症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/23 (月)

漢方で考える多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

赤ちゃんがほしいけど、生理不順があるから・・・と病院にいくと、この病名を告げられ、色々不安になってらっしゃる方も多いと思います。

多嚢胞性卵巣は、成熟しきれない小さな卵胞が卵巣内にたまって、なかなか排卵しない状態のことを指します。

排卵しないので、排卵誘発剤を使ったり、妊娠希望がなければピルを使ったりするのが一般的な治療です(半年ほどしか効果が持続しない手術療法も行われます)。

原因は、糖代謝の異常とか、男性ホルモンが多いとか、肥満とか、色々いわれていますが、はっきりしたことはわかっていません。

 

漢方では、大きく分けて三つのタイプがあると考えています。

①痰湿・瘀血  卵は育つけど、排卵が遅れるタイプの方。

②腎虚  卵の育ちが悪く、排卵が遅れるタイプの方。

③肝鬱  ものごとを考えすぎてしまってホルモンバランスを崩すタイプの方。

 

①痰湿・瘀血・・・汚れたベトベトしたお水や血液が卵巣のまわりについてしまうとなかなか排卵できません。

原因はA.食生活が悪かったり運動不足が続いている。B.代謝が悪い。

A.食生活が悪くベトベトがたまっている場合は、

温胆湯や桂枝茯苓丸加ヨクイニン・きゅう帰調血飲第一加減という漢方を用いながら、食事を見直し、太っている方は適正体重にしていくとよいでしょう。

B.代謝が悪い方はその原因がどこにあるのかを見極めることが重要です。

例えば・・・冷えて代謝が悪くなっている場合、全身を巡らす力がない場合、などです。それぞれ原因は千差万別ですから使う漢方も様々です。

 

②腎虚・・・「腎」とは生命エネルギーが宿る場所。生命を紡いでいく妊娠・出産はエネルギーが必要です。

そのエネルギーがないと、卵胞がなかなか育たずに排卵しにくくなります。

腎虚の漢方といえば、六味丸、八味丸ですが、それ以外にも「地黄」という生薬が入った漢方薬を用いることがあります。

このタイプは痩せている方に多いですが、病院では「太りなさい」と言われることが多いです。

ですが、どんな人でも標準体重が一番健康的なのかといわれるとそうではないような気がします。

普通に3食好き嫌いなく一人前を食べているのに、痩せている・・・とかあんまり沢山食べられない・・・という方は無理に太ろうとするとかえって逆効果。

大事なのは質の良い栄養で体を満たしてあげること。

ガソリンが悪いと、車の排気ガスも不完全燃焼した燃えカスが出て汚いですよね。それと同じです。

漢方は超質の良いハイオクガソリン。実際に地黄は糖代謝を正常化させる働きがあるといわれています。

多嚢胞性卵巣の原因の一つに耐糖能異常がいわれていますが、漢方の考えと照らし合わせてみても納得がいきます。

 

③肝鬱・・・考えすぎるタイプの方。よく気が付く気配り上手さんにも多いです。

肝という自律神経をつかさどる場所は、子宮ともつながっていて、血液の貯蔵庫です。

貯蔵庫に血液が少ないと緊張やストレス、頑張りすぎなどが続くとすぐに流れが澱みます。

そうすると子宮にも血液が少なくなるので、生理不順となります。

あなたは男性ホルモンが多いから・・・と病院でいわれた方は肝の働きが滞っている可能性が高いと考えます。

ゆったりとした気持ちをもつことと、逍遥散などの肝の流れをよくする漢方で、男性ホルモンスイッチOFF→女性ホルモンスイッチONになるはずです。

赤ちゃんが欲しいと頑張っているときには授かれず、あきらめた途端に妊娠した・・・なんて話、よく聞きませんか?

それは肝鬱によって血のめぐりが滞っていたからなのです。

 

どれか一つだけの原因で多嚢胞性卵巣になっていることは稀で、いくつかの要因があるのが普通です。

一番多いと感じるのは、生まれながらに②腎虚があり、その影響で代謝が悪いために、①痰湿・瘀血ができてしまった。そして、さらに②が長引くとストレスにも弱くなってしまうので、③肝鬱でバランスを乱してしまって、さらに②が進み、自分で立て戻せなくなってしまった・・・。という方 です。

ひとつ、ひとつ、からまった糸を解きほぐすように、丁寧にからだと向き合って、ちゃんと授かれる力を育んでいきましょう!