症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2022/01/11 (火)

夏に悪化するアトピーに悩む30代女性

32歳女性。

生後間もない頃から続くアトピー。幼少期よりはだいぶ良くなったけれど、大人になった今でも、毎日抗アレルギー剤とステロイドの塗り薬が手放せない毎日。このままずっと薬に頼って過ごしていくのは嫌!漢方なら中からちゃんと治せるかもしれない。と思い、ご来店されました。

初めてお会いした時、見る限りでは、そんなにひどいようには見えず、少し皮膚が薄く、ところどころ赤みと掻いた跡が気になる程度。ですがお話を聞いていくと、洋服で隠れている部分、ひじ・ひざ裏や、胸・背中、頭皮などにひどく出ていて、広い範囲に強いかゆみを感じていらっしゃいました。

そのかゆみも夜になるとさらに強くなり、隣で寝ているご主人に、「ボリボリと音がするくらい掻いているよ」と心配されるほど。毎朝起きると掻き傷が増えているという状態が続いていました。

基本的には年中かゆみはあるけれど、特に汗をかく夏には悪化しやすく、今年は少しでも快適に夏を過ごせるようにとの思いでスタートしました。
血虚血熱と去風薬
お肌の状態は、化膿やジュクジュクした様子はなく、やや乾燥していて、赤くプツプツした発疹が出ていました。体質は3日に1回ペースの便秘、経血量が多く、時折立ちくらみもあったので、血虚血熱をベースにかゆみをなだめる去風薬が入った漢方を続けていただきました。
気乗りしなかった海水浴にも行けるように
まず飲み始めて一週間ほどで、お通じがほぼ毎日出るようになり、肌の赤みと夜のかゆみも和らいできているとのこと!スタートから1ヶ月経ってお会いした時には、毎日飲んでいた抗アレルギー剤も、月に数回、数えるほどまで減らせていました。

予想を上回るペースでの改善に、一緒になって喜びました。ですがこれからは暑さが厳しくなる時期。油断は禁物!

そして5月、6月。沖縄はほぼ夏です!じめじめと蒸し暑い日が続き、汗をかく機会が増えてからは、やはりかゆみ・赤みはやや悪化。それでも1日も欠かさず飲まれていたこともあり、以前より酷くなることはありませんでした。

この時から、ベースの処方は変えずに、夜のかゆみを和らげる為の清熱の漢方を加えました。

すると嬉しい変化が。経血量が少しずつ落ち着き、それに伴って立ちくらみも減ってきました。血熱が冷めてきている良い兆しかも。と思い、引き続き夏の間は余分な熱を冷ます漢方との併用を続けます。

そして7月。ぱっと見た瞬間からわかる調子の良さ!「暑さはどんどん厳しくなっているのに、すごく調子良いです!」とおっしゃる笑顔はとても眩しく、感動とホッとした気持ちになりました。そして今までは掻いた跡を見られるのが嫌で気乗りしなかった海水浴にもいけるようになり、沖縄の綺麗な海や適度な紫外線の効果もあってか、肌もなんだかたくましくなっているようでした。

アトピーの症状は、季節や環境の変化に敏感に影響を受けます。それでも強い肌を作ることができれば、症状の波は穏やかにしていくことができます。この良い状態が続くよう、これからも応援させていただきたいと思います。