症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/10/14 (木)

自律神経失調症

漢方的な考え方
「自律神経失調症」といっても、一人一人症状は多様にあり、調べても原因が分からないことが特徴です。

自律神経は運動神経と違い、自分の意志で動かすことはできないもの。
またストレスや精神面の影響も受けやすいです。

漢方では精神的な影響をとても重要視しており、その体に対する影響の仕方についても、漢方独特の理論のもと体系化されています。
 
「心」は神明を主る
体を機能別に分類した五臓「肝・心・脾・肺・腎」の内、「心(しん)」は
● 血脈を主る:心臓のように全身へ血流を送る働き
● 神明を主る:精神や意識、思考する働き
を担っています。

神明の「神(しん)」というのは、「人間の生命活動の外的な現れ」という意味も含んでおり、姿形や顔色、眼光、言語の応答、身体の動きなどを指しています。
さらに突き詰めると、精神状態や意識、思考活動を意味します。

「心」が不調をきたすと、この「神」の働きが乱れます。
例えば、眠れない、夢をよく見る、気持ちが落ち着かない、うわごとを言う、物忘れするなどが起こります。


また「神」は他の臓にも宿っており、「肝」には「魂(こん)」、「肺」には「魄(はく)」、「脾」には「意」、「腎」には「志」とあり、心の神(神明)が一番上で全ての神を管理しているような関係性があります。
 
「脾」「腎」の神のバランス
肝の「魂」は生命力や第六感・性と、肺の「魄」は睡眠と関わる先天的な働きと考えられています。
そのため、この働きを治療するのは難しいとされています。


一方、脾の「意」・腎の「志」は後天的な働きで、この二つが弱るとそれに関係する症状が出やすくなり、逆に鍛えてあげることで改善します。

認知症やうつ病は、この二つのバランスが関係していると考えられています。
  • 「意」
    思ったり考えたり、短期的な記憶に関わる働き。言われたことをすぐ覚えたり、すぐにカッとなったり、思い込むと食欲がなくなるというような現象と関係する。
  • 「志」
    「今日はこれをやろう」というように何かを決めたり、中期的な記憶に関わる働き。物忘れや、考えすぎて決められない、何でも他人任せにするというような現象と関係する。
「意」が弱いなら「脾」を、「志」が弱いなら「腎」を立て直す。

これはあくまでも色々ある考え方のひとつなので、他の症状や体質も総合的にみた上で判断する必要がありますが、漢方にはこのような精神面に関する考え方もあるのです。
 
『自律神経失調症』を根本から改善するには、漢方薬を
そもそも自律神経は、
・心身を活動に導く緊張・興奮の神経「交感神経」
・心身を休息に導くリラックスの神経「副交感神経」
の2種類がバランスよく働いています。

この交感神経と副交感神経のバランスが崩れて、身体に様々な不調が起こるのが「自律神経失調症」。
“心の病”と呼ばれてしまうこともあり、日本で年々増えていると言われています。


症状としては『イライラ・不安感』などの精神症状から、『動悸・朝起きられない・倦怠感・めまい・頭痛・肩こり・耳鳴り』のような身体症状など様々。
更に自覚症状の辛さはもちろんですが、周りの方に理解されなかったり、解決方法が見つからず、1人で悩んでしまい、それがかえって症状を悪化させてしまうことも少なくありません。


漢方では、心と体のバランスをとり、“オン”と“オフ”のスイッチをきちんと切り替えられるように導いていきます。
自律神経を整えていくことは、漢方の得意分野の一つです。

漢方相談では、まずはなぜ症状が出るようになったのか、いま体の中でどういうことが起こっているのかを漢方的に紐解き、お一人お一人に最適な処方を選んでいきます。

そして、そもそも体のバランスが乱れる原因は、心・食事・運動・休養・環境の乱れ。
漢方薬を飲むとともにこれらを見直していくことで、自分の良くなる力をより発揮できるようになり改善への大きな後押しとなります。

原因は分からないけれど辛い症状でお困りの方は、ぜひ一度漢方みず堂にご相談くださいませ。
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