症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2022/11/15 (火)

【冬を元気に乗り越える秘訣】

ポイントは、
 ・とにかく温めること
 ・腎陽を補うこと
 ・腎陰を補うこと
 ・粘膜の潤いを保つこと
 
[温めたいところ]
*首、手首、足首
寒邪が侵入しやすい部分。
特に後頭部~肩は風寒邪が身体に入ってくる玄関口。外出時はストールやマフラーで守りましょう。

アームウォーマーやレッグウォーマーで保温することで、デスクワーク中の冷え対策にも◎。
 
*背中、腰
腎と繋がる経絡が通るところ。
冷えによる頻尿や腰痛が気になる方は、意識して温めてみてください。

カイロや腹巻をしたり、太陽に背を向けて日向ぼっこも効果的。
 
*下腹部、お尻
女性はとくに腰とともに温めたいところ。
子宮周りの内臓を温めることで、生理痛や生理不順など、ホルモンバランスの乱れを防ぎます。

韓国のよもぎ蒸しが代表的ですが、ゆっくり湯船に浸かる、腹巻やカイロで温めることでも◎。

また冷えやすい生理中はもちろん、おりもの用にも使える布ナプキンは、肌触りもよくふんわり優しく温めてくれます。
 
[腎陽を補う]
*太陽からエネルギーをいただく
冬の貴重なエネルギー源。
太陽の温かさ、明るさ、パワーは、人工的なものからは得られない生きる力を私たちに与えてくれます。

心も体もぽかぽかになり、沈んだ気持ちもいつの間にかふわっと。
 
*冷やさない
前述の温める行動 + 冷たい物を控えること。

温かい飲み物であっても、水分自体の摂り過ぎは体内で冷たい液体となり身体を冷やすことに。
1日1~1.5L程度をちょこちょこ飲みで。
 
*足腰を鍛える
腎を強くするには、足腰の強化が効果的!
スクワット、もも上げ、かかと落とし、ウォーキングなど、一日の中で小分けして継続を。

物理的に温めるだけではなく、自ら動いて熱を産生!脂肪も燃焼!
 
*タンパク質を摂る
足腰を強くするには、筋肉が大事。そのためには良質なタンパク質が欠かせません。

肉や魚だけではなく、大豆などの豆類やお味噌汁など、毎日さまざまな食材から摂ると効果的。
こまめにたんぱくも美味しく活用しやすいのでオススメです。
 
  • 腎陽を補う食べ物
    黒米、山の芋、エビ、クルミ、羊肉、さば、ニラ、よもぎ、八角、桂皮(シナモン)、酒 など
[腎陰を補う]
*早く寝る
日の入りが早くなる冬は、人も早く寝るのが自然の摂理。

とはいえ、仕事や家事など日の入りとともに寝るのは不可能なので、22時~23時就寝を目指しましょう。
難しい方は、お昼に15分程度寝るとよいです。
 
  • 腎陰を補う食べ物
    山の芋、白キクラゲ、黒ゴマ、黒豆、ナツメ、クコの実、クルミ、ざくろ、アワビ、ホタテ、鴨肉、豚肉、スッポン、牡蠣、カニ、イカ など
[粘膜の潤いを保つ]
*加湿する
暖房による室内の乾燥も加速する季節。
加湿器や濡れタオル、観葉植物を置くなど、室内の湿度を40~60%に保つことでウイルス対策にも効果的。

マスクは口呼吸にならないようご注意を。
内側に湿らせたガーゼを入れると乾燥対策に◎。ローズウォーターがおすすめです。
 
  • 粘膜を潤す食べ物
    松の実、黒ゴマ、白ゴマ、納豆、豆腐、オクラ、白菜、水菜、百合根、山の芋、里芋、蓮根、白キクラゲ、りんご、梨、ぶどう、カリン、柿、いちじく、ざくろ、くるみ、ハマグリ、卵、ハチミツ、オリーブ油、ごま油 など
※汗のかき過ぎはNG※
サウナや岩盤浴、ホットヨガは身体が温まるので、冬に行かれる方も多いのではないでしょうか。

血行も良くなり、デトックスもされ、リラックス効果もありますが、大量に汗をかくためエネルギー(陽気)や潤い(陰液)の消耗が激しく、温めて開いた毛穴から冬の冷気が入りやすくなります。

余分な水分が溜まっている痰湿タイプの方でない限り、漢方的には控えめにしたいところです。



〔参考資料〕
『薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖』西東社 出版
『東方栄養新書』梁 晨千鶴 著