症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2023/07/10 (月)

【夏は「心」と「脾」が頑張っています!】

夏の「心」
気温が上昇するとともに、体温も上昇。
身体の中の熱を放散するために、全身の血流量は増加し、心臓はドクンドクンと一生懸命に血液を送り出します。
また、体温を下げるために汗を作るのも「心」の働き。血と津液を材料にせっせと産生。汗腺の開閉を調節する「肺」の力でパーッと発汗させ、体内の熱を発散させます。

暑い日はとくに動いていなくても、何となく身体がだるい…なんか疲れている…と感じることがあると思いますが、それは「心」がこのように活動しているから。
気温上昇という自然の変化に順応するために、自然と身体がバランスを取ろうとしてくれているんですね。

このとき、心のエネルギー「心気」や、血・津液といった潤い成分「心陰」がたくさん消耗されます。

その結果、動悸、息切れ、ほてり、不眠などの症状が現れやすくなります。
これは一時的なもので治まりますが、不規則な生活や過労、ストレスなどが重なると長引くことも。
血がドロドロしやすいタイプの方は、血管が詰まる狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などにも要注意。
適度な休養・保養で心をいたわるのがポイントです。
夏の「脾」
キンキンに冷えたドリンクをゴクゴク飲んで涼みたい。
暑くて食欲も落ちるので、冷たくて口当たりのよいものを食べたい。
と、毎日のように冷たいものを食べ飲みしていると、内臓がブルブル凍えた状態に。
飲食物を消化・吸収し、気・血・津液に変換する「脾」の働きはガクッと落ちてしまいます。

体内に水分を巡らせる「脾」は、ジメジメした状態も苦手。
熱中症対策のためと水分を大量に飲むことも、実は「脾」を弱らせる原因に。

このような脾の弱りは、さらなる食欲の低下や体の重だるさ、むくみ、下痢などの症状に現れます。
毎日続けていると、体力を補えなくなり夏バテに。

脾は「後天の本」といわれ、食事から身体を作り、生きていくための土台となる働き。
脾に配慮しながら過ごすことで、秋まで元気はつらつに!



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