症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2022/12/16 (金)

漢方と食生活改善で根気よく胃腸を元気に…悪化していた慢性鼻炎が改善!

やせ体型の50代男性。
若い頃から通年性の鼻炎で、喉も弱く、痰や咳も出やすいということがお悩みでした。

病院からの抗アレルギー剤など3種類を服用していても症状が年々悪化。

この先、薬も強いものになっていくことへのご不安も非常に強く、藁をもすがる思いで相談に来られました。
 
胃腸からくる鼻炎
体質を詳しく伺うと、元々胃腸が弱く、頻繁な胃もたれ、時々の胃痛、冷え性で、お酒もお好きで毎日2合の日本酒を嗜んでおられました。

明らかに胃腸が原因の鼻炎。

胃腸が弱いことで鼻炎になりやすいと聞くと、不思議に思われるかもしれませんが、漢方の考え方では当然のこと。
脾(胃腸系)が弱ると肺(皮膚・呼吸器系)も弱る関係が、理論として確立されています。

実際にこのお客様は、鼻炎だけではなくアトピー性皮膚炎もお持ちで、これも脾が弱いことに起因しています。


さらにこの方は症状がかなり慢性化している上に、少しずつ悪化傾向ということ。

根本改善には、根気強く胃腸を強くしていくことと同時に、良くなった状態をご自身で保つ力(自然治癒力)をしっかりつけていくことが必要でした。
それに加えて、胃腸に負担をかけている飲酒などの食習慣の改善も肝になります。
―本当によくしたい!良くする!という気持ちが、行動を変える―
漢方服用後、2週間ほどで咳と痰が軽くなり、3カ月経過する頃には徐々に冷えや胃の症状も改善傾向。
しかし鼻炎はまだ改善が見られず、病院の薬もまだ手放せない状況でした。


1年ほど経過した頃でも、胃の調子は良くなりつつありましたが、鼻炎は依然として酷いという状況。

一般的に胃腸を強くしていくには、年単位と言われるくらい根気強く継続していきます。

ところが、実はこのお客様、少し胃の調子がよくなると、漢方を飲むのをやめていました。
さらには油断してお酒を飲まれたり、味の濃いものもお好きで、食事の改善もなかなか進められずにいました。

鼻炎の改善がなかなか進まなかったのには、ここに要因があったのです。
 
病気は自分で創り、自分で治せるもの
ここから一歩前進するために、お互いに一度腹を割って話し合う機会を設けさせていただきました。

お客様も
「そうね。しっかりしないとね。やっぱり治したい。でも本当に治る?」
と少し半信半疑気味・・・。

「よくしたいと思って、良くなることをすれば、きっと良くなりますよ。私もこれまで以上にお酒とお食事のことはこまめにお伝えしていきますので、一緒に頑張りましょう。」
そうお伝えし、心機一転!再スタートをきることができました。


遠方であまりお会いする機会もない為、漢方をお送りする度にお手紙で、お食事やお酒のことに触れつつ、頑張りを称えながら、できる限り応援させていただいていました。

そこからは、好きなお酒の量が減り、味の濃い食事は「少しはね・・」と毎回はぐらかしながらも、できる範囲、続けられる範囲で控えられていました。


良くしよう!良くできる!という前向きな気持ちがあると、「気」の流れがグッとよくなり、それだけで自身の治癒力が増すと感じます。
―二人三脚の関係性で、健康を維持していく―
体調や季節によっても、都度、漢方も細かく修正しながら、一緒に頑張った1年。
その頃には、病院の薬も不要になり、漢方の量も最低量で、鼻炎の症状はほぼ出ないまでになっていました。

お電話で「お陰様で、調子いいよ!」と、お聞きできる頻度もグッと増えました。

その後、漢方もほとんど飲まなくても鼻炎が出ないまでに改善。


漢方を服用していない時も定期的に連絡を取り合い、調子の良さを一緒に喜び合いつつ、油断はし過ぎず・・・と気にかけていました。

その間は、食べ過ぎたり少しお酒を飲み過ぎると、胃腸の調子は崩れるが、鼻炎までは出ず、胃腸を休ませるだけで、数日で復活できている状態でした。
これはしっかり自然治癒力が発揮され、自身で良くなる力が発揮できている証拠です。


しかし、ある時、「胃腸の調子がどうも治りづらい・・・」とお電話が。
少し不養生が過ぎたようでしたので、早めに整えられるよう、短期集中でしっかり漢方を飲んでいただきました。

お客様の希望もあり、良くなったらなるべくご自身の力で・・・という方針で、現在も応援中です。

今月のお電話も、元気なお声が聞けますように。