症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/10/19 (火)

ダイエットをして妊娠できた例〜肥満解消が妊活の近道〜

体重と妊娠率

米国ハーバード大学の8年間の追跡調査によると、BMI20~24の標準体型の女性は、排卵障害による不妊のリスクが最も少ないという結果が出ています。
他の論文でも、標準体重の方と比べ、軽度肥満(BMI24~31)で不妊リスクが1.3倍。高度肥満(BMI32以上)では2.7倍という結果が出ています。
体外受精や人工授精でのデータではありますが、流産率もBMIが30以上だと高くなる傾向にあります。

ダイエットで妊娠率向上

また、ダイエット自体が妊娠しやすくするということを示した論文もあります。(Fertil Steril.2014 May;101(5):1400-1403)

BMI 25以上の52名にダイエットを試みてもらい、
①10%以上のダイエットに成功した群(平均14%体重減)
②ダイエットに失敗した群(平均3.8%減)
で、その後の妊娠成績を比較しました。明らかに妊娠率は、ダイエット成功群が高くなっています。

 

体重減少率10%以上の減少10%未満
妊娠率88%54%
出産率71%37%

 

肥満と妊娠の関係

太っている人や体脂肪率が高い人に、無月経や無排卵の人が多いというのは、肥満細胞が男性ホルモンを蓄えやすいということや、脂肪が増えるとあるたんぱく質が減少して卵巣膜が硬くなるということが関係しています。

もし、無月経や無排卵で太っている場合は、まずはダイエットをすることをおすすめします。
また、妊娠中毒症のリスクや難産のリスクを低くするためにも、適正体重にしておくことはとても大切です。

漢方的な見解

漢方でいうと、肥満とは痰湿・瘀血。
つまり、汚れたドロドロとしたお水や血液が蓄積されている状況です。
そうなると、その汚れの影響で血液や水の流れが悪くなり、うまく代謝されません。
そう、悪循環になるのです。

子宮の中は暖かく、綺麗な血液で満たされていなければ、赤ちゃんは授かることができません。
綺麗な血液とは、汚れていないこともそうですが、さらさらと緩やかに流れていることが必須条件です。
また、卵巣には痰湿という汚れたお水も蔓延しやすいのですが、そうすると排卵を阻害したり、ひどい時は卵巣嚢腫のような病気になってしまうこともあります。

 

漢方ではそれぞれ個々の適正体重というものがあると思っています。
日本人はBMIでいうと痩せ型の18.5未満の方も多いです。
それでも、自分の適正体重であることで、体内の循環がうまくいき、妊娠するのに支障がない。
元々痩せ型のモデルさんが問題なく妊娠出産しているのは適正体重に近いからだと推測できます。

ただ、見た目を気にする余り、自分の適正体重を大幅に下回るとホルモンバランスが崩れ、無月経になったりします。
漢方的には子宮に栄養を送る「血海」が空になってしまうと、例え痩せすぎを是正しても血海は簡単には元に戻らないので、ホルモンバランスは乱れたまま・・・ということも多くありますので痩せすぎからの月経不順などは危険です。
その逆に、太っている方は、必ずしも標準体型(BMI20〜24)になる必要はないと思っています。
ダイエットをするということは、生活を正すということです。
お菓子や白米、体に悪い油を多く取らないようにし(=痰湿・瘀血を貯めない)、
体を動かす(=血・水の循環を促す)生活を続けることで、体の内側は変わってきていますので、ある程度まで余分なものをデトックスできれば、標準体重まで落ちなくとも妊娠にはつながると感じています。
特に漢方薬などで体を整えながらダイエットと妊活をすると、体重減少以上の効果があると思います。

メディア出演も多数ある丁宗鐡先生は、著書の中で、日本で戦後に類を見ないベビーブームがあったことや、先進国よりもアフリカなどの飢餓に苦しむ地域の方が子沢山であることは、理屈よりも現象論としてある。不妊というのは恵まれている証拠だとおっしゃっています。

妊婦の栄養状態不良によって低体重児が増えていることを除けば、今の飽食の時代においては、栄養を摂取することよりもいかに節制するべきかの方が授かりやすいのです。

−14.8kgで自然妊娠した方の例

赤ちゃんがほしいとご来店されたのは35歳のお客様。
赤ちゃんを望まれて3年。
中学生のころから生理不順で30歳からはピルで生理を起こしていました。
ピルをやめると生理は3か月に1度。
そしてご来店時には、排卵誘発剤クロミッドをのんで排卵を起こさせていました。

ただ、一番気になったのはお客様の体重。
身長167cm、体重が86.8kg、体脂肪38.5%。BMI 31.1。

7~8年で20kg近く増加、仕事や引越しのストレスでの過食が原因だということです。

それから漢方薬で体を整えながら、食事を見直すダイエット!!
ダイエットは孤独な闘いですので、食事の指導はこまめに行っていきました。

30日後 79.8kg 37.1%。50日後 78.3kg 36.7%。90日後 76.3kg 35.6%。

なんと3ヶ月で-10.5kg!

