煎じ薬が一番です
まずは土瓶に水500mlを入れて煎じ薬を投入、強火で火にかけましょう。
さて、普段から煎じ薬をお飲みの皆様、煎じ薬の袋を破って中身を出してみたことがありますか?まだという方は、一度は中身を出してみてください。漢方薬によって生薬のブレンドが変わりますので、当然人それぞれ色と香りが違います。その中で気になる生薬を一つ摘まんでみて良く見てください。
あ、食べてはいけませんよ。見るだけです。
それは植物の根でしょうか、葉でしょうか、実でしょうか。それとも鉱石でしょうか。その一つ一つに大きな力がギューと詰まっています。感じることができるでしょうか?一つ一つの生薬はアジア各地の乾燥帯、湿地帯、寒帯、温帯で彼らが一番強い環境で育ちます。そして、数ある植物や鉱石などから生薬として選ばれるものは稀です。それだけ貴重であり、また一つ一つが曲者揃いでもあります。当然匂いや味も格別です。そして乾燥させることでその成分を変化させながらさらに ギューと濃縮してエネルギーを溜め込んでいきます。それが今、手にされている生薬です。
沸騰したら弱火にして30分
そして溜め込んだエネルギー(成分)は、煎じる事でブワ~と一気に放出されます。
そろそろ沸騰してきた土瓶の中で、数々の生薬の溜めに溜めたエネルギーが放出され始めた頃でしょうか。今度はゆっくり放出させながら、エネルギー同士が混ざり合い、変化していく時間です。そろそろ弱火に切り替えましょう。
別々だった生薬が土瓶の中で皆様の体に合った漢方薬へと変わっていきます。
それらの生薬を手塩にかけて数年間育てた人がいます。それらの生薬を懸命に運ぶ人がいます。安全かどうかを手で触って確認してくれる人がいます。そして私たちが気持ちを込めて調合して出来上がった煎じ薬。そして良くなりたい一心で煎じる皆様。一体何人の人の手が関わり、色んな思いが乗せられているのでしょうか。それらが土瓶の中で今ひとつになっています。良い香りは、頑張ったあなたを癒してくれます。
少し鼻に付く香りや苦い味はこれまでのあなたの生活を叱ってくれているのかもしれません。その日によっても微妙に味が変化するのも、その時の皆様の状態に伴わせてサポートの仕方を微妙に変えてくれているのかもしれません。
時に優しく、時に厳しく。漢方薬は病気に対して身体の適切な力を発揮させてくれます。素直にその味や香りを受け入れることで、体も良く反応してくれます。
煎じる時間は省みる時間
私も以前煎じ薬のお世話になっていた頃、煎じる時にこれまでの自分自身を反省しながら作っていました。これで全てチャラになるわけではないですが、飲み続けるとそれだけ元通りの自分に近づいていくことをイメージしながら、飲む時は一気にぐいっと飲みます。そして、ジワ~と身体の中に沁み渡ります。「あ~、今日もまずい!」と言います。今日も頑張った自分を褒めながら。
煎じ薬が粉薬よりも効き目が良い理由は沢山ありますが、こういった自分自身を振り返ったり、色々なものに思いを馳せる時間を与えてくれることも効果を高める要素の一つです。やっぱり煎じ薬が一番です。さて、煎じ上がるまではもう少しかかるでしょうか。さぁ、今日も気合で飲みましょうね!皆様の健康を心より願っております。