠を取れれば。
 
*下半身が冷える方、妊活中の方は「21時~23時」もポイント
この時間に起きて目や頭を使っていると、頭部の方に熱が集まり、下半身が冷えて空虚に。

寝るのは難しくても、ボーっとしたり、リラックス系のヨガやストレッチをするのも◎
下腹部~子宮が温まり、血が充実することで妊娠しやすくなります。
 
*眠れないときは、目を閉じてゆっくり深呼吸
なかなか眠れなくても、目を閉じて横になるだけで身体は休まると言います。

だらーんと全身の力を抜き、深く静かに、ゆっくり呼吸することだけに集中。
今日一日の中で何かひとつ、誰かに感謝することでも、心がじーんわり安らぎます。

ヨガの「漸進的筋弛緩法」は、心身をリラックスさせるのに効果的。
やり方はこちらをご参考ください⇒[漸進的筋弛緩法(ヨガジャーナル)]
こちらの動画は、眠れない夜に流すといつの間にか寝ているかもしれません(画面は見ずに耳だけでどうぞ)⇒[30分 睡眠導入瞑想(YouTube)]
 
*朝日を浴びる
多少夜更かししたときも、起きる時間を決めておくことでリズムが乱れにくくなります。

朝日が入るカーテンで起床前後に光を浴びることで、体内時計がリセット。スッキリ目覚めやすくなることが報告されています。
 
*お昼寝は座ったまま、15分程度に
陽から陰へ転化する11時~13時頃は、ちょうど昼食後で眠気も高まるタイミング。

睡眠が深くなる前の15~20分程度にとどめることで、すっきり目覚めて午後の仕事もはかどります。
 
*昼間は適度な運動を
寝付きが悪い方や、眠りが浅く長時間寝てしまう方は、昼間に運動をするのもオススメ。
身体を動かして疲労させることで、夜には自然で深い睡眠に入りやすくなります。

夕方~20時頃までに運動すると、高まった深部体温が眠る頃に放熱され、スムーズな入眠に繋がりやすいそう(※)
入浴も、就寝2時間前までに済ませると寝付きがよくなると言われています。


(※)脳や内臓の体温「深部体温」は、日中、体表面の「皮膚体温」より3~5℃高い状態。夜になると深部から皮膚へ放熱が起こり、体温差が減少することが入眠前後の特徴とのこと。寝る直前の熱いお風呂や激しい運動、睡眠中の電気毛布などは、入眠時の放熱を妨げるので、睡眠の質が悪くなると考えられています。
 
*快眠の3条件「暗さ」「静けさ」「快適な室温」
真っ暗では不安な方は、足元に最小限の明かりを。
スマホのブルーライトは、体内時計を乱すのでoffに。
テレビは消して、音楽はオフタイマーの利用を。
就寝中も暑すぎず寒すぎないよう、季節に合わせて室温・湿度を調節しましょう。
 
 
 
[参考資料]
『Newton別冊 睡眠の科学知識』株式会社ニュートンプレス 発行
『体内時刻を制すれば痛みが消える!不調がなくなる!』鈴木康玄 著