赤紫蘇・青紫蘇
日本ではとても有名な保存食である梅干しに入っている赤ジソ。梅干しは日本独特の食品で、シソの紫色の葉に含まれているアントシアニン色素が梅のクエン酸などで酸化されると赤紅色に変化することによって梅干しが赤くなるそうです。
気の巡りを良くし、胃腸の働きを回復させる効能もありますので、プチうつの時などには、青ジソや『ゆかり』を利用するのも手軽で良いですよね。
そして、お刺身によく添えられている青ジソ。これにも意味があり、魚介類の中毒予防、中毒症状の嘔吐や下痢の改善にも効果があると言われています。実際に、魚貝による蕁麻疹の時に用いる「香蘇散」という漢方には、紫蘇が入っています。
シソは、発汗を促し、冷えをとるので、この梅雨時期の冷えなどで調子を崩した時に身近な食材としてとり入れ元気に夏を迎えましょう!
漢方生薬としての紫蘇
漢方生薬としては紫蘇や蘇葉と呼ばれて使われています。
蘇葉はシソ科シソの葉。または葉先がギザギザのチリメンジソの葉を乾燥させて使います。原産地は中国で、日本には10世紀頃渡来しました。
紫蘇や薄荷のように芳香性の高いものは、保存により有効成分が減じやすいため、なるべく新しいものが良品とされます。また、長時間煎じないようにすることが大切で、本来は後下(こうげ)または後煎(あとせん)と言って、他の生薬を20分ほど煎じた後に加えて煎じ時間を少なくするのが良いとされています。
こんな時におすすめ
①妊婦・お年寄りの風邪の引き始め
風邪をひいた時に有名な葛根湯や小青竜湯などは、発汗させて回復させる効果がありますが、お年寄りなどの体力がない方、または妊娠中の方には、作用が強すぎます。この蘇葉が入っている「香蘇散」をもちいると穏やかな効き目で治してくれます。
②気滞によるつわりや胎動不安(切迫流産)
マタニティーブルーといわれるような、妊娠中の気分の落ち込み、それに伴うつわりや胎動不安に用います。
③食欲不振・嘔吐下痢や喉の異物感
夏の食欲不振・暑気あたりに有名な「かっ香正気散」にも蘇葉が入っています。また、喉の違和感(梅核気)に有名な半夏厚朴湯にも蘇葉が入っています。