症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2026/03/22 (日)

「目にはみえないもの」

冬の寒さが和らぎ、やわらかな春の日差しを感じるようになってきました。

卒業や異動、引っ越しなど、人や場所との別れに寂しさを感じたり
新たなステージや挑戦、出逢いに、心揺れ動く季節ですね。

特に大きな変化がないという方も、
寒暖差など、気候の変化に揺さぶられ、
心や身体が緊張しやすく、疲れやすい季節。

ほっとする時間を大切にしたいですね。

みなさんはどんなときにほっとしますか?

私は自然を感じられる場所を散歩するとき。
特にこれから桜並木を散歩するのが楽しみです。

ぷくっと膨らむ桜のつぼみに、ぽわっとあたたかい気持ちが生まれ、
淡いピンクの花びらがひらく姿に、心もふわりとやさしい気持ちに包まれ、
ひらりと舞う桜の花びらをみて、なんだか身体も軽やかに感じる。
どうしてこんなにも桜は美しいのでしょう。
私は桜染めのストールを身に纏うことも、ほっとする時間の一つです。

桜染めについて調べると、人間国宝で染織家の志村ふくみさんの本に出会いました。

桜染めは”花びら”ではなく”樹皮や枝”を使うそうです。
美しい色が取り出せるのは、桜の花が咲く直前のころだけ。
そのころ、桜の木は、「木全体で懸命になって最上のピンク色になろうとしている」のだそうです。
幹も樹皮も樹液も、桜は全身で春のピンクに色づいていて、「花びらはいわばそれらのピンクが、ほんの先端だけ姿を出したもの」。


木の幹全体で懸命に桜色のエネルギーを蓄えていることに想いを馳せると、
開花前の桜の木に、そっと触れて、「ありがとう」と伝えたい気持ちになります。

寒い冬の期間、葉を落とし、外見は静かで何もしていないようにみえた木々も、
内側では次の季節に向けて準備を重ねていたんですよね。
そう思うと、自然の生命力は偉大だなと感じます。

中医学には、「天人合一」という考え方があります。

天と人は一つ。

人も自然の一部として生きていると考えます。

わたしたちの身体も、
冬のあいだ、気づかないところで、内側にエネルギーを蓄えてきています。
今はまだ、目に見える変化がなくても
“内側では、春に向かう準備”が進んでる!
そう思うと
自分の心と身体にも「ありがとう」と伝えたくなりませんか。

まだ何かを成し得ていなくても
新しいステージに進もうとしている自分、
新しいことに挑戦している自分、
次へ向けて休息して充電している自分も、
ぜんぶ、等しく尊い"わたし"
そんな自分にやさしくふれて「ありがとう」と伝えたい。

つい、私たち人間は目に見えるもの、結果に意識が向きがちですが、
そんなときは自然の中に身を置くことで、
本来の自分に戻れるような、
自然体に還らせてもらえる感じがします。


目にはみえないものへの感謝の気持ちも大切に過ごしたいですね。
^