症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/11/17 (水)

新型コロナウイルスと漢方薬

今回の新型コロナウイルスに関しても、予防や回復に漢方薬が応用されているようです。
漢方薬は、もともと感染症が病の大半であった古代から使われてきた薬。
感染症は得意分野のひとつです。
漢方薬は、病名や細菌・ウイルスの種類によって使うものが決まるのではなく、その人に現れている症状や体質によって選ぶものなので、どんなに時代が移り変わり、新しい病原体が現れようとも、その使い方に変わりはありません。

ここでは、その一部を簡単にご紹介させていただきます。
ただし、漢方薬は人によって合うものが異なるので、ここに記載された漢方薬を自己判断で飲まれることはお勧めできません。
また現在症状が出ている方、とくに症状の重い方は、まずは病院の受診をおすすめします。
お電話でのご相談も承っておりますので、気になる方はご相談くださいませ。

予防(もしくは無症状)

「この漢方薬を飲めば必ず予防できる。発症しない。」ということではありませんが、日頃から疲れやすいなど気になる不調があれば、力を補う漢方薬を飲むことで抵抗力を高めることが期待できます。

 
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

疲れやすい、胃腸が弱い、食後の眠気が強い、微熱が続くなどが気になる方に。
肺や胃腸の機能を補い、抵抗力を高めていきます。

 
・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)

疲れやすい、貧血がある、冷えやすいなどが気になる方に。
体を守るエネルギーや栄養分を補い、抵抗力を高めていきます。

 
・板藍根(ばんらんこん)

のどの痛みや腫れが気になる方に。
板藍根は漢方処方ではなく、アブラナ科の植物タイセイの根を乾燥させた生薬です。日本では食品扱いになります。
煎じ液や顆粒を溶かして、うがいするようにのどに浸透させながら飲むことで、炎症を鎮めていきます。

症状別

中国で有効性が報告された「清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)」という漢方薬がありますが、日本では製造できません。
ただ本来の漢方薬の使い方の通り、日本にある漢方薬の中からでも症状に合わせて選ぶことが効果的です。
以下に、[咳・痰・のどの痛み][胃腸症状が強い][熱症状が強い][悪寒を伴う][嗅覚障害・味覚障害がある]についてまとめていますので、気になる項目をご覧ください。
いくつかの漢方薬を組み合わせて使うこともあります。

[咳・痰・のどの痛み]

 
・麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)

体力があり、発熱、激しい咳、のどの痛みなどが気になる方に。
過剰な熱症状や咳を鎮めていきます。

 
・麦門冬湯(ばくもんどうとう)

空咳やのどの渇きなどが気になる方に。
肺に潤いを補うことで、咳や痰を鎮めていきます。

 
・小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)

ひき始めから数日経過しても微熱や食欲不振、咳、のどの痛みなどが続く方に。
過剰な炎症を鎮めたり胃腸の調子を整えることで、回復を促していきます。

 
・竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)

体力が低下し、発熱、吐き気、食欲不振、咳、黄色い痰が多く切れにくい方に。
痰を取り除き、過剰な熱を鎮め、胃腸の調子を整えていきます。

[胃腸症状が強い]

 
・藿香正気散(かっこうしょうきさん)

発熱、寒気、頭痛、咳、吐き気、食欲不振、下痢・軟便などが気になる方に。
体内にたまった湿気を取り除いて、胃腸の働きを整え、回復を促します。

 
・胃苓湯(いれいとう)

吐き気や軟便などの胃腸症状もある方に、他の漢方薬と併用して使います。
体内に生じた余分な湿気を取り除き、胃腸の調子を整えていきます。

[熱症状が強い]

 
・銀翹解毒散(ぎんぎょうげどくさん)

発熱、頭痛、のどの腫れや痛み、黄色い鼻水や痰などが気になる方に。
過剰な熱症状を鎮めて、症状を改善していきます。

[悪寒を伴う]

 
・葛根湯(かっこんとう)

比較的体力があり、寒気、発熱、咳、鼻水、首~肩のこわばりなどが気になる方に。
汗をかかせて発散させることで、回復を促します。
妊娠中の方は、代わりに桂枝湯などを使用します。

 
・麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)

高齢者など抵抗力の弱っている方の、寒気、冷え、発熱、咳、のどの痛み、鼻水などに。
冷えや痛みを取り除き、回復力を補っていきます。

[嗅覚障害・味覚障害がある]

 
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)

体力が弱く、肺の機能が低下しており、咳・痰、貧血や不眠などが気になる方に。
嗅覚や味覚の働きを補いながら、肺を中心に体力を回復させていきます。

 

※参考資料
COVID-19感染症に対する漢方治療の考え方(改訂ver2)

 

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