症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2022/02/11 (金)

下半身の冷えと漢方〜八味地黄丸(はちみじおうがん)〜

漢方では下半身の冷えは「腎」の衰えと捉えます。
「腎」とは生命エネルギーが宿る場所とされ、年齢とともに衰えるものでもあります。
赤ちゃんが欲しい方、下半身が水に浸かったように冷えているという方はぜひ漢方で「腎」を強化して冷え知らずの体を手に入れましょう!

下半身の冷えに温補腎陽(おんほじんよう)薬

八味地黄丸は、八味腎気丸とも、八味丸とも言われまったく同じものです。温補腎陽薬の代表的漢方です。

八味地黄丸が合う体質の特徴は
①寒がりで元気がない
②精力減退、子宮発育不全など性機能低下がある
③むくみ、多尿、乏尿、腰痛がある

といったタイプで、冷え症はじめ不妊症やアンチエイジング、加齢による症状に使われます。

温補腎陽とは、文字通り、腎の温める力(陽)を補って、温めていく漢方と解釈できます。
腎とは人間が持つ生まれ持った力が宿る臓器。
したがって、力が宿るためには温めることが肝要で、冷えると生命力が衰えると考えます。逆に言うと、冷えると体が衰えていくとも解釈できます。

お年寄りは何枚も重ね着をしたり、いたるところにカイロを貼ったりしますよね。お年寄りではなくとも、冷え症の方は身に覚えがあると思います。

腎は西洋医学の腎の役割も持つので、トイレが近かったり、尿漏れにも関係するため、八味地黄丸=トイレが近い・我慢できない=年寄りの漢方と考えがちで、テレビコマーシャルでもそのようなうたい文句になっています。
しかし、上記に記載したように「温補腎陽薬」が八味地黄丸。

したがって、体力的に弱々しくて、冷え症で、貧血気味で、代謝が落ちることによってむくみもあり、寒がりタイプの方の漢方と言えます。女性であれば、生理時の血塊や経血量が少ないという症状もある場合もあります。

あえて言うならば、「60歳以上の方の保健薬」とも言えますし、「女性の味方八味地黄丸」とも言えます。

夏でも手足が冷たく、肩こり、むくみ、生理不順があった20代の女性や、毎年冬になるとしもやけができる中学生に使用してすごく効果があった経験があります。

中身を見てみましょう

八味地黄丸の中身を見てみると、
熟地黄・山薬・山茱萸・沢瀉・茯苓・牡丹皮・桂皮・附子で、

何といってもここでピリッと効かせてくれているのは附子でしょう!
トリカブトの毒性をなくしたもので、体を非常に温め余分な水分を出してくれる生薬です。

徳川家康も愛用!?

健康オタクだったと言われる徳川家康が愛用していたとされる漢方薬は八味地黄丸です。
江戸幕府を開いた徳川家康(1543年~1616年)は、戦国武将の中でも長命(73歳)だったことで有名です。65歳で16人目の子供を設け、亡くなる前年まで鷹狩りや水泳を楽しんだほど健康でした。そんな家康の7つの健康法をご紹介します。

①粗食
家康は「ぜいたくは月に2〜3度で十分」と言い、麦飯と八丁味噌中心の一汁一菜の1日2食を常としていました。

②冷たいものは口にしない
夏でも、きちんと火を通したものを食べる習慣を身につけていたという家康。衛生状態の悪い当時、有害な雑菌やウイルスを体内に取り込まないための知恵ですね。

③季節はずれのものは食べない
ある年の11月、織田信長から桃が届けられたが季節外れのものは食べない、とすべて家臣に与えてしまったという逸話が残っています。

④肉もほどほどに食べる
粗食を好む一方で、キジやツルなどの焼き鳥を楽しんでいたといいます。70代になっても鷹狩りに出かけていたという旺盛な体力は、肉食から生まれたのかもしれません。

⑤体を動かす
鷹狩りの他、剣術、弓術、水泳、乗馬などを好んで行っていたようです。

⑥ストレス発散
香木をたいて、そこから立ち上る香りを嗅いだり、香の名をあてたりする「香道」。現代のアロマテラピーを家康も好んでいたようです。

⑦薬について学ぶ
久能山(静岡県)の麓に薬園を設け、100種類を超える薬草を栽培していたといわれ、八味地黄丸を愛用していたと言われています。

八味地黄丸で良くならなかった時

もちろんすべての方に八味地黄丸が向いているわけでもありません。とくに女性の冷え症の場合は様々な漢方薬があります。
特に八味地黄丸をはじめとする「地黄丸」「腎気丸」という名前の漢方薬は胃腸が弱い方には不向きです。
・胃腸が弱くて冷えが強い場合は人参湯
・冷えて下半身がむくむ場合は苓姜朮甘湯

ぜひ自分に合った漢方薬を専門のところで、選んでもらってください!