胃腸が弱い人のむくみ〜六君子湯、五苓散、柴苓湯、防已黄耆湯〜

胃腸が弱い人のむくみ〜六君子湯、五苓散、柴苓湯、防已黄耆湯〜

胃腸が弱い人のむくみ〜六君子湯、五苓散、柴苓湯、防已黄耆湯〜

胃腸が弱いもしくは飲食の不摂生でむくむ人

漢方では水の通り道のことを「三焦(さんしょう)」と呼びます。
三焦とは「上焦(じょうしょう)」「中焦(ちゅうしょう)」「下焦(げしょう)」の3つのことで、どこの部分の水の通りが悪いかで漢方薬を使い分けます。

「中焦」のむくみは、主に胃腸が弱ることで発生します。
消化管では、1日に9Lの水分代謝をしているとも言われており、その異常により水はけの悪い体になっていると考えられます。
胃腸は湿気に弱いという性質があります。
梅雨や高温多湿の夏は、冷たいものを飲んだり食べたりして食欲が落ちる、というようなイメージです。
元々胃腸が弱い方や、暴飲暴食など飲食の不摂生で胃腸が弱り、むくみが出る場合が該当します。
次の項目に当てはまるむくみは、漢方では「中焦(ちゅうしょう)」のむくみと捉えます。

□手足・全身がむくむ
□下痢
□食欲不振
□倦怠感がある

六君子湯(りっくんしとう)

以下の症状に当てはまる方は六君子湯がおすすめです。
□疲れやすい
□食欲低下
□胃腸虚弱
□便が柔らかい
□舌が白っぽい

六君子湯には胃の働きを良くしてくれる人参(ニンジン)や、利尿作用のある白朮(ビャクジュツ)、むくみの改善の効果がある茯苓(ブクリョウ)が含まれているので、胃腸虚弱とむくみを同時に改善する事ができます。

五苓散(ごれいさん)

以下の症状に当てはまる方におすすめです。
□水様性下痢
□水様性嘔吐
□むくみ

文字のごとく5つの生薬
茯苓(ぶくりょう)、猪苓(ちょれい)、白朮(びゃくじゅつ)、沢瀉(たくしゃ)、桂枝(けいし)
が配合されてます。

茯苓、猪苓、白朮、沢瀉、この4つの生薬で「四苓湯(しれいとう)」となります。
胃腸系の余分な水をとるためむくみに使います。
ここに「桂枝」が入ることで、体表面を温めて、胃腸の余分な水に加えて表面の水の流れも整えます。
原書の傷寒論には散剤(粉薬)と記載があり、生薬を粉末にしたものを白湯で服用するようです。
煎じ薬として服用するときは、あまり濃く煎じないなどの注意が必要です。
むくみや水様性下痢に使われることが多く、二日酔いにも使います。
二日酔いと言っても、口の渇きがあり体は脱水症状であるが、胃腸には水分過剰で水分を取ると吐いてしまう二日酔いに有効です。
漢方では水逆という状態で水の流れが悪くなっているタイプです。
二日酔い=五苓散というわけではありません。
小児の嘔吐下痢症で使われることも多く、飲んでもすぐ吐いてしまうので、病院では坐薬として作っている所もあります。
漢方薬は、腸で分解され吸収していく為坐薬は効きがよいでしょうね。
五苓散が作られた頃には坐薬とは考えられなかったでしょうが、進化ですね。
五苓散はむくみの症状改善でも使いますが、長期で続けて服用して体質改善するものではないです。

柴苓湯(さいれいとう)

柴苓湯は五苓散(ごれいさん)と小柴胡湯(しょうさいことう)を合わせたものです。
五苓散は、体質改善を目的に飲み続けるものではないですが、小柴胡湯と合わさることにより体質改善を目的に続けるものへと変わっていきます。
漢方って不思議ですね。
五苓散で水の流れをよくしてむくみを改善し、
小柴胡湯で身体の中に滞っている熱を発散します。
以下の症状に当てはまる方におすすめです。
□下痢、胃腸炎
□ストレスが多い
□イライラ
□目の充血
□アレルギー症状
□肥満

熱をとりながら、胃腸の調子を整えつつ、身体の中の水の巡りをよくするため、むくみや胃腸炎で使われます。
ただし、便秘のある方には、使いづらいです。
五苓散で便秘になることがあるためです。(上記のように長く使わないので、あまり便秘になったと聞かないですが)
あくまでも、柴苓湯を使う場合の目安でありしっかりと体質にあったものを飲まれることをお薦めします。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

以下の症状に当てはまる方におすすめです。
□汗かき
□身体が重い
□膝に水がたまる
□手足がこわばる
□風邪をひきやすい
□おしっこにあまり行かない
□肌のハリが弱い

防已(ぼうい):水の流れをよくする
黄耆(おうぎ)白朮(びゃくじゅつ)甘草(かんぞう):胃腸を整えて気力をUP
生姜(しょうきょう)大棗(たいそう):他の生薬の働きを強める

漢方の考え方の扶正去邪(ふせいきょじゃ)がぴったり当てはまる処方で
黄耆、白朮で体を正そう(よくする)とする力を増やして=扶正
防已、白朮により水の邪気を除去する=去邪
というバランスのとれた体質改善にもってこいの漢方薬です!

漢方の解説の本には、
色白で筋肉が柔らかく、水太りの体質で疲れやすく、汗かき、おしっこは少なく、下半身にむくみや膝関節に水が溜まりやすい人
に使うと記載があります。
全部が当てはまる方は稀で、処方を考えるときに考慮します。イメージはしやすいですね。

体重を減らしたいが、膝も痛く運度はできないという方に防已黄耆湯を飲んで頂いたことがあります。
すんなりと体重は落ち、膝の水も抜けて痛みも和らぎ、足を引きずり気味だったのが、スムーズに歩けるようになられました。

さらに他の症状では、手湿疹(ジュクジュク)の皮膚症状が改善したりもしました。
一つの漢方薬で色々な症状が改善していく・・・不思議ですよね、病名で選ばないのが漢方です。

まだ他の症状にも防已黄耆湯が使われることがあります。
逆に水太り、むくみにも防已黄耆湯以外の様々な漢方が使われます。
専門の所で体質にあわせた漢方を飲まれることをおすすめします。

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