症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2026/04/23 (木)

原石を磨く

ささっと汚れを落とすなど簡単な手入れはしていましたが、
昨年から靴を磨くことが自分の生活にはっきりと現れはじめました。
きっかけは、久しぶりに実店舗で靴を購入したこと。

インドア気味で、店員さんと話すこともドキドキしてしまう。
オンライン販売、なんてありがたいんだ!と靴も含め身につけるものはネットを介して購入をすることが大半を占めていました。
しかし元々弱かった腰の不調が続き、靴も実物を試着した上でしっかり考えて購入したほうがよさそうだぞと感じ店舗に足を運ぶことに。


当日は自分でもツッコミを入れてしまうほど緊張していましたが、そんなことは杞憂で店員さんはやさしく丁寧に対応してくださり、
無事納得のいく靴を購入することができました。


「腰が少しでも楽になりますように」とあたたかい言葉まで添えていただき、
嬉しくてお店から一歩外に出た時は視界がいつもより明るくなっている気がしました。

買った靴、大事にしよう。
自然とそう思い浮かべていたのです。


履き始めてしばらく、お陰様で腰が楽に感じる日も増え、大事にしたい気持ちが更に湧いてきていました。
手入れ方法を教えていただいたり、自分でも調べたりしてひとまず出来ることをやってみることにしました。

やる気だけは十分。早速はじめていきます。

しかし汚れを落として、用意したクリームのパッケージを見てみると
「目立たないところで一度お試しください」という緊張の一文が書かれています。
試して大変なことになったらどうすればいいのだろう…と様々なパターンの「大変なこと」が頭をよぎります。
えいやとドキドキのひと塗り目。
頭によぎったことは無事妄想に終わりました。
気を取り直してクリームを薄くくるくると塗り、磨いていきます。
くるくる。
ぴかぴか。

さっきまでまごついていたのに、塗り込んだところからツヤが出てくることが嬉しくて、いつのまにか頬が緩んでいました。

磨いている音が響く空間と、ゆったり流れる時間も心地いいです。
そのまま楽しく手を動かして進めていたら、1度靴から抜いた靴紐がなかなかうまく戻せず
また泣きそうになりましたが、なんとか手入れを終えることが出来ました。

靴を手にとって、いろんな角度から眺めてみます。
出来栄えはどれ程のものか、自分ではよくわかりません。
それでも日の光にあたっているツヤツヤとした姿を見ていると綺麗だね、いいね~と言葉が出るばかりでした。そしてなんだかそのことが、そう思えたことがあたたかく染みていく感覚を自分の中で感じていました。

これは一体なんでしょう。

もう少しちゃんとやろうと思い至り、やってみたほぼ初めてに近いお手入れ。
生きていく中で、どこかで「完璧」を求めてしまって、一丁前にプライドが高いのに弱腰な自分がいることにずっと気付き続けていました。
手入れの途中、怖気づいて立ち止まってしまったり、うまく出来ず泣きそうになっていたりしたのも、その一端でしょう。でもツヤツヤになった靴を眺めていたら、何事も原石であって慣れない手つきで磨いてもきらと目に映る輝きは出せるのかもしれないなと感じていました。そしてやはり「楽しい」という気持ちは、考えすぎの頭をなだらかにしてくれるのだなと改めて気付くことができた気がします。
これはなんだと感じたあのあたたかさは、気付いたことによって浮かんだ少しの勇気と、安心だったのかもしれません。

嬉しい気持ちを乗せてもらった靴。

自分の内側にも外側にもあるたくさんの大切な原石。
この先たとえ不器用でも、楽しみながら磨いていけたらいいなと思います。
やわらかな色が溢れ始める春。
生活の中に新しいことが加わっていくことが多い季節ですね。慣れないことが続くと、時にはバテてしまうこともあるかと思います。
そんな時こそ無理せず、ゆっくり休んで心身共にぴかぴかになってくださいね。
原石はいつでもやさしく輝いています。
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