症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/04/12 (月)

4月17日からは、胃腸の不調が起こりやすい!?

4月17日~5月4日は春の土用。
春から夏へ向けての準備期間であり、漢方的には“脾”(胃腸)の疲れが出やすい期間でもあります。
ちなみにこの「土用」は年に4回、季節の変わり目(立春・立夏・立秋・立冬前の18日間)のことをいいます。

最近、食欲がない、胃がムカムカする・痛くなる、げっぷが出る、吐き気がする、お腹をこわしやすい、便秘しやすい、お腹が張るといった症状はございませんか?
その原因は、自律神経系の乱れからきているかもしれません・・・。

 

胃腸の調子がよくないとき、胃薬や整腸剤を使う方もいらっしゃるでしょう。
胃腸が弱い方は常に持ち歩いて、食事のたびに飲まれることもあるのではないでしょうか。

ただやはり薬は対症療法。薬に頼る前に、まずは養生が大切です。

私たちにはもともと、薬に頼らなくても自分で病を治す力が備わっています。
養生は、日々の食事や運動、睡眠などの生活習慣はもちろんですが、心の部分=考え方や感じ方といった、精神的なことも含みます。私たちがもつ“治す力”を上手に発揮していくための心得のようなものです。
“気の持ちよう”というのもそのひとつ。
昔から“病は気から”という言葉もあるように、“心”はとても大切です。

例えば、重要なプレゼン前に緊張でお腹が痛くなってしまったときも、いざプレゼンが始まってしまえば腹痛は治まってきて、終わった後はすっかりお腹の調子も元通り。食欲すら湧いてきます。

新しい職場や学校のクラスに通い始めてしばらくは、初めて話す人達ばかりで毎日気を使い、ちょっとしたことも不安になったり悩んだりイライラしたり・・・。食欲が落ちたり、胃がキリキリしたり、便秘になったり下痢になったりして、体調がよくないと余計落ち込むこともあるかもしれません。

でも私たち人間はよくできています。だんだんと環境に慣れてくるものです。
もちろん人によってそのスピードは違いますが、自然の流れに身を任せているうちに、順応していく力があります。
「気のせいだ」「きっと大丈夫!」「そのうちよくなる」「なんとかなるさ~」・・・
そう自分を信じてみるだけで、不思議と心も体も、良い方へ向かいはじめますよ。

春は気の流れが一時的に乱れる季節。
そのせいで胃腸の調子も崩しやすい季節。

自然とともに生きる私たちなので、影響を受けるのは当たり前のこと。
環境が変われば、心も体も影響を受けるのは当たり前のこと。

気にしすぎず、今がんばってくれている自分自身をほめてあげて、いたわってあげてくださいね。

 

どのような不調も、まずは“治す力”を発揮できるように養生すること。
そして慢性化させないことが大切です。
漢方みず堂の「漢命水」をお持ちの方は、とくに不調が気になるときには一時的に増量されるのもよいでしょう。
もし不調が続く場合は、慢性化させないことが大切ですので、お早めに担当の相談員にお知らせくださいませ。

プチ養生

ここでは、“心”以外の養生も少しお伝えさせていただきますね。

☝適度に甘いものを摂る

漢方的には、胃腸は甘いものの影響を受けます。摂りすぎると弱りますが、適度に摂ることで胃腸の機能を補ってくれます。「甘いものが食べたいな・・・」と感じる時は、胃腸が弱っているサインになっていることもあります。
ただ「甘いもの」と言っても、チョコレートやケーキなどのお菓子や菓子パンはおすすめできません。
自然な甘みを感じられる、芋類、栗、かぼちゃや、穀類、豆類、なつめなどが、胃腸の元気を補ってくれますよ。

☝お腹を冷やさない

暖かくなってきたからといって、アイスなど冷たいものの摂りすぎは胃腸を冷やし、働きを弱めます。
生野菜サラダやスムージーも胃腸を冷やすので控えましょう。
生姜やネギなどの温める食材を一緒に摂るようにすると、お腹を冷やさず安心です。
また冷たい飲み物ではなくても、水分の摂りすぎ自体も冷えに繋がります。“水”は熱を冷ます性質があるので、体の中に過剰に溜まると、冷えた状態になります。
水分は一気に摂るのではなく、少しずつこまめに分けて摂ることが、胃腸に負担をかけずに水分摂取する秘訣です。

☝香りのよいものを取り入れる

春の気の乱れが気になる方は、香りのよいものがおすすめです。お食事や飲み物でハーブなどの香草やセロリなどの香味野菜を取り入れたり、柑橘類の皮をお茶やお料理に入れるのもよいでしょう。漢方では「陳皮(ちんぴ)」というみかんの皮を乾燥させた生薬があり、胃腸を補ったり気をめぐらせたりするために用います。

☝深呼吸する

気の乱れを整えるために一番早くて簡単な方法は、やはり呼吸法です。
知らず知らずのうちに、肩が上がり余計な力が入り、呼吸が浅くなっていませんか?
胃腸の動きと気の巡りは密接に関係しています(緊張するとお腹が痛くなるように・・・)。
ゆったりと、心を落ち着けて深呼吸~。
可能な方は、目を閉じて、お腹に手を当てて呼吸したり、胸を開くように腕を伸ばして呼吸するのもおすすめです。

☝動く

「新年度で忙しく、運動なんてする余裕はない!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、通勤・通学のときに歩くだけでも良いです。そのときはぜひ、その日の天気(空や風や気温など)を感じながら、木々や草花の変化を感じながら、また行き交う人々のことを感じながら・・・「目の前にある今」を感じながら歩いてみてください。周りに目を向けるだけで、「ひとりじゃないんだな」と感謝の気持ちが湧いてきて、不思議と自分の中に良いエネルギーが巡りはじめますよ!
外出が難しい方は窓を開けて、ラジオ体操やストレッチ、ヨガなどもいいですね。

 

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