そして4ヶ月後 72.0kg 33.1%(BMI 25.8)。-14.8kgのダイエット成功です!

5ヵ月経ったころには自力で排卵できるようになり、生理周期も30~40日周期と整ってきました。

それから約1年半、食事に気を付けながら漢方を続け、なんと自然妊娠!
妊娠中も胎児を守る働きのある漢方薬を飲み、無事出産!37歳でした。

先日、ご主人様と生後3ヶ月の赤ちゃんと一緒にご来店くださいました。
いつもお一人でのご来店だったお客様が、こうやって家族が増えご夫婦の間に赤ちゃんがいる、その姿を見せていただくとき、本当によかったな~としみじみ感じます。
また赤ちゃんを見つめるご夫婦のまなざしから、こうやって誰しも愛されてこの世に生まれてきたのだと、改めて自分自身にもそして周りにも優しくなれる瞬間です。

初期流産を繰り返し、ダイエットで無事妊娠できた例

36歳で現在、2歳5か月のお子様がいらっしゃいますが、その前に化学的流産を経験されていました。

お二人目をご希望され、昨年授かるも、9~12週目あたりで流産(心音確認もできていた)されていました。

繰り返す初期流産で自分自身の体を見直すことが大切だと一念発起!
体重も産前62kg(身長149cm)だったのが、出産後70kg、これではいけないと意識して現在の66kgまで落としたものの、もう少し減量したい。
身体の中から変えて妊娠できるようにしたい!ということでした。

体質としては、暑がりで寒がり、疲れやすい、風邪をひきやすい、冷え性(足・腰)、汗かき、肩こり、むくみ、頭痛、PMS(イライラ・頭痛)がありました。

お血・痰湿を改善する漢方薬を始めて1ヶ月目、毎年夏場は夏バテで食欲も落ちて、風邪なども引いていたが、今年は食欲も落ちず、風邪もひいていないので体調が良いと感じる!

2ヶ月目には基礎体温が微妙だが0.1度くらい上がったと思う。
生理は今月来ました。残念な気持ちもありながら、焦ることなく身体が元気になっていく事が可能性に繋がっていくと信じ、前向きに取り組んでいる!

3ヶ月目、ついに今月中旬予定位の生理がまだ来ていない!
食欲も落ちてムカムカもある!
その後、妊娠確定。漢方薬は安胎薬へと変更。
煎じ薬もつわりで飲めないようだったので、粉薬で飲んでいただくことにしました。

ちなみに、体重も1ヶ月に1kgぐらいで緩やかに落ち、ご妊娠された時には64kgになられていました。

正直、漢方薬も飲み始めて3ヶ月ぐらいでしたので、体質改善という意味ではこれからという時で、予期せぬ早い時期でのご妊娠でした。
何よりも前向きな心持ちが、強いエネルギーを生み、色々なことを後押ししてくれたのだと思います。
人の生命力の素晴らしさと生命の神秘を実感させていただきました。

産後ダイエットが功を奏した2人目妊活の例

32歳の女性(159cm/57kg)

1ヶ月間、漢方ダイエットを頑張っていただいていたところ、むくみが減り、下腹部が少しスッキリしたような良い変化が出られていました。
その直後、もしかしたら妊娠したかも!?という話になり、ドキドキしながら待っていたところ、今回は違いました・・と後日連絡がありました。

そして、産婦人科に行かれた事をきっかけに、以前卵巣嚢腫の手術を受けた方の卵巣が腫れていることが判明。

この状況を受け、ダイエットよりも、2人目の赤ちゃんのために身体を元気にしたい!と目標が変わられました。
日本人に多い下半身水太りタイプでしたので、ダイエット中はとにかくしっかりたまっている水を出す漢方を飲んでいただきました。

その後、二人目に向けては、水の巡りに加え、血の巡りを良くする漢方薬に切り替えました。

1ヶ月後・・まさかの妊娠!!

ご自身も「こんなに早く効果が出るとは!」と、とても驚かれていました。

驚かれた理由の一つは、同じ漢方を以前病院で(エキスで)出してもらって飲んでいたけど効かなかった・・という不安があったからでした。

しかし、今回の違う点は、まず煎じ薬である事!

エキスに比べ煎じ薬の方が効きが良い事と、その前にダイエットで水滞がとれていた事が重なって良い結果につながったと思います。

さて無事に妊娠されたのもつかの間・・

お一人目の時は吐き気やめまいが酷く、またその症状で悩まされるのでは・・と心配をされていました。
その心配を和らげるためにも、妊娠後は「安胎薬」と言われる漢方を続けて飲んでいただきました。
めまいが少し出た事もありましたが、吐き気はない状態で無事に日々が過ぎていきました。

そして、ついにお母様から安産の報告を受けた時はとても嬉しかったです!

