症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2022/11/15 (火)

心温まる「無」の時間

ある日の休日。

秋晴れの空が茜色に染まる頃、久しぶりにのんびりお散歩をしました。


紅葉しかけた樹のそばのベンチに座り、ぼーっとしてみる。

カサカサと落ちた枯れ葉が風に流れて、ちょっとだけ肌寒い。

でも、チュンチュン鳥の声に心は明るくなる。

ふと見上げると、小さな綿をポンポンと浮かべたような雲に、白い三日月。


何もしない時間。

だけど、だからこそ貴いなぁ。


そんなことを、ぼ~んやりと感じました。




私たちは意識しないと、休む間もなく常に何かし続けています。

そうしないと置いて行かれるような、

何かに後れを取ってしまうような、

よくわからない不安感や焦燥感に、突き動かされているようです。



そんな人間たちを横目に、

花は自分が一番美しいと思う時に咲き、

鳥は思い思いに飛び回り、

風は気まぐれに駆け抜けて、

月は規則正しく満ち欠けを繰り返す。



人間の持つ能力もすごいけれども、

あまり自分たちの世界だけしか見えていないと、やはり窮屈な気持ちになる気がします。



私たちも自然の一部として、一緒にこの世界に生かされていることを思い出す。

人間ばかりの世界で動き続け、

ちょっと疲れた心を、

自然の、あるがままの状態に戻してあげる。


そうすると、さっき誰かと話していた時には気付かなかった、

自分の本当の気持ちや考えが、

すぅーっと浮かんできたりします。


さらには、

なんだかんだ、こうして今の自分があること、

自分のそばに居てくれる人がいること、

見守り、支えてくれる人がいることに気付き、

ありがたいなぁ、幸せだなぁ、と心が温まります。



何も無いような、無駄に思えるような時間こそ、

大切なことに気付かされる、宝物のような時間になるかもしれません。



年末の慌ただしい中、

ほんのひと時でも「無」の時間に心を休め、

皆さまと周りの方々に笑顔があふれますように。