症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/27 (金)

麦芽(ばくが)

夏バテと胃腸

夏は、この暑さをしのごうと体を冷やすのに、よく冷たい食べ物や飲み物を取りがちになります。
適度な量ならいいですが過度に取りすぎると、胃腸の働きが落ちてしまいます。そうすると、食欲が落ち、夏バテになってしまいます。

まずは、胃腸を元気にしてあげることで健康な体づくりをしていきたいですね。

麦芽

麦芽にはアミラーゼやプロテアーゼなどの酵素が豊富に含まれ、ビタミンB群も多く含まれているので消化を助けながら栄養も取れます。

また、麦芽(大麦)はビールやウイスキー・水飴などの原料としても使われています。

麦芽の性質

味:甘

帰経:脾・胃

効能:消食・健胃・退乳
使われている漢方薬:化食養脾湯・半夏白朮天麻湯

消化や胃腸の働きを整える目的で上記の漢方薬に配合されて用いられています。

一方、「退乳」とあるように、おっぱいが出過ぎて乳腺炎になったり、授乳を中止する時、高プロラクチン血症の場合などに、10g程度を煎じて飲みます。(中国では120gぐらい大量を煎じるようです)つまり、おっぱいが出なくて困っている人には向きません。

炮製(ほうせい)

炮製とは薬材を加工処理して副作用や毒性を軽減したり、薬性を変えたりすることです。例えば、毒性の強い附子(トリカブト)は高圧加熱することで毒性を弱めています。

麦芽も炮製によって用い方が違います。消化促進目的の際には、炒って使いますが、退乳目的の際にはそのままで使います。

同じ消食薬に分類される、山査子(さんざし)や神麴(しんきく)なども、目的によって炒ったり、炭にしたり、生で使ったりするので、おもしろいですね。

ちなみに炒り方の程度も色々あり、

①弱火でやや香りがするまで炒る「炒黄(しょうおう)」

②中火でやや焦臭くなるまで炒る「炒焦(しょうしょう)」

③強火でそとがわが黒く焦げて炭のようになるまで炒る「炒炭(しょうたん)」

があり、消食薬の場合、消化促進目的では①~②、下痢までしている場合には②~③で用いるようです。