症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2023/05/15 (月)

【梅雨は「湿邪」にご注意を】

春から夏にかけては、全体的に湿度が高まる季節。
なかでも雨の日が増える梅雨時期は、湿気の邪気「湿邪(しつじゃ)」による身体への影響は避けられません。

少々の雨や湿気であれば、不調が出るほどではない、もしくは一時的なもので治まります。
しかし、日頃から体内に余分な湿気「痰湿(たんしつ)」をためこみやすい体質の方は、湿邪の影響が相まって不調が重く長引きやすい状況に。
 
脾への影響
まず湿邪の影響を受けやすいのは、湿気に弱い「脾」、胃腸系統の働きです。

脾は、食べた物をエネルギーや栄養分、水分に変換して全身へ運ぶ働きがあります。
この働きが弱まるので、次のような不調が起こります。

□ 消化不良
□ 吐き気
□ めまい
□ 四肢のむくみ
□ 重だるさ
□ 頭痛
□ 下痢
□ 関節痛、膝痛
など

もともと脾が弱い方や、水分をたくさん摂る方、冷たい飲み物が多い方、生ものやアイスクリームが好きな方は、特にご注意を。
 
肺への影響
脾とともに水分代謝に関わる働きのひとつが「肺」。

肺は喉・鼻・肺・皮膚を通した呼吸や気をめぐらせる働きもありますが、シャワーのように全身の皮膚や粘膜を潤す働きもあります。
程よく潤っているのが好きなものの、ドロドロベタベタした湿気は不本意。

□ 鼻水、鼻づまり
□ 痰
□ ジュクジュクしたかゆみ
□ 顔のむくみ
などが現れることがあります。

肺とは母子関係にある脾の影響が及んでいることが多く、やはり水分や冷たい物の摂り過ぎ、甘いものや脂ものの摂り過ぎが不調に繋がりやすいので、ご注意を。
 
腎への影響
水分代謝に関わるもうひとつの働きが「腎」。

腎は生命エネルギーの源でもありますが、下半身の水分代謝も担っています。
水分は下にたまりやすく、たまると冷えてさらに滞ることに。

□ 腰痛、膝痛
□ 足腰のだるさ
□ 下半身のむくみ、冷え
□ 下痢、軟便
□ 耳鳴り
などが現れることがあります。

日頃からデスクワークなどで運動不足の方や、水に浸かることが多い方は、腎が弱りやすく水も滞りがち。
痛みやだるさが出るとますます動かなくなるので、悪循環になりやすいです。