症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2024/02/14 (水)

春が訪れる前には

 
 
今年も近所の梅の花が咲くのが楽しみな、冬の終わり。

寒さ厳しい中にも、温かい陽射しや日照時間の延びに
少しずつ春の気配を感じています。



今年は元旦に、大きな災害が起こりました。
復興までの道のりは決して簡単ではありませんし、
前を向いて踏み出すためのエネルギーは、相当なものだと思います。


被災された方だけではなく、
おひとりおひとり、それぞれ、何かしら抱えていることもあるかと思います。
 
 
人生や物事の経過は、よく季節に例えられます。

日頃はそのようなことを意識して過ごしているわけではないですし、
突然、冬のような厳しい辛さを感じる出来事に遭遇することもあるでしょう。

これは真夜中の暗闇にも例えられると思います。




辛い状況にあるとき

大きな悩みを抱えているとき

深い悲しみに沈んでいるとき


このようなときは、
いつまでもこの状況が続くような気がして、
途方に暮れ、希望を見失うこともあるかもしれません。

孤独な気持ちになり、
心を閉ざしたくなることもあると思います。



しかし、厳しい冬の中にあっても、
咲いている花に心惹かれ、ほっとした気分になることもあると思います。


冷たく澄んだ空気に、心洗われるような、背筋が伸びるような気持ちにもなります。


人の温かさが一段と身に沁みて感じられ、
幸せと感謝の気持ちに心がポッと温まる瞬間が、より愛おしくも感じるでしょう。




さらに、この世界はあらゆる物事が常に変化し続けています。


時が止まることはなく、
陽が沈んでも、また陽は昇り、新しい朝が来ます。


季節はめぐりめぐっていき、
土に潜んでいた芽が顔をのぞかせ、
いつの間にか枝にできたつぼみが、今にも咲きそうに膨らんできます。



喪失感にさいなまれたり、
損失や失敗、退化と感じてしまう出来事も、

その中に何かきっと、
より良い未来に繋がる芽やつぼみがあるものだろうと思います。




前に進む力となる支えや学びに気づくことができれば、

そして、どのような状況にあっても感謝の気持ちを抱けたら、

もう春の気配は感じられているのではないかと思います。
 
 
冬には冬の、
春には春の過ごし方があるように、

いま置かれている状況を謙虚に受け入れ、

悲観し過ぎず、腐らず、

ただ今日一日を精一杯、大切に生きる。

その一日一日が積み重なることで、

きっと、明るい未来へと繋がっていくのだと思います。



今は冬を過ごされている方も、
春が訪れた方も、
夏や秋を過ごされている方も、

一日でも多く、皆さまの笑顔が咲き誇りますように。