河端孝幸の読む漢方

自然とともに生きること

日本文化が美しい理由

八月の草花は、向日葵((ひまわり)、朝顔、芙蓉、芭蕉、食べ物では、カキ氷、スイカ、カボチャ、小豆、大豆、インゲン、心太(ところてん)、鰻、アナゴ、鮑。行事では、夏休み、七夕、中元、その他生活に密着しているものでは、花火、線香、蚊帳、蝉、提灯、稲光、五月雨、流星。ということがあげられます。これらを眺めて気がついた方もいらっしゃると思いますが、すべて夏の季語です。

目には青葉 山ほととぎす 初 かつお((松魚))(山口素堂) 
夏草や 兵((つわもの)どもが 夢の中((松尾芭蕉) 
閑かさや 岩にしみいる 蝉の声(上)
さみだれや 大河を前に 家二軒(与謝蕪村)
夏の蝶 日かげ日なたと 飛びにけり(高浜虚子)

日本語や日本の文化が美しいと思うのは、自然をそのまま感じ取り、愛でる気持ちを持つということにあるのではないかと思います。
今年は関東地方が九州よりも先の六月に梅雨明け。また、北海道が記録的な大雨。これも自然界のなせる業でもあります。われわれ人間は、それに抗うことができず、受け入れ、でも知恵や科学技術を駆使して、何とかその災難を除く努力をしている。自然に対して、畏敬の念を抱きながら。

西洋文明と東洋文明の違い

私が考える西洋文明と東洋文明の大きな違いは、この自然に対する畏敬の念の持ち方の違いのように感じます。
東洋文明、ことさら日本の伝統文化というのは、自然に勝てっこないということに立脚しているように思えます。したがって、自然をよく観察し、どのような特徴を持ち、その時々の対処方法を考え、どのように仲良く生活をしていくかということを念頭に置くように思います。
一方西洋文明は、私に知識がないためかもしれませんが、征服する。削除する。拡大する。ということに立脚しているように感じます。

西洋医学と東洋医学の違い

この違いが病気を治すという医学の世界にも違いが出てくるのは当たり前ということが言えると思います。
西洋医学は、その症状の原因を探り、徹底的にその原因を削除していく。
一方東洋医学はその状態のバランスを考え、バランスを元通りにしていこうとしていく考え方。したがって、東洋医学はもっと端的にいうと、わからない医学ともいえると思います。すごく大切にするのは、自分自身でよくする力を有するということ。たとえば、自然界においてもそうですが、山火事が起こり、森が燃えつくされたとしても、また木は芽吹いてくる。洪水で田畑が荒らされたとしても、次にはその田畑は栄養が豊富になって還ってくる。それが自然の営み。
人間の体もそうたやすく死なない。病気を治そうとする絶大な自然治癒力が備わっている。それを最大限生かし、活用し、潜在的なこの治癒力を顕在化させようとするところに東洋医学の真骨頂があります。
冬になると体が冷え、夏になると体の内部が熱を持つ。つまりは人間の体も自然界と同じで、人間も自然界の一部といえます。だからこそ、自然を愛でるように自分を愛でること。自分を好きになること。自然はずうっと進化と発展をして現在があるのです。人間も同じ。進化と発展=プラス思考。ポジティブ思考。それが自然であり人間としての生き方ということを教えてくれているのですね。