症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/24 (火)

喘息の漢方は痰(たん)で見分ける!

多くなった咳・喘息

春になると花粉や黄砂、光化学スモック、最近ではPM2.5など空気が霞んでしまうほどの日が度々ありますね。その影響もあるのか、ずっと咳が続く方、喘息が悪化する方などが非常に多くなっているようです。

喘息に用いる漢方はそれこそ多岐に渡ります。逆に言うとその時々の状況に応じた漢方を飲まなければ効き目がありません。”その時々の状況”を見極めるのが専門家の腕の見せ所となりますが、私は喘息・咳の場合は「痰」の状態を非常に重要視しています。

①サラサラの白または透明の痰が多量の喘息

いわゆる風邪の引き始め、邪気が体に入ってきた時に体力があれば発汗させて邪気を吹き飛ばす漢方を、体力がなければ体の芯を温め冷えを退散させる漢方を使います。

・風邪の初期症状(悪寒、発熱、頭痛)と共に薄い痰が出て喘息っぽい時→小青竜湯(体力有)麻黄附子細辛湯(体力無)など

・風邪を引きやすい、下痢しやすい、疲れやすい→参蘇飲など

②粘調性の黄色い痰の喘息

①の状態に熱が加わると、痰の状態は黄色く、からんだ状態になってきます。

・発熱、口渇、胸痛→麻杏甘石湯(体力有)五虎湯など

③粘調性の痰が多量の喘息

「肺」という臓は“貯痰の器”と言われるため、ある程度痰があるのが普通です。むしろ乾燥の方が苦手です。しかしちょっとしたことで痰が過剰になることがあります。

・元々胃腸が弱く、体力が落ちた時に痰が出て喘息になる→二陳湯、六君子湯など

・ストレスがかかった時に痰が出て喘息症状・胸痛が出る→柴朴湯、柴陥湯、温胆湯など

④痰が少ない

「肺」は乾燥を嫌います。しかし②の熱が長く続くと体の津液は損傷されカラカラになってしまいます。そんな時は肺を潤す漢方を使います。乾燥したら喘息になるという人もこのタイプ。

・空咳、痰が切れにくい、夜間の咳、ほてり→麦門冬湯・滋陰降下湯など

・更年期に伴った喘息、虚弱な人の長引く咳→滋陰至宝湯など

潤すには白い食べ物

体の中に痰が溜まっているのか、からからに乾いているのか。ここは本当に重要なポイントだと思います。花粉・黄砂・PM2.5は“渇く”と侵入してくるでも紹介している通り、体の免疫機能として呼吸器・気管支を適度に潤しておくことはとても大切なことです。ちなみに肺を潤す食材は、「白いもの」が良いと言われています。白いものと言えばいろいろありますが、昔から喉に良いと言われる大根や梨も確かに白い!漢方って面白いな~とこんな時に思います。