症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/06/09 (水)

健康的に痩せるための豆知識

とにかく体重を落とそうとダイエットを頑張っていると、とくに避けがちなのが炭水化物。

炭水化物を抜くダイエットをされる方も多く、一定の体重減少はあるものの、同時に、お通じが出なくなったり、体が冷えやすくなったり、疲れやすい、ぼーっとするなどの体調不良がみられたり、普通に食事を摂ると体重が増えそうで、元の食生活に戻れないという方もいらっしゃいます。

もちろん、炭水化物を過剰に摂りすぎると太りやすい原因にはなるのですが、三大栄養素のひとつでもある炭水化物は、私たちのエネルギー源の大半を占めており、生命維持のために必要不可欠な栄養素であることには違いありません。
糖質制限をすると、筋肉量が減るという報告もあります。

とくに「主食」は「主に人を良くする」

主食である炭水化物は、人を作る大事な栄養素です。
やみくもに制限するのではなく、選び方や食べ方を工夫するとよいですよ。
炭水化物は太りやすいの?
脂肪になりやすい目安『GI値』
人の体の仕組みとして、飲食をして血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上がると、「インスリン」というホルモンが分泌され、血糖値をもとに戻そうとブドウ糖を回収するよう促し、結果的にエネルギー保存や脂肪の合成が促進されます。

つまり、血糖値の上昇が過度に起こると、インスリンが過剰に分泌され、脂肪が蓄積されることに繋がり、これが肥満の原因のひとつになっていると考えられています。

この食後の血糖値の上昇のスピードを表す指標を、『GI値(グリセミック・インデックス)』といいます。

ブドウ糖を100とした相対的な数値で、食品ごとに数値化されており、GI値が高いほど血糖値が急上昇し、低いほど緩やかになります。
血糖値を上げる「糖質」
ところで「炭水化物」は、糖質と食物繊維からできています。

血糖値を上昇させるのは、炭水化物に含まれる「糖質」です。

食物繊維は消化されにくい“繊維”質のものなので、一緒に多く含まれているほど、糖質単体のものよりも血糖値の上昇が緩やかになり、GI値は下がります。
例えば、精製された白米はGI値84に対して、もとの玄米は56と低くなります。

太りやすいと思われている炭水化物でも、GI値を活用することで、太りにくい食べ方を実践できるのです。
食品ごとのGI値も知りたい!
血糖値を上げやすい「糖質」を多く含むものとしては、主に以下の食品が挙げられます。

・お米、パン、麺類などの主食類
・イモ類や甘味の強い野菜類(にんじん、とうもろこし、かぼちゃ等)
・果物類
・砂糖類やハチミツなどの調味料
・スイーツ など

例えば、主食類と野菜類で具体的にGI値を見てみましょう。
GI値60以下の食材を摂ることでインスリンの過剰な分泌を抑えられると言われているので、その境界線を赤で示しています。

主食類は全体的にGI値が高いですが、同じお米を食べるにしても、精白米と五穀米ではかなり違いがあります。

野菜類についても、食材によってGI値に大きな差があることがわかります。
「サラダから食べると太りにくい」と言われますが、それがポテトサラダやカボチャサラダでは血糖値を上げてしまっています。

糖分たっぷりのスイーツのGI値が高いのは想像がつくと思いますが、果物や調味料でも食材によって高いもの・低いものがあります。

また肉や魚・卵、豆類などのタンパク質は30~40前後、海藻類は20以下と、GI値が低いです。

店頭ではより詳細なGI値表をお渡ししておりますので、気になる方は担当の相談員までお申し付けくださいませ。
GI値を知って、どうしたらいいの?
ではGI値をどのように活用すればよいのか?
主に3つのポイントがあります。

1.GI値の低い食材を選ぶ
2.GI値の低い食材から順番に食べる
3.『一物全体』『身土不二』を上記2点の前提とする

1.GI値の低い食材を選ぶ
例えば主食を決めるとき。
「お米を食べるなら五穀米にしよう」
「パンを食べるならライ麦パンの方が太りにくいな」
というように、ダイエット中でも、主食そのものを食べないのではなく、GI値の低い太りにくい方を選んで食べる、という方法です。

野菜を選ぶときは、GI値の低いものから高いものまで、いろんな種類の野菜を摂るようにすると栄養バランスがよいでしょう。
 
2.GI値の低い食材から順番に食べる
主食・主菜・副菜・汁物などいろいろな食材を使ったメニューがある中で、GI値の低い食材から食べることによって、血糖値の急上昇を抑えるという方法です。

例えば、
[ご飯・焼き魚・ほうれん草の胡麻和え・豆腐とわかめのお味噌汁]
という食事だった場合。
ほうれん草の胡麻和えには砂糖を使っているので、先にお味噌汁や焼き魚を食べて、その後に胡麻和えとご飯を食べるようなイメージです。

丼ぶりものや麺類などの主食メインとなるメニューは、どうしてもいきなりGI値の高いお米・麺を食べることになりますし、全体的に炭水化物の割合が多くなるので、太りやすいです‥‥ダイエット中は控えめにした方がよいですね。
 
3.『一物全体』『身土不二』を上記2点の前提とする
3でお伝えしたいことは、「GI値が低ければ何でもよい、というわけではない」ということです。

一物全体』とは、いのちある全てのものは全体をもって一つと捉え、食物が本来持っている生命力の全てを食べることで、いきいきとした本来の健康を作ることが出来る、という考え方です。

例えばお米でいうと、精製した白米は撒いても芽は出ませんが、撒けば芽が出る玄米は、生きるエネルギーをしっかり蓄えています。
小魚や野菜も、余すことなくまるごと摂ることで、より本来の生きるエネルギーが得られます。


身土不二』とは、まず私たちと自然は切っても切れない繋がりがあり、私たちが暮らしている土地と私たちのからだは一つ。ですので、その土地で採れた旬のものを食べること、その土地の食文化が、自分の体に合った健康的な食事である、という考え方です。

例えば、熱帯地域で採れる野菜・果物や夏野菜は熱を冷ます性質のものが多いので、寒冷地帯や冬場は体を冷やしすぎないように控えた方がよいです。
 
GI値を下げるために人工的に作られたものを選ぶのではなく、
またGI値の低いものだけを選んで食べるのでもなく、
からだや自然も含めた全体のバランスを考えることで、
太りにくく、健康的な食べ方を実践できます。

参考にしてみてくださいね!