今は出産直後のため消耗した気血を補う漢方を飲んでいただき、順調に産後を過ごしていただています。

3ヶ月で−11.2kg!二人目妊活はダイエットから

31歳、お二人目をご希望

お一人目のお子様も授かる1年前に卵巣膿腫が見つかり手術され、やっと授かられたそうです。基礎体温も見せていただきましたが、二相にわかれておらず、生理周期もばらばらでした。
体重は出産後に5キロ増えたまま戻っていません。

今はご主人様のお仕事の関係でタイミングをとることが難しいとのこと。

妊娠すると使えない活血剤でお血を解消!

実は、卵巣膿腫があったり、元々のお血体質を改善するためには活血剤といって、古い血を出し綺麗な血液を巡らせる漢方薬を使いますが、妊娠中には使えません。
妊娠を目指して体質改善する場合、排卵以降の妊娠の可能性がある期間は、活血剤は基本的に使いません。

今はタイミングが取れないということで、お血体質改善に専念できるのは、逆に絶好のチャンスでした。
まずは増えた体重を戻して、体に溜まったお血や痰湿を取り除くことからはじめていただきました。

体脂肪が多く、お通じが3日に1回でしたので、朝は痰湿を取る漢方、夜は血の巡りをよくしてお通じの出る漢方。
あとは食事療法を組み合わせた漢方ダイエットをスタート。
まず、10日でマイナス1.8キロ、1ヶ月でマイナス5.6キロ。
体脂肪も落ちてきているので朝気になっていた鼻水が出なくなりました。
生理も4ヶ月ぶりにきました。

妊娠前の体重には戻りましたが、あとマイナス5キロを目標に設定しなおし、引き続きしっかり続けていただき、
3ヶ月でマイナス11.2キロ、体脂肪もマイナス8.6キロ!
基礎体温も全体的には低いもののきれいに二相にわかれてきました。

体重や食べたものの記録表もきっちりと、また毎日一言日記によかったことがんばったこと時に反省点などを書かれ、本当に楽しくダイエットをされていました。

いつもほんわか、ゆったりと待った妊娠

3ヶ月でしっかり体重も落ちたので、漢方も本格的に妊娠に向けた腎を補うもの、女性ホルモンによいドリンクに切り替え、あとは妊娠を待つばかりとなりました。

いつもほんわかとされ、ご家族も仲良く、このお家に来た子はきっと幸せなのだろうな。
来てくださいますように。
いつも後ろ姿にそんな思いをのせながらお見送りさせていただきました。

基礎体温も全体的にあがってきたところ、生理の周期が長くなったり、すこし生理のはじまりに茶色いおりものが続いてなかなか来なかったり・・・。

これは私の個人的な見解なのですが、生理の周期が長くなったり、生理の感じがいつもと違ってくると妊娠をされるかたが多いようです。
もしかしたら、実は化学的流産であったり何か妊娠の兆しではないかと考えています。

今回もそんな期待をしていたら、やはり!ついにご妊娠!

今は、出産に向け安胎薬の漢方、これからは体調を崩せませんので自然治癒力を高めるもの、つわりのときはエキスの漢方を頓服で。
お通じをすっきりしていただくために植物性乳酸菌の入った酵素を飲んでいただいています。
妊娠される前もされてからもいつもほんわかゆったりと。
素敵な家族の笑顔が見えてくるようです。

ダイエットしたいときの漢方薬の一例

ダイエットの時の漢方を一部ご紹介。
妊娠中は瘀血を取り去る力の強いものやお通じをつける大黄が配合されているものは注意!
ぜひ専門家のもとでご自分に合った漢方薬をお飲みください。

<防風通聖散>

ダイエットでは有名な処方。お通じをつけ、毒出しができる。
長期間飲むと冷える可能性があり、代謝が悪化することも。

防風通聖散でむくみがとれる

 

<大柴胡湯>

ストレス太りにオススメ。お通じをつける大黄も配合。
補うものが少ないため、長期間の服用は注意する必要あり。

気の巡りを改善して痩せやすくする~ストレスや不規則な生活~

 

<加味逍遙散>

体力がそれほどない方向けのストレス太りに。お通じに波があったり、ホルモンバランスも乱れている場合にも使いやすい。

<柴苓湯>

余分な水分を取り除き、体のバランスを取りやすくする。若干体を乾燥させる傾向にあるので、長期間の服用や体質に合わない場合は注意。
水の巡りを改善して痩せやすくする〜日本人に多い下半身太り〜

 

<当帰芍薬散>

虚証の方向け。マイルドに血行を促進しながら、余分な水分を取り除く。ホルモンバランスの乱れに。胎児を守る働きがあるため、妊娠中にも。

妊娠のむくみに当帰芍薬散
 

<桃核承気湯>

瘀血を便と一緒に取り除く。瘀血が原因のホルモンバランスの乱れにも。
血虚がある場合は単独で用いない方が良い。

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