症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2023/05/15 (月)

【睡眠と覚醒】

中医学的な考え方のひとつ「陰陽」になぞらえると、
「睡眠」と「覚醒」はそれぞれ「陰」と「陽」に分類されます。

さらには睡眠と覚醒によって、下記のような心身の機能が働きます。

睡眠:静/休息/安逸/弛緩
覚醒:動/労働/疲労/緊張


陰陽は、お互いに切っても切れない関係で、双方がバランスを取りながら、交替しながら存在することで、正常な状態を維持できる、という関係性。

自律神経でいうと、陰が副交感神経系(抑制・リラックス系)、陽が交感神経系(興奮・活動系)です。

睡眠と覚醒も同様に、どちらもバランス良くあってこそ健康的に生きられるのです。


陰陽が大きく切り替わる時間は、1日の中で2回。
陰が極まり陽へ転化する23時~1時
陽が極まり陰へ転化する11時~13時です。

陰が極まる時間帯には、すっかり寝ておくことで陽への切り替わりが、
陽が極まる時間帯には、少し昼寝をすることで陰への切り替わりがスムーズに。
この時間を意識して過ごすことができれば、自律神経のバランスが整いやすくなります。



また、「天人合一(てんじんごういつ)」という考え方からみると、人間は自然界の一部であり、睡眠と覚醒の法則も、自然界と一致することが自然な状態である、とされます。

陽が昇る頃には起きて活動を始め、
陽が沈む頃には活動を終えて休息へ向かう。

起床・就寝時間と日照・日没時間を合わせるのは現実的に難しいですが、
活動的になる時間・リラックスする時間を意識するだけでも、自然な状態へと近づきます。
 
 
[参考資料]
『体内時刻を制すれば痛みが消える!不調がなくなる!』鈴木康玄 著
『中医心理学』たにぐち書店 発行
『中医学の基礎』東洋学術出版社 発行