症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2022/01/11 (火)

肌が大荒れ…この不快感とストレスから開放されたい!

多忙な日々を過ごしている、30代女性
お悩みはここ数ヶ月続く肌荒れ。頬や顎などに吹き出物ができ、赤く膨れ、化膿して痛む。いわゆる“大人にきび”に悩まされていました。1ヶ月程前から、肌荒れに効くという漢方薬を飲んでみたが変化はなく、ちゃんと体質に合ったもので根本から改善したい!ということでした。

元々、疲れた時や生理前になると顔に吹き出物ができやすく、以前にも一時的に荒れた事があったそう。ですが今回は、今までにないくらいひどい。肌荒れが長く続く事へのストレスに加え、一向に治まる気配がないことから、もしかして身体の中で何か悪いことが起こっているのでは?という不安が湧き上がっていました。

体質は、疲れやすい、貧血気味、手足の冷え、汗かき、肩・首・背中の凝り、疲れると側頭部痛、ボーっとする、高音の耳鳴り、鼻炎、喉のつかえ感、胃のムカムカ、お通じは1週間に1~2回で硬い、生理周期28日、子宮筋腫が数個ある。
症状の現れ方から見る漢方的要因
皮膚症状全般について、漢方的には症状の“現れ方”の情報は重要です。症状を引き起こす要因によって、肌症状の現れ方が異なってきます。

○ 風 → 出たり消えたり、場所が変わる、上半身に出やすい、風や寒暖差など外気の刺激で悪化しやすい、肌の乾燥感、かゆみ
○ 湿 → 浸出液が多い、艶感のある隆起、下半身に出やすい、強いかゆみ、長期化
○ 熱 → 熱感、痛み、赤みがある、化膿する、上部に出やすい
○ 燥 → かゆみ、肌がカサカサ、痩せている、ハリがない、秋や夜に悪化しやすい
○ 瘀血→ 肌が浅黒い、痕が残る、しみができやすい、皮膚が厚くなっている
これらは、外部環境を受けて、また生活習慣などから、臓腑のバランスが崩れた結果として、生じます。実際の皮膚症状は複雑で、複数の要素が絡み合っています。

この方の場合は、赤み、化膿、痛みなど、“熱”による皮膚症状が強く現れていました。肌を滋養する栄養が乏しい「血虚」に加え、仕事の忙しさやストレスなど「気滞」が熱を生み、「血熱」の状態へ。さらに、気滞が血の流れを滞らせて「瘀血」もありました。
そこで、熱を鎮めて解毒し(清熱解毒)、同時に、血を補って巡りを良くする(養血活血)漢方を飲んでいただきました。
経過
1ヶ月後 まだ赤みはあるが、少し肌の血色が良くなった。
2ヶ月後、赤みの範囲が小さくなってきた
4ヶ月後、生理前にポコポコとできるものの、肌の調子はずいぶんと良い!
半年後  私用と仕事が忙しく、漢方薬を毎日飲むのが難しい。肌は良かったり悪かったり一進一退。
1年後  普段は良いが、疲れると吹き出物が出る。
1年半後 相変わらず忙しい。それでも肌は落ち着いている。体調も良い。

肌症状は、身体の中の状態が表へと現れてきたもの。日頃から内側を整えて、お仕事の忙しさにもストレスにも負けない、肌力をキープしていけると良いですね!