症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2020/11/27 (金)

〜漢方服用例〜体がだるい、朝起きられない、疲れがとれない

20代女性の倦怠感

朝は一時間くらいベットから起きられず、休みの日も寝込んでいる。ここ数年ひどくなっている。半年前からは体におもりが両肩に乗っているような感じ。

その他、貧血や冷え性、乾燥肌などの不調も。

「元気になりたい」「旅行にも行きたい」とお話されていました。

「元気になりたい」健康な方なら当たり前のことですが、このお客様にとっては切実な願いです。毎日体におもりが乗っている生活。想像してみても大変なことです。まだ20代、楽しいこと、やりたいこともたくさんあると思います。でも体がついていかない・・・。

もどかしい思いもされていたのではないでしょうか。

最近思う、お客様の幸せとは何か?お一人お一人違うのだということ。お一人お一人に純粋に向き合い、その人らしい人生を、お客様の思う「幸せ」を見届けていきたいです。

中気下陥

気の状態はよく風船で例えられます。風船の中の空気(気)が丁度良ければ普通に浮いていますが、多すぎたらパンパンになりどんどん上に上がり「気逆(きぎゃく)」の状態。空気が抜けてしぼんできたら「気虚(ききょ)」の状態。さらに空気が抜けると、風船は下に下がってしまい「気陥(きかん)」の状態になります。

朝1時間もベットから起きられないほどの疲労感は「気陥(きかん)」の状態だと思われ、「中気下陥」と言われる状態に用いる漢方を服用して頂きました。

ついにお友達と旅行へ!

漢方を始めて2ヶ月。朝1時間かかっていたのが30分で起きられるようになりました。

4ヶ月目で「体のおもりが取れた!」

冬に少し疲れが出たものの、その後やる気も出てきて、春には運動もできるようになってきました。

ついには友人と旅行に出かけることができ、とても楽しそうに旅行のお話を聞かせてくださいました。

食事や運動、養生などお客様が出来ることを実践していただき、心の面でも変わっていかれるのを感じました。

今は漢方を始めて1年ちょっと。夏バテやだるさもなく、毎日元気にお過ごしいただいています。

ストレスが原因。疲れが取れない!!

一日の内で、外での仕事が半分、内勤が半分。そのため、温度差についていけずにだるいのかな?とご本人の弁。

しかし、職場の人間関係でのストレスも大きく、半年ぐらい非常に体がだるい。

そして、何よりもご本人にとってショックだったのは、今まで一度もインフルエンザに罹ったことがなかったのが、初めてインフルエンザに罹ったとのこと。これじゃあダメと思い、決意してのご来店でした。

見るからに真面目そう。

律義で、まがったことがきらいで、でもあまり口に出しては言えなく、優しくて、見るからに良い人。と感じる方でした。

一方でその人柄の良さがストレスを生み、元気がなくなり体がだるくなっているご様子でした。
漢方的に表わすと「気陥」の状態。気陥とは、気が下がってしまって陥没し、体がだるく、ダラッとしてしまうような状態。

元気ですか?とは「根本の気は大丈夫ですか?」という事。前向きで、明るく、エネルギーが旺盛な状態を取り戻す!その為には心身共に健康になることが大切ですね。

1ヶ月で全然違う!

気陥を改善する漢方薬と、治らない病気はない!自分で前向きに考えること!大丈夫!そのように励ましました。

まず最初に変化があったのは、朝が楽に起きれるようになったということでした。

それから順次、動きがスムーズになった。前よりも前向きになれた。そんなに落ち込まなくなった。食欲が安定して食べたいと思えている。やる気が継続する。と改善して、1か月前とは全然違う!とご本人の弁。

趣味もやりたいことがやりたくなってきた。食欲も元に戻って、体重も元に戻ったのが、2か月経過した頃。

ご本人は、昨年熱中症にもなったので、その予防のためにも漢方をという事で現在でも半分にして服用されています。

61歳男性、中間管理職になってからのストレスで疲れがとれない

10年前から体のだるさと重さを感じるようになり、疲れが抜けない。
頭もぼーっとしてすっきりしない。
時々熱がこもった感じがあり体温を測ってみると35度台と、体温調節もうまくいかない。
脳神経外科、耳鼻科で検査をしてみたが異常なし。
3年前には男性更年期障害を疑い7ヶ月ホルモン治療を試してみるも変化なし。
サプリメントや健康食品も色々試してみたが効果を感じられず。
ちょうど10年前に管理職になり、仕事上の人間関係にすごくストレスを感じるようになったとのこと。
仕事中はずっと戦闘状態。その反動か、お休みの日は体を動かすのが億劫で家でダラダラ過ごしている。
だからといって、疲れは取れず、また週が明け戦いの日々。
という過酷な状況が続いていらっしゃいました。

ストレスによる自律神経の乱れ

私たちには、体を一定の安定した状態にしようと働く仕組みが元々備わっていて、その一つが自律神経です。
常にこの自律神経が働く事によって、呼吸や循環、消化等の機能が調節され、様々なストレスの中でもバランスをとってくれています。
体が感じるストレスには、精神的なものだけでなく、温度変化、外傷、病気、環境の変化などがありますが、ストレスの感じ方、受け止め方は人それぞれ。
適度なストレスは適度な緊張を生み出して活力となりますが、それがあまりにも強すぎたり、長期間になると、自律神経は弱りバランスが取れなくなってしまい、動悸、胸が苦しい、胃痛、食欲不振、便秘下痢、頭痛、浮遊感、全身倦怠感、など様々な症状が表れます。
いわゆる不定愁訴です。

少陽枢機不利には柴胡剤

漢方では自律神経が乱れる原因を少陽枢機不利と捉えます。

少陽枢機不利とは、様々なストレスが原因で気や津液が全身くまなく巡るための通り道「三焦」に滞りが生じた状態。三焦は人体最大の腑で、皮膚表面から内臓まであらゆる組織の間を通っているため、そこに滞りが生じると、あらゆる場所に、様々な症状が出てきます。症状としては、暑かったり寒かったり、胸や脇腹が張る・痛い、口が苦い、排尿異常、汗の異常など、自律神経がバランスを取れなくなった場合の症状が多く見られます。

そこでよく使われるのが、気の巡りを司る肝胆の疏泄を強めて三焦の通りを良くしてくれる「柴胡」とう生薬を含む漢方薬です。

自律神経の調整は漢方の得意分野

服用から1ヵ月、微熱っぽさが少し軽くなっている。

2ヵ月後、体のぐったりした重さが減ってきている。気になっていた体温変動もなくなっている。

4ヵ月後には気持ちにゆとりが出てきて、休みの日は工具を買ってきて気になるところを直したり、家事を手伝ったり。今まではやりたい気持ちはあっても、億劫で行動に移せなかったことが、行動できるようになっている。ご一緒にご来店した奥様も嬉しそうな笑顔。

現在は漢方の量を徐々に減らしていますが、体調の良い状態はきちんと続いています。

私たちを取り巻く環境は目まぐるしく変化し続けていますが、人間の体の仕組みは変わっていません。そんなストレス(刺激)が多く、自律神経が乱れやすい環境にある私たち現代人、健康で元気に日々活動するためにも漢方薬が多くの人のお役に立てればと思います。