症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2022/01/14 (金)

朝方早く目覚める時に飲む漢方〜高齢者の不眠〜

朝方早くに目が覚めてしまうタイプの不眠

明け方トイレに行き、それから目が冴えて眠れなくなってしまう、夜中に何度もトイレで目が覚める・・・など、眠れない症状に加えて、腰痛や耳鳴り、頻尿などのいわるゆ老化現象を伴うことがあります。

原因は「腎」が弱くなっている

漢方の考え方としては、人間の生命エネルギーである『腎』が弱っていると考えます。
「眠る力がなくなってきている」とも言えます。
これを、『腎虚(じんきょ)』といいます。
年齢と共に、自然と弱まっていくのが『腎』で、生命エネルギーが弱るということは=老化、とも考えられています。
ただ、『腎』は両親から受け継がれるものでもありますので、生まれながらに弱い人もいます。
また、睡眠不足や過度な疲労が重なることでも、腎はどんどんすり減ってしまいます。

腎を補う代表処方

朝方早く目覚める、その他の老化現象がある場合は、『腎』を補う六味地黄丸(ろくみじおうがん)や八味地黄丸(はちみじおうがん)が一般的な処方になります。

ほてりや寝汗・口渇などが強い場合は六味地黄丸を、冷えやのぼせが強い場合は八味地黄丸をおすすめします。

早く起きる+寝付きも悪いという場合

ある程度の年齢になると感じ始めていると思いますが、ひとは年々、体の潤いが減っていきます。これは「腎」の水(=陰)が減っている証。

そうすると、火を消す水がない状態になり、体の中でちょっとした炎症が起きやすくなります。このことを「陰虚」と言います。

「腎」には「陰」と「陽」があり、陰は簡単に言うと冷ましたり、休めたり、回復させる力のこと。陽は体を温める力のことです。
陰虚とは、体の潤いが失われている状態のこと。冷ましたり、休めたり、回復させる力が弱っている状態のこと。

陰虚の状態に、カーっとなったりショックな事など、精神活動や睡眠を司る「心」の火の勢いも加わると、水がどんどん蒸発・・・。火の勢いを止める術なく、いつも「心」の暴走状態。心が騒いで、ゆっくり眠れなくなります。
人の体は少し体温が下がることでスムーズに入眠できますが、火・炎症を抑えられず、寝付きも悪くなります。

この状態になると、手足のほてりや寝汗、口渇、焦燥感などの熱症状が加わるようになります。

このタイプには、腎陰を補い、熱をしずめてくれる黄連阿膠湯(おうれんあきょうとう)や清心蓮子飲(せいしんれんしいん)といった漢方薬が使われます。

生活養生ワンポイント

体の潤いが不足して起きている症状には、身体を潤して昂った気を鎮める食材がおすすめです。
◉食材…レタス・ほうれん草・小松菜・アスパラガス・柿・白木耳・白胡麻・卵・豚肉・鴨肉・アワビ・帆立・カキ

高齢者の不眠症の改善例

証を見極める

典型的な高齢者の不眠のタイプをご紹介しましたが、上記のタイプにぴったり合うという人もいれば一部は合うけどと、人によって様々で、一概にいえることではありません。
実際に現場でも、上記以外の漢方薬を使うことは多々あります。
症状だけをみるのではなく、あくまで大切なのは、その人の「証」(体質)をちゃんと見極めることです。

睡眠薬がないと、眠れない…という方も、今一度自分の体質から見直してみませんか?
そして、自然な眠りを取り戻してみませんか?