症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/23 (月)

少陽枢機不利(しょうようすうきふり)の自律神経失調症

なんとなく不調が気になる

40代の女性の方がいらっしゃいました。「ここ最近、眠たいけど、ぐっすり眠れない。」「今日は眠れなそう・・と一度思ってしまうと、眠れなくなってしまう。」「特に何かあった訳ではないが、1年程前から不安感が強くなる事があり、一人でいるとどんどん悪い事を考えてしまう・・。」「身体がきつくなってくると、ドッと重くなり、何もしたくなくなる。」「長くはないけど毎日動悸があり、気になりだすとずっと気になる。」「緊張をすると頭痛がでる。」

色々な不調が重なり、なんだか調子が悪いという状態が続いていらっしゃいました。症状をよくしたい、というよりも、一番の目標としては「スッキリしたい。」というのがお望みでした。

体質としては、すこし貧血気味(ふらつき)、暑がり寒がり両方、足が冷える、目の下のくま、あざができやすい、汗かき、肩こり、蕁麻疹が出やすい、頭重感、ボーとする、口渇く(冷飲)、春には鼻づまり・くしゃみ、お通じは硬い軟らかいどちらもということでした。

いわゆる不定愁訴

このような不定愁訴は、春になるととても多くなる症状の一つです。病院に行けば「自律神経失調症」と言われたり、閉経時期に重なると、更年期障害でしょうと言われたりします。

漢方にはこのような不定愁訴に用いる漢方薬がたくさんあります。どんな漢方薬を使うか・・・考えた時にまず判断するのは「少陽枢機不利(しょうようすうきふり)」があるかどうかです。

考え出すと眠れない、気になりだすとずっと気になる動悸、緊張時の頭痛、暑がりと寒がりの寒熱交錯、口の渇き、身体が重いなどは典型的な「少陽枢機不利(しょうようすうきふり)」と言います。水の通り道である三焦が渋滞してしまって、その通り道の先々で色々な症状が出ます。この場合、いわゆる「柴胡剤」というものを使います。

あとは、柴胡剤の中からその他の体質に合わせて適切な漢方薬を選択します。

経過

漢方をスタートするにあたり、「10代の頃に一度漢方を服用した事がありますが、その時はあまりに美味しくなく続けられなくて・・。」と心配をされていましたが、飲みにくいとおっしゃりながらも頑張って毎日服用して下さいました。

そして、2週間後。早くも眠れるようになり、朝がスキッとする!こんなにすぐ効果があるんですね!?と驚かれていました。動悸も少し減ってきたような・・と睡眠に関して以外も良い兆しがでられていました。

その後引っ越しなど環境の変化があると頭痛が出られたり、寒さが苦手な方なのでインフルエンザで体調を崩してしまったり・・とお身体の調子に波はあられましたが、3ヶ月後には寝つきもよく、夜に目が覚める事も減り、元気を少しずつ取り戻されました。

これからももちろん、体調の良い日、悪い日はあると思いますが、少しでもその波が小さく毎日を楽しくお過ごしいただきたいです。