症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/27 (金)

「冬虫夏草」について~奇妙な生態~

先ず、「冬虫夏草」と書いて「とうちゅうかそう」と読みます。

 

冬虫夏草はチベット、青海、四川、雲南といった中国の高原にわずかに生息するキノコの一種であり、

中国では古くから薬草として用いられ、宮廷において「強精強壮・不老長寿の妙薬」として珍重されてきました。

 

「冬虫夏草」の名称は、チベットで古くに、この菌が冬は虫の姿で過ごし、

夏になると草になると考えたことから名付けられたそうです。

 

冬虫夏草」は昆虫と菌種の結合体で、“虫”は蛾科の昆虫のこと、

菌種は「冬虫夏草」菌 (Cordyceps sinensis Berk Sacc)のことです。

 

夏になると、色鮮やかなたくさんの蝶が山中を飛び、花にたくさんの卵を産みます。

やがて卵が幼虫に孵化し、土の中に潜り、植物の根の栄養分を吸収して大きく成長します。

この時「冬虫夏草」菌がこの昆虫につくと、菌はまず昆虫の体内に侵入し、

昆虫の豊富な栄養分を吸収しながら、ぐんぐんと育っていきます。

長い冬の間に、菌は昆虫の体内で成長します。

形は昆虫の形が残っていますが、中身はもう菌に変わっているのです。

 

これが“冬虫”です。

 

春の終わり頃から初夏にかけて、菌に変わった“虫”は発芽し、

小さな頭(菌の子実体)が地面に出ます。

この時が最も採集に適した時期です。

そのまま放置するとやがてその小さい頭は草(細長い棍棒型)になります。

 

これが“夏草”です。

 

この奇妙な自然生態ゆえに「冬虫夏草」と呼ばれたそうです。

 

 

ちょっと気持ち悪いと思った方もいらっしゃるかもしれませんが、

あくまでも「菌」つまりキノコですのでご安心ください。

 

次回以降冬虫夏草の持つ素晴らしい効果をご紹介していきますが、

その素晴らしさを知ると、気持ち悪さも吹っ飛ぶことと思います。

どうぞお楽しみに!