症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/11/16 (火)

梅雨の穏やかなすごし方

梅雨は、体の中も湿気が高まることにより水のめぐりが変化し、さまざまな体調変化を感じる方が出てきます。

漢方では、水の代謝と関わりの深い働きは “脾”・“肺”・“腎”の3つあります。
これらは「場所」ではなく、「機能・働き」ととらえます。

まずは水が体の中に入ってくるところ、吸収や消化を行う胃腸の働きが“脾”です。
そして食べ物や飲み物から水分が吸収された後、体の内側から外方向に発散され、のど鼻などの粘膜や体の表面を潤します。同時に体の上部の水分を体内に満遍なく染み込ませる様に下部へ、まるでシャワーやミストの様に降ろします。この働きが“肺”です。
そして下半身に降りてきた水分を再度振り分け、不必要な水分を外へ排泄する働きが“腎”です。

この中でもとくに“脾”=胃腸の働きは湿気に弱く、胃腸自体に痰湿がたまると、全身へスムーズに水分をめぐらせることができなくなることで、梅雨時期には頭から足まで様々な不調が出やすくなります。
梅雨時期はとくに弱りやすい胃腸に、負担をかけないよう過ごしましょう。

【心の除湿】

まずは心の調子を整えることから

心が整っていれば、この後ご紹介している食事や運動、環境の対策にも意欲的に取り組むことができ、また充実感や喜びも、より大きく感じられるはずです。

あれをすればよい、これをすればよい…
頭ではわかっていても、どうしてもできない…、やる気が出ない…
そのような場合は、心の不調が原因であることが多いです。

まずは心。
心をちょっと軽くしてから、動き出してみましょう。

 

まずは体の自己点検から。
梅雨特有の不調はあっても、
目は見えていますか?
鼻はききますか?
耳は聞こえますか?
食事はある程度できますか?
日常生活は送れていますか?
お仕事には行けていますか?
一応、眠れていますか?
会話はできますか?
メールは打てますか?

大体、大丈夫であれば、体は大丈夫です。
季節やストレスの影響を受けながらも、ほとんどバランスは崩れていない状態です。
不調の症状は、ちょっとしたバランスの崩れで起こっていることが多く、大元のバランスは大丈夫です。
少しの不調で慌てずに、大きな視点で自分の体の状態をとらえることが大切です。

そもそも、日本には四季があり、温度や湿度、気圧の変化が一年を通じて目まぐるしく変わります。
熱帯地域や寒冷地帯に住む人たちに比べて、体が自然の変化に合わせてバランスを取らなければならず、大きな負担がかかりながらの生活です。
そのため、一定の体調を維持すること自体が不自然…
ある程度の変動は、許容範囲と考える方が自然なことです。
日本人は、このように自然を敬いながら、自然に柔軟性や忍耐力が育まれてきたのかもしれませんね。

 

季節による不調を少しだけ我慢しながら、
でも感謝の気持ちも持って受け入れて、
むしろ恵まれているくらいの大きな気持ちで、
たくさんの季節に向き合って過ごしていきたいですね。

【体の除湿】

冷たいもの、水分を摂り過ぎない

水分代謝に関係する胃腸を弱めないためには、「冷やさないこと」と「湿気させないこと」。
寒いときに体がこわばるように、胃腸も冷えると機能が低下します。
また水を飲みすぎたときにお腹がぽちゃぽちゃして停滞した感覚を経験された方もいらっしゃると思うのですが、水分が多いと胃腸の動きは鈍くなります。水が溜まると冷えにも繋がります。
分かりやすい不調としては、下痢や食欲低下、消化不良などが起こりやすいです。
(逆に乾燥していると元気になるので、まさに“食欲の秋”の状態です。)
湿度が上がるとともに、冷たいものや水分の摂取機会が増えやすい梅雨から夏は、とくに気をつけましょう。

気温が低い、冷えのある方は温める

まだ本格的な夏になる前ですので、「梅雨寒」の冷えにも注意が必要です。
除湿はもちろんですが、召し上がるものは温かいものを選びましょう。
生の野菜やフルーツも、胃腸を冷やすので控えめに。
大豆や黒豆、枝豆などの豆類や豆腐などをお味噌汁やスープで摂るのがおすすめです。

蒸し暑い、熱・炎症を伴う方は、除湿+清熱を

沖縄など気温が高い場所では、蒸し暑さを感じる日も増えているでしょう。
また関節痛などで冷やすと楽なタイプや吹き出物の多い方は熱を帯びているかもしれません。
除湿に加えて、体に熱を生む甘いものや脂っこいもの、お酒などは控えましょう。
キュウリやメロンなどのウリ類や大豆、小豆などの豆類、はと麦などがおすすめです。

脂っこいもの、甘いお菓子を控える

漢方では脂っこいものや甘いお菓子の食べすぎも胃腸を弱め、痰湿を生みます。
脂や溶けた砂糖をイメージしていただくと、ドロッとした粘り気やべたつきを感じられると思いますが、これらが体の中に溜まり、停滞すると炎症を起こします。
毎日ちょこちょこ続けている習慣が、痰湿を生んでいます。
1週間だけでも一度思い切って食べるのを止めてみることが最善策です。

おすすめの食材

 
[湿気を取り除く食材]

キュウリ、スイカ、冬瓜、メロンなどのウリ類、大根、はと麦、とうもろこし、小豆、緑豆、えんどう豆、そら豆、大豆、黒豆、ハマグリ、アサリ、海藻類、もやし、白菜、アスパラガス、セロリ、こんにゃくなど

 
[香りがよく消化を助ける食材]

紫蘇、陳皮、パセリ、セロリなど

 
[温めて発汗させる食材]

ネギ、ショウガ、紫蘇など

汗をかく、かいた後は拭き取る

体内の除湿方法として実感しやすいのは、汗をかくことです。
運動でも、お風呂でもよいです。ただし、汗をかいた後はそのままにせず、きちんと拭き取りましょう。冷たい風にあたると体を冷やしすぎたり風邪をひく原因になりますし、ジトジトした状態のままでは雑菌が繁殖したり湿疹の原因にもなります。
また、もともと体力の少ない方は発汗しすぎると、水分とともにエネルギーも失いやすいので、たとえばホットヨガや岩盤浴などもほどほどに。
体がすっきりして疲れを感じない程度を目安にしましょう。

【環境の除湿】

部屋や寝床などの除湿、水回りを中心としたこまめな掃除で、心地よい環境作り

除湿機や布団乾燥機を使ったり、扇風機やサーキュレーターで風を通すのもよいでしょう。気温が高くなればエアコンの除湿(ドライ)を利用するのもひとつですが、冷やしすぎてしまうことが多いので、衣服の調節で体は冷やさないように気をつけましょう。
寝床は直接床に布団を敷くよりも、ベッドの方が通気性がよいので湿気対策には好ましいです。寝具の素材も麻や綿にすると湿気を逃がし肌触りもよいです。
雑菌やカビ・ダニ対策として、水回りの掃除や除菌スプレーなどに、檜のアロマオイルを数滴混ぜて使うのもおすすめです。