河端孝幸の読む漢方

盛夏を元気に過ごす

南蛮毛(なんばんげ)

夏の食べ物を挙げると、まず思い浮かぶのはスイカ、キュウリ、トウモロコシ、トマト、ナス、サクランボ、ウナギ、アナゴ、アユ、アワビ、等でしょうか。
七月はまだまだ暑さに耐える力があり、このような食べ物を見て、食べたい!と感じると思います。暑さが本格的に始まる七月は、わりと元気に過ごせると思いますが、八月に同じような食べ物を並べても、暑くて食欲もなくなり、あまり欲しくはないと感じるのは私だけではないと思います。七月中に食べ物でも大いに楽しんで、八月に備えたいですね。
さて、この中で、漢方薬となじみがあるのは、とうもろこし。とうもろこしのヒゲは南蛮毛(ナンバンゲ)といい、厳密には漢方薬ではなく、いわゆる薬草で、お茶として健康維持のために服用されるものですが、利尿、腎機能の改善、むくみ、黄疸(おうだん)、肝炎、胆のう炎、胆石、糖尿病、血圧降下などによいとされています。毒性の少ない安全な利尿剤ですから連続して服用しても副作用はなく、妊娠時のむくみにも効果的に用いられています。

身土不二(しんどふじ)

ここに挙げた食べ物、特にスイカ、キュウリ、トマト、ナス、サクランボはどのような特徴があるでしょうか?
これらの野菜・果物は、身体を冷やす食べ物の代表です。マクロビオティックという食事の考え方で話をすると、身土不二(しんどふじ)という考え方です。読んで字の如く、「身体と土は二つにあらず」という意味になり、身体と土は一緒であり、その土地、その土地でできたその時期のものを食べるのが一番健康に良いという考え方です。仏教の様々な経典にも出てくる言葉で、食事の事とは違いますが、出典は仏教のようです。
要するに、その時その時、その土地で採れた旬のものを摂りなさい。ということですね。

バランスこそ大切

それではなぜスイカ以下の食材が良いのでしょうか。
順を追って説明をすると、

生き物はすべてバランスをとって成長している。
したがって、夏に成長して食べ頃となるものは、自分自身は冷やす性質をもつ。(暑い季節と冷やす性質でバランスを保つ)
夏は暑いため身体は熱くなっている。
身体が熱い時に冷やすものを食べると、バランスが取れるため、おいしいと感じる。

ということとなります。人間はバランスをとって生き、命を永らえています。バランスこそ大切ということが漢方の基本的な考え方でもあります。
したがって、暑いからと言って、あまりに水分ばかり取るのではなく、瑞々しく新鮮な野菜や果物を摂り、余分な熱を冷ましながら、水分補給する事が大切とも言えます。昔は子供のおやつにキュウリやトマトがあったことはまさに理に適っているとも言えます。

夏は太らないように

もう一つ違う話を。
ダイエットに一番適する季節はというと、夏と答える方が少なくありません。イメージ的に食欲がなくなるので、ダイエットに適していると考えがちですね。しかし夏は、暑くエネルギーも消費しやすいので、かき氷やアイスクリームなど、糖分や水分を取ってしまいがちになり、太る傾向があり、少なくともダイエットには向かない季節です。知らぬ間に太ってしまっているというのが夏です。
夏は太らないようにすることが肝要で、太らなければ大丈夫です。秋になって思いっきりダイエットしましょう。秋にダイエットするからと言って、食べ過ぎないようにご注意を!