症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2025/10/14 (火)

空白を撫でる

焼け付くような夏を乗り越えて迎えた10月。

書店など店頭では来年のカレンダーや手帳が本格的に続々と並び始める頃です。
夏の足跡を感じる暑い日もありますが、いよいよ来年2026年のことが頭に浮かび始めてきますね。

たくさんの方が生活の中で活用されている手帳。
生活の一部になっている方もいらっしゃるかと思います。
私はここ数年でようやく手帳が日常に馴染んできたなと思えるようになってきました。

これまでも何度も手帳を手に取ってはいたものの、なかなか活かせず書けず、
空白のページをたくさん残して一年を終える…ということを何年も繰り返してばかり。
情けなさと負い目のようなものをずっと感じていました。

そんなことが心の片隅にあるまま何年も経ったつい先日のことです。
本棚に立てかけていたその過去の手帳達が目につき、久しぶりに開いてみようかな
という気持ちがぽつりと浮かびました。
開いてみると慣れていないなりに当時のスケジュール、印象に残った言葉やひらめいたことのメモや
小さな落書き、その日の出来事などが、たどたどしく小さく飛び飛びで書かれています。
まっ白なままのページも記憶の通りたくさん…。

ただ以前過去の手帳を開いた時とは浮かぶ気持ちが少し違っていました。
重い溜息を吐くような気持ちになるかと思いきや、「これはこれでなんだかいいな」と感じたのです。  

当時の出来事や自分の好きなものを振り返れたり、メモした言葉には時間が経った今でもぐっとさせられたり、
空白のページでもそういえばこの時は忙しくしていたなと記憶を蘇らせてくれたりと、ある意味記録になっているなと感じるページもあります。
書いてある頻度は少なくても、ちゃんと「その年の私の手帳」になってくれていました。


出来なかったことばかりに目がいって、自分や手帳にそのことを押し付けて負い目を感じさせていたのは私自身だったのかもしれません。
今こう思えたことは時の流れもあるのか、考えの変化なのか今はまだはっきりとはわかりませんが、
それでも「これもまたいいな」「うまくいかなかった時はそんな日もあるね」
と時には空白も撫でながら、出来たことや、楽しいと感じることに光をあてて
もっと大切にしていきたいなと感じたある日の出来事でした。

今、手帳に書き込んでいる時間はとても楽しい時間です。
気分で自由にいろいろなことを気兼ねなく書き込んでいて、最近はアナログで書くことも心地よくて
仕舞っていた万年筆を引っ張り出したりして、楽しさの幅を広げています。
今年の手帳をこの先見返す時は、どんな気持ちを思い浮かべるでしょうか。
過去の手帳は今日も堂々と本棚に座っています。

日本は四季から二季になったという話をよく聞くようになりました。
それでも秋の深まりを少しでもじっくり味わえたらいいですね。
この季節ならではの楽しさ美しさ美味しさその他にもたくさんのことがやってきます。
書き留めたくなるような素敵な瞬間が皆さまにたくさん訪れますように。