症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2025/06/11 (水)

心に耳をかたむける

2025年も半分過ぎました。

季節も冬、春、初夏と移り変わり、6月21日の夏至は1年で最も昼の時間が長い日です。

この時期はお天気が良いと日が長いですが、多くの地域で梅雨入りしますので
くもりや雨の日が多くなってきます。そうすると、気分も落ち込みやすくなりますね。

子供の頃は大人になれば悩みもなく、自由でいられるものだと思っていました。
現実は全然違うもので、悩みは尽きないです。
些細な悩みもあれば、自分にとっては大きな悩みだったりと様々です。
誰しもが色々な悩みを抱えながら日々を過ごしていると思います。


以前やなせたかしさんの本を読んだ時に、
やなせさんが味わってきた心情を大切にしながら生まれた作品への思いを知って、
アンパンマンが未だに愛されている所以なんだなと感じ、奥深いキャラクター設定とお話の構成に感動しました。

その中にこんなことが綴られていました。


「てのひらを太陽に」という歌詞の中に
「生きているから悲しいんだ」が「生きているからうれしいんだ」よりも先にきているのは、

死んでしまえば悲しいという感情もない。
悲しみがあるからはじめて嬉しさがある。
陰がなければ光はない。だから「悲しいんだ」が先に出てくるのだ。

あの歌詞にこんな想いが込められていたんだなぁ、
やなせさんの経験からくる素敵なメッセージだなと感じてもっとアンパンマンを好きになりました。

喜怒哀楽は当たり前の感情であって、悲しいや辛いなどのマイナスな感情があるから幸せや喜びのプラスの感情を感じられる。
生きる喜びを感じる為に必要なことなのだと感じました。

自分と向き合っているからこそ悩みが生まれるのではないでしょうか。
日々の悩みや問題は私たちが頑張って生きている証だと思います。


また漢方には、「心身一如」(心と身体はひとつ)が基本にあります。

心が疲れたり、不安定になったらまず身体を労わると自然と心も安定したり、楽になったりもします。
堂々巡りをしている時こそ一度悩みや問題を放り投げて好きなことをする。

自分の好物を食べたり、お酒を楽しんだり、いつもより早く寝るのもいいと思いますし、
ゆっくり湯船に浸かったり、気分転換に普段行かないような場所へ足を伸ばしてみたり、
今の自分の身体が何を求めているのか耳を傾けて労わってあげるのはどうでしょうか。
私はそんな時大体、お布団に入って寝たくなります。
気を消耗しているから自然と休息を求めているんでしょうね。

起きるとスッキリして、別の考え方が浮かんできたり、物事がスムーズに進むこともあります。
そうでない時もありますが、まぁいいかと思えたり休んだ分こころに余裕が生まれる感じがします。


悩みがある時や行き詰っている時は心が停滞している状態、
休息以外にも身体の巡りをよくしてあげても気持ちが晴れやかになったりします。
軽い運動やストレッチでも効果的です。
身体を休めたり、動かすことで気持ちにも変化を感じてこういう時に、心身一如を実感します。


梅雨時は天気が変わりやすく不安定な時期なので、気分も落ち込みやすくなる時期、
こころが疲れたらまず身体を労わってあげてはいかがでしょうか。

こころも身体も健やかに日々を過ごせますように。