症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/24 (火)

煎じ薬の楽しみ方~煎じながら読むと効果UP!~

煎じ薬が一番です
まずは土瓶に水500mlを入れて煎じ薬を投入、強火で火にかけましょう。


さて、普段から煎じ薬をお飲みの皆様、煎じ薬の袋を破って中身を出してみたことがありますか?

まだという方は、一度は中身を出してみてください。
漢方薬によって生薬のブレンドが変わりますので、当然人それぞれ色と香りが違います。

その中で気になる生薬を一つ摘まんでみて、よく見てください。

あ、食べてはいけませんよ。見るだけです。

それは植物の根でしょうか、葉でしょうか、実でしょうか。それとも鉱石でしょうか。

その一つ一つに大きな力がギューと詰まっています。
感じることができるでしょうか?


一つ一つの生薬はアジア各地の乾燥帯、湿地帯、寒帯、温帯で彼らが一番強い環境で育ちます。
そして、数ある植物や鉱石などから生薬として選ばれるものは稀です。
それだけ貴重であり、また一つ一つが曲者揃いでもあります。当然匂いや味も格別です。
そして乾燥させることでその成分を変化させながら、さらにギューっと濃縮してエネルギーを溜め込んでいきます。

それが今、手にされている生薬です。
 
沸騰したら弱火にして30分
そうして溜め込んだエネルギー(成分)は、煎じることでブワ~っと一気に放出されます。


そろそろ沸騰してきた土瓶の中で、数々の生薬の溜めに溜めたエネルギーが放出され始めた頃でしょうか。

今度はゆっくり放出させながら、エネルギー同士が混ざり合い、変化していく時間です。
そろそろ弱火に切り替えましょう。

別々だった生薬が土瓶の中で、皆様の体に合った漢方薬へと変わっていきます。


それらの生薬を手塩にかけて数年間育てた人がいます。

それらの生薬を懸命に運ぶ人がいます。

安全かどうかを手で触って確認してくれる人がいます。

そして私たちが気持ちを込めて調合して出来上がった煎じ薬。

そして良くなりたい一心で煎じる皆様。

一体何人の人の手が関わり、色んな思いが乗せられているのでしょうか。
それらが土瓶の中で今ひとつになっています。


良い香りは、頑張ったあなたを癒してくれます。

少し鼻に付く香りや苦い味は、これまでのあなたの生活を叱ってくれているのかもしれません。

その日によっても微妙に味が変化するのも、その時の皆様の状態に伴わせてサポートの仕方を微妙に変えてくれているのかもしれません。


時に優しく、時に厳しく。漢方薬は病気に対して身体の適切な力を発揮させてくれます。

素直にその味や香りを受け入れることで、体も良く反応してくれます。
 
煎じる時間は省みる時間
私も以前煎じ薬のお世話になっていた頃、煎じる時にこれまでの自分自身を反省しながら作っていました。

これで全てチャラになるわけではないですが、飲み続けるとそれだけ元通りの自分に近づいていくことをイメージしながら、飲む時は一気にぐいっと飲みます。
そして、ジワ~と身体の中に沁み渡ります。
「あ~、今日もまずい!」と言います。今日も頑張った自分を褒めながら。


煎じ薬が粉薬よりも効き目が良い理由は沢山ありますが、このように自分自身を振り返ったり、色々なものに思いを馳せる時間を与えてくれることも、効果を高める要素の一つです。

やっぱり煎じ薬が一番です。


さて、煎じ上がるまではもう少しかかるでしょうか。

さぁ、今日も気合で飲みましょうね!

皆様の健康を心より願っております。