症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/10/11 (月)

気・血・津液(水)とは

「気・血・水」

「気・血・水」は人間の生命活動を維持するための重要な物質です。漢方では、人間の身体を「気・血・水」が循環し生命活動を行っていると考えています。「気・血・水」がバランスよく循環している状態を健康といい、「気・血・水」バランスが崩れることで、身体に症状が出てくると考えられています。

気 =陽気

気を陽気と呼び、陽気は人体を動かす生命エネルギーです。
気の働きは5つ。
①推動(すいどう)作用:血液循環や新陳代謝を促す
②防御(ぼうぎょ)作用:外から体に悪いものが入ってくるのを防ぐ
③固摂(こせつ)作用:汗・血・尿などが漏れ出るのを防ぐ
④温煦(おんく)作用:体を温める作用
⑤気化(きか)作用:血・水の生成や代謝、尿や汗などの生成や代謝をコントロールする

「気」の種類

「気」のつく言葉はたくさんあります。元気、やる気、気分、気になる、気を使う、気をつけて…など日常的に使用する言葉ばかりです。東洋医学では「気」を機能によって4つに分類します。
①元気
「元気があれば、何でも出来る!」と叫ぶ方もいらっしゃいますが、元気は気の中でももっとも重要な気です。

元気は生まれる際に両親から受け継いだ生命活動の源です。生まれた後は、水穀の精微(食事など)によって継続的に補充されます。そのため、元気を充実させるためには、食事が重要になります。
元気が充実すると、臓器や組織が活発に働き健康が保たれ、病邪が侵入しづらくなります。元気がもともと不足していたり、心身の消耗によって元気の作用が衰えると、病邪に侵入されやすく、病になりやすくなります。

②宗気
肺から吸入した気と、脾胃が飲食物から生成した水穀の気が結合し胸中に集められます。肺の呼吸作用と、血液の循環に関係し、上焦(心、肺)の機能を支えます。発声や呼吸の強弱、気血の運行に関わる手足の温度や運動能力、視聴覚、感覚器官、脈拍の強さに関係します。そのため、宗気が不足すると、呼吸が浅くなり、声に力がなくなります。

③営気
脾胃が飲食物から生成した水穀の精微からなり、血と共に流れ、全身に栄養を供給しています。営気は血の重要な組成部分でもあり、営と血には密接な関係があります。そのため「営血」とも呼ばれています。営気が不足すると、血液が不足し、全身の臓腑組織は栄養不足に陥り、生理機能が減退します。

④衛気
衛という字のとおり、衛気には外邪から体を守る働きがあります。また体を温める温煦作用があります。そのため、衛気が不足すると、外邪が侵入しやすくなり、体温が低下し免疫力が下がります。

営気が後天の気から得られる陰性の気といわれるのに対して、衛気は後天の気から得られる陽気といわれます。陰は内側で、陽は外側です。衛気は体表を覆い、体外から侵入する邪気から身体を守り、臓腑、肌肉、皮膚を温め、汗腺の開閉により、体温を調節します。
このように、気は全身に分布しています。気は、生まれたときに両親から受け継いだもの、飲食物、自然界からの清気からなります。そのため、気を充実させるためには、腎、脾、肺が正常であることが大切です。そのなかでも脾が重要だと言われています。

血(けつ)

「血」とは体内を流れている赤い物質のことです。つまり、血液をさしますが、栄養を体全体に運び、身体を潤し、生命活動を維持する働きがあります。
そして、東洋医学では「血」は精神活動にも関係すると考えられています。
「血」が栄養を運び、身体を潤すというのは想像しやすいと思いますが、「血」と精神活動が関係すると言われてもあまり、ぴんとこないかもしれません。
「血」が不足するということは、西洋医学的には貧血と言われます。
東洋医学では、「血」が不足した状態を「血虚」といい、めまいや立ちくらみなどの貧血症状のほかに、目がかすむ、目が乾く、疲労、頭痛、月経困難、月経不順
筋肉の引きつり、手足のしびれといった症状が表れます。
また、「血」は精神意識活動の基本物質と考えられているため、「血虚」になるとやる気が起きない、物忘れ、不眠、多夢といった精神症状も表れてきます。

なぜ「血」が不足するのでしょうか

血が不足することを「血虚(けっきょ)」と呼びます。
血虚の原因として
①飲食の摂取不足による栄養不良
②胃腸機能低下による、消化・吸収の低下
③気の不足、気の滞り
④血の滞り
⑤出血

などがあげられます。
もし、「血虚」の症状で病院に行ったら…
貧血症状には貧血の薬、不眠には睡眠薬、月経困難・月経不順にはホルモン剤などといった薬が処方されるでしょう。

しかし、東洋医学では「血虚」になった原因を探し、胃腸を強くする、気・血を補う、気・血の巡りをよくするなど、身体のバランスを整える事で「血虚」によっておこる様々な症状を改善していきます。

