症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2023/10/18 (水)

【感染した時の私たちのカラダ】

 
一般的な風邪やインフルエンザ、そして新型コロナウイルスに感染した時、私たちのカラダの中では、どのようなことが起きているのでしょうか?


主な症状としては、
□ 発熱
□ 咽頭痛
□ 咳
□ 鼻水
□ 頭痛
□ 関節痛
□ 筋肉痛
□ 倦怠感
□ 吐き気
□ 食欲不振
□ 下痢
等など

ウイルスや細菌の種類、また罹患する人によっても様々ですが、大体上記のいくつかの症状が現れることが多いと思います。

そしてこれらの症状は、カラダが細菌やウイルス(病邪)と闘っている証拠。


例えば「発熱」に関しては、体温を上げることで免疫反応を促進し、体内でウイルスが増殖しないように、そして外へ追い出すための、カラダの反応です。
炎症による各所の「痛み」も、体温を上げるために出る体内物質によるもの。
咳や鼻水、下痢などは、カラダにとって異物である病邪を外へ排出しようとする、自然な反応です。

辛い症状ばかりですが、自分のカラダが病邪と闘い、早く元通りに治そうとしているからこそ見られる、自然な生理現象なのですね。


また、若い人では高熱が出やすく、お年寄りの方は熱が上がりにくいことが多いですが、これはご自身が持っている闘う力の差が関係しています。

いわゆる「実証」とよばれるような体力が十分にある方は、闘う力「正気(せいき)」がしっかりあるので、現れる症状も激しめ。
一方の「虚証」とよばれるような体力が弱っている方は、正気も弱く闘いが小さいので、症状も穏やか。しかし、じわじわと長引きやすく、ますます体力を消耗して、いつの間にか重症化する場合もあります。
 
感染症とうまく付き合うためには
細菌やウイルスにはできるだけ感染しないことが望ましいと思いますが、手洗いうがいや消毒を行っていても、細菌やウイルスに全く触れない生活は現実的に難しいもの。

もっとも、健康なカラダでも皮膚や口腔内、腸の中などに常在菌はいるもので、私たちはもともと、ある程度許容しながら生きてきています。
例えば、お腹の中で胎児が母親と酸素や栄養のやりとりをするための胎盤形成は、私たちの遺伝子がかつてウイルスを取り込み進化した結果だそう。

細菌やウイルスも、人間と同じように自然の一部。
ただやみくもに排除するというよりも、どうやったら共存できるのかなと考えたくなります。


さらに、人間のカラダは想像以上に緻密にできており、自分で自分を治そうとするシステムがきちんと備わっています。

自分で治す力を信じて、しっかり発揮できるようにサポートしてあげること。
そして、
もし感染しても、「あ、感染したかも…」と感じる程度のごく初期の段階で治すこと。
辛い症状が出てしまったとしても、できるだけ短期間で回復すること。
後遺症が出たとしても、慢性化させずに回復すること。

これらが、感染症とうまく共存する上で目指すところだと、私たちは考えております。