症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/23 (月)

自律神経失調症に立ち向かう~「気」を整える~

何だか疲れが取れない…

急に涙が流れる…

些細な事でイライラして、人にあたってしまったり…

ドキドキし過ぎる…

眠れない…

めまいや耳鳴りが続く…

息苦しくなる…

 

検査をしても特に目立った異常がない場合に自律神経失調症が疑われます。

 

自覚症状の辛さもさることながら、

通院へのストレスや、周りの方に理解されない辛さもあり、

1人で悩まれてる方が本当に多く、

それがかえって症状を悪化させることにも繋がるケースも少なくありません。

 

漢方での相談件数も多いので、私もこれまで数えきれないくらい相談を受けさせていただきました。

 

その中で、感じている事は、「気」の問題が多いという事です。

「気」を整えるだけで、劇的に良くなる例を何度も目の当たりにしました。

 

「気」は身体全身を巡り、

血液循環や水分代謝、体温調節などをして生命を維持しているものですが、

元気、ヤル気、気が沈むなどの言葉もあるように、感情にも大きく関わるものです。

「気」を整える方法は、

漢方薬で整えたり、

呼吸法で整えたりもできますが、

最終的に一番大切なのは、自分の感情を整えることだと思います。

 

実際、漢方相談も後半になり、

大分表情が柔らかくなった時に、

「今、どうですか?症状は大分楽じゃないですか?」と伺うと、

「あ!そうですね!」と実感できるくらいまで楽になっていることが多々あります。

この時はほとんど治っている状態かもしれません。

 

自分の状態を言葉に出して話していくことで、

「あ、だから病気になったんだ~。」

「だから、こんな感情になってしまうんだな~」

と、体調を崩している原因に気がついた時、

そしてそれを受け入れた時に、

すっと肩の力が抜け「気」が巡り始めます。

そして、

自分で治せるんだ!その力が自分にはあるんだ!と体感した時に、

さらに「気」はのびやかに巡るようです。

 

そうなると別に漢方薬の力を借りるわけではなく、

自分自身の力で良くなっていくものです。

 

治っていく過程には、良くなったり悪くなったりの波がありながらも、

全体として右肩上がりに改善していくものです。

 

この過程で大切なのは少しくらい悪い波がきてもまずは慌てない事。

体は一生懸命立て直そうとしているので、その流れをマイナスの感情で妨げない事。

体の力を信じ、静かに待つことも大切です。

その内にまた良くなってきます。

悪い時ほど、感情をしっかり保つ練習だと思ってチャレンジして欲しいです。

この練習の繰り返しで、将来も病気だけではなく、

自分自身でいろんなことを乗り越える力もつくと思います。

そうやって一つ一つの波を乗り越えていくことで、

着実に「気」を自分自身で安定させられる力がついてくると思います。

自分自身で良くなっていく上で、この過程がとても大切だと思っています。

 

そういった時は、何とか乗り越えて欲しい!と私も力が入りますので、ついつい熱くなってしまうことも多いです。

 

そして、

「あの頃は苦しかったけど、あの経験があったからこそ今がとても充実しています!」

 

そんな声を聞く事ができた時は、この仕事をしていて本当に良かったと思います。

 

 

最後に、

相談される方の多くは、

感じる力や、考える力、思い続ける力、几帳面さ等…。

非常に素晴らしい能力を持っていらっしゃると感じます。

与えられている力を上手に良い方向に使えば、

きっと沢山の人に喜ばれる人になるんだろうなと勝手に想像したりもしています。

 

短所だと思っているところや自分の嫌いな所は、

人とは違う所であり、これこそ長所になりえるのだと感じます。

 

自分らしく輝いていくことを一緒に考えていくなかで、

悩んでいた症状が自然に消え、同時に明るい未来も見えてくる。

 

そんな場面をたくさん作っていけたらいいなと思う今日この頃です。