河端孝幸の読む漢方

袖振り合うも多生の縁

昨年105歳で昨年お亡くなりになった、日野原先生は、目に見えないものの大切さを訴え続けた方でした。3度ほど佐賀にいらっしゃって、講演を生で聴くことができました。
小学生に向かっての命の授業では「命とは時間。毎日食事をしたり、眠ったり、遊んだり、勉強したり、何かをしているすべての時間、自分の使える時間が命そのものですよ。子供の時には自分のために時間を使う。でも、大人になったら、誰かのために時間を使ってほしい。」とおっしゃっていたと聞いております。
大切なものは目に見えない。目に見えないことこそが大切なのだともおっしゃっております。
日野原先生のお言葉を引用してのコラムは来月も続けたいと思っております。お楽しみに。

目に見えないもの~漢方では気~

目に見えないものこそ大切。この言葉は漢方にも通じる感覚だと私は思っております。
漢方では、体の中で流れているものは「気・血・水」。
血と水は文字通り血液と水分(リンパ液)。気は目に見えないエネルギーで、気がないとすべては動かないと考えられています。気は血の帥(すい)とも言われます。
したがって、もっとも大切な要素が気ともいえます。日本語でも、気力、元気、気分が良い、気持ちがいい、気立てがいい等、気という言葉が多く用いられ、目に見えないものをすごく大切にしてきたことが伺えます。

目に見えないもの~人と人との関係~

「袖振り合うも多生の縁」人との縁はすべて単なる偶然ではなく、深い因縁によって起こるものだから、どんな出会いも大切にしなければならないという仏教的な教えに基づくものだそうです。袖が触れ合うだけでもご縁がある。そのご縁を大切にすることが色々な幸運や、災難にあったときにでも助けてもらえることにつながるものではないでしょうか。
私も九州にご縁があって、来させていただきました。有難い出会いばかりでした。大変有難い諸先輩との出会い。初めて師匠と呼ぶにふさわしい人との出会い。かけがえのない仲間、同志との出会い。言葉に言い表せない有難い良縁でした。
そして、またご縁があり、関東へ拠点を移すこととなりました。すべてはご縁によって人生は動くものでもあると言えるかもしれません。目に見えない、しかし太い絆で結ばれているもの。よく結婚式では赤い糸で結ばれていると表現していましたが、(現在はあまり使われていないようだったので、過去形の表現としております)縁という字が「糸」なのもうなずけます。
そんな縁の繋がりで、世の中すべての人とつながっている。そう考えるだけで、自分ひとりではない。みんな仲間。そう思えてくるのは私一人ではないはずです。
ご縁があって、今の同時期に一緒に生活をさせていただいている。そして繋がっている。なんてすばらしいことでしょう。人生の達人になれなくとも、そう思って人生を歩めたなら素敵ですね。