漢方薬は、一つの症状を抑える対処療法ではなく、どうしてそのような症状がでているのか本当の原因を良くしていきます。コツコツと続けて頂くことで身体はつながっている。という事を実感して頂けると思います。

津液(しんえき)=水(すい)

気・血・水の「水」は「津液」とも呼ばれます。
津液は、体内の全ての正常な水液の総称で、体液、汗、唾液、胃液、尿、涙、リンパ液などを言います。
津液は水穀の精微(飲食物からの栄養物質)の水液の部分ででき、脾で生成されます。
血と共に脈管内を循環し、脈管外にも浸み出して組織・器官・臓腑を潤します。

津液が不足し、肺が乾燥すると、咳、皮膚の乾燥、胃が乾燥すると、口渇がおこり、腸が乾燥すると、便秘になります。

なぜ津液が不足するのでしょうか?

津液は水です。
水を熱すると蒸発するように、津液も、体内に余分な熱があると不足していきます。

また、津液は脾で生成されるので、疲れ、ストレスなどにより脾の機能が低下したり、津液の元となる飲食物の量が少ない事でも不足します。

汗、下痢、嘔吐などにより、身体の水分が排出されることによっても津液は不足します。

津液が多すぎるとどうなるのでしょうか?

津液が正常に代謝されず、余分な水として体内にある状態を水滞といいます。

水滞が頭にあらわれると、めまい・頭痛、手・足にあらわれると、むくみ・関節痛、皮膚にあらわれると、アレルギー・アトピー・鼻炎、胃腸にあらわれると、吐き気・下痢など、といった症状が起こります。

水ですのでお天気によって症状が左右されることが多いです。

鼻水や下痢は、体内にある余分な水分を出そうとしていますので、ある意味、正常な働きと言えます。

水は1日2L飲んだ方がいい?

水は1日2L飲んだ方がいい。という健康法がありますが、人はそれぞれ、水分を代謝できる能力が異なります。

代謝能力が低い人が、2L飲むと…。

身体に余分な水が溜まり様々な症状があらわれます。

アレルギーや鼻水でお悩みの方は無理やり水分を取らずに、「喉が渇いた時に飲む」ことにすると症状が和らぐ場合があります。
ご自分のお身体の声に耳を澄ますと適量ってわかってくるものだと思います。

正気(せいき)について

血・津液(水)・精を陰液と呼び、陰液は人体を構成する要素です。血は①全身を栄養し潤す働きと②精神活動を支える働きがあり、水は血と共に脈管内を循環し、脈管外にも浸み出して組織・器官・臓腑を潤す働きがあります。

陽気(=気)、陰液(=血・津液)を合わせたものを正気と呼びます。正気とは、人体を動かすエネルギーと物質的基礎で、邪気に対抗する人体の抵抗力や生命力を表す概念です。

「気・血・津液」のバランスが崩れると邪気に対抗する人体の抵抗力や生命力である正気が減り、邪気に負けると人は病気になります。

気血水のバランス

病気にならないためには、「気・血・水」のバランスが大切です。

どれも水穀の精微(飲食物が脾胃で消化吸収されてできる栄養物質)から生成され、お互いに作用し合ってバランスを保っています。

気と血の関係

血は、気の「気化作用」によって生成され、「推動作用」により全身へと運ばれ、「固摂作用」により外に漏れでない状態が保たれています。

一見、血は気に”してもらって”ばかりな感じがしますが、実は血も絶えず気に水穀の精微を与えることによって、気の機能を保っています。そのため「気は血の統帥、血は気の母」と言われています。

気の作用が低下すると、「気化作用」が低下し、血が不足します。「推動作用」が低下し、血の巡りが悪くなり、血が体に滞り、瘀血が発生します。「固摂作用」が低下し、出血しやすくなります。

気と水の関係

水は、気の「気化作用」によって生成され、「推動作用」により全身へと運ばれ、「固摂作用」により外に漏れでない状態が保たれ、「気化作用」によって尿や汗になって排泄されます。

気の作用が低下すると、「気化作用」が低下し、水分が不足(津虚)します。「推動作用」が低下し水の巡りが悪くなり、水が体に滞り、水滞が発生します。「固摂作用」が低下すると、汗が止まらなくなったり、尿が漏れたりします。また水の滞りは気の流れを妨げます。

水と血の関係

血は、水と気から生成されます。つまり水は血の構成成分であるため、多量に出血をすると水も損失し、多汗、嘔吐などで水が消耗されると、血も不足します。
このように「気・血・水」はお互いに作用し合っているため、一つがバランスを崩すと、他にも影響が出てきます。ですので、一つずつバランスを整えてあげることで、他のバランスも整っていきます。

病気を治すためには

つまり病気を治すためには、「気・血・津液」のバランスを整えること。正気、つまり自然治癒力を高めること。

バランスを崩している原因は何かを探り、足りないものを補い、過剰な物は減らすことで身体のバランスを整え、病気を治していきます。

まずは自分の身体を知ること。それが病気を治す第一歩です。