症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/10/11 (月)

まぶた、顔のむくみ〜アレルギー体質、呼吸器が弱い人〜

色白の人に多い!アレルギー体質、呼吸器が弱い人のむくみ

漢方では水の通り道のことを「三焦(さんしょう)」と呼びます。
三焦とは「上焦(じょうしょう)」「中焦(ちゅうしょう)」「下焦(げしょう)」の3つのことで、どこの部分の水の通りが悪いかで漢方薬を使い分けます。

次の項目に当てはまるむくみは、上述の3つの水の通り道のうち、「上焦(じょうしょう)」のむくみと捉えます。
朝起きるとまぶたや顔がパンパン!という方は「上焦」のむくみの可能性があります。色白でアレルギー体質の方に多く、主に肺・呼吸器が弱ることで発生します。

□まぶた、顔がむくむ
□悪寒・発熱
□咳、喉が痛い
□アレルギー体質
□顔色が色白

柴苓湯でよくならなかったむくみの改善例

【年齢】
30代前半の女性
【むくみの症状】
10年前から、周りにも言われるくらいむくみが気になる。
出産後期は2回とも、「象の足」と言われるくらい足がパンパンになった。
妊娠時や婦人科の検診時には、病院から柴苓湯という水を出しやすくする漢方をもらい、飲んでいる間は良くなるけれども飲むのをやめるとまたむくんでしまう。
【体質】
花粉症、中耳炎、のど風邪(東洋医学で言ういわゆる「肺系統」のお悩みが多い)
疲れやすい・風邪をひきやすい・のぼせ・冷え性(主に足)・汗かきにくい・肩こり・足の爪がスプーン状・立ちくらみ・横になると目がぐるぐるする・目の疲れ・鼻水鼻づまり・口渇(冷飲)・PMS(眠くなる・食欲増進)

柴苓湯は水出しの処方

柴苓湯は、「五苓散」という水出しの漢方薬がベースになっています。
飲めば体の中から水分が抜けていくのは、ある意味当然のことです。
体質が合う方なら体質改善の漢方として使われますが、この方の場合、体質は典型的な気虚・血虚というエネルギーや潤いの不足があり、それがむくみの根本の原因でした。
また、生まれながらの「肺」の弱さもむくみに拍車をかけていたため、肺を強くすることも重要。
むくみを繰り返さないため、根本から体質を改善していくためには気虚・血虚を改善し、肺を強くする「気血双補剤」が良いとご説明しました。
使ったのは、添付文書に「むくみ」とは一切書かれていない薬。
むしろ「むくみのある人は使用の際に医師・薬剤師に相談すること」と書かれています。
添付文書を元に考える病院では、おそらくむくみには使用されない薬。
水出しの漢方である柴苓湯よりも効果は遅いかもしれませんが、と補足してのスタートになりました。

経過〜予想外に早い効果〜

このお客様は実は鍼灸師の方で、普段から東洋の知恵で身体のめぐりがとても良かったのもあり、プラス漢方薬で身体の中から補ってあげることで予想外に効き目はすぐに現れました。
飲み始めて2週間のあたりからむくみが軽くなり、それだけでなく花粉症ものど枯れもとても楽になってきたと、実感されていました。
まだまだ改善途中ですのでこれからが大切ですが、鍼灸と漢方のダブルの力できっと良くなります!応援しています。

一躍有名になった防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)はアレルギー体質改善やむくみにも効果あり

よくテレビなど内臓脂肪型のダイエットにお腹周りが気になる方へと宣伝されていて有名な防風通聖散。
試された方も多いと思います。飲んでお腹が痛くなり下痢するので続けられず止めたとよく耳にします。
勿論、体質にあっていればとても効果的な漢方薬です。
確かにダイエットでよく使われますが、むくみや皮膚疾患(蕁麻疹)、喘息などに応用できます。

防風通聖散の中身

18種類の生薬が含まれていて、効能も多くあります。
全体としては熱を冷ますのが主体の漢方です。

石膏、連翹、山梔子(クチナシの実)、黄芩、大黄、芒硝、滑石:熱をとり、便として排泄をする

防風、荊芥、麻黄、薄荷、滑石、白朮:発汗、利水

当帰、川芎、芍薬:血を補う

白朮、甘草:胃腸を整える

「汗して表を傷らず、清下して裏を傷らず」と言われ、汗を出させたり、便通を促すことで、体の中の熱を冷まさせる一方、補うものも配合されるので体が消耗することもないという意味です。
バランスが良いために応用範囲も広く体質改善として長く使えます。

防風通聖散の合う体質、合わない体質

体格が良い、暑がり、美食家、便秘、喉が渇く、咳、痰(粘性)、尿が濃く少量、目の充血、むくみ、赤みをもったにきび・湿疹がある人にぴったりです。

胃腸が弱く、下痢傾向の方、冷えが強い方、華奢な人には使いません。

下剤の効果の、大黄、芒硝が入っているためで効きすぎてしまうこともあります。

エキス顆粒になったものは調節ができませんが、煎じ薬になると煎じる時間を長くして調節することで大黄の下剤としての効果を緩やかにもできます。
少し手間はかかりますが、煎じ薬をお勧めします。