症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/24 (火)

子宮内膜異型増殖症の予防に漢方

子宮内膜異型増殖症

子宮の内膜を覆っている内膜の全体、あるいは一部が過剰に増殖して、内膜が異常に厚くなる疾患です。

子宮体がんの前がん状態として扱い、2~3割程度ががんに移行すると言われています。原因は女性ホルモンの作用過剰が考えられ、治療としては子宮全摘、子宮温存希望の場合はホルモン治療。

子宮内膜の細胞診で異常があれば子宮内膜掻爬術を行っていきます。

5年前に子宮内膜異型増殖症の診断

46歳、女性。診断後1~2年は経過観察しながら、子宮内膜の増殖が見られたら掻爬術をするというのを繰り返していました。増殖を繰り返すため、1年前からホルモン剤を半年間服用し子宮内膜の状態は改善。治療後3ヶ月毎の検査では異常なしで一安心したものの、今後も内膜が増殖しないように体質改善をしていきたい。次回検査は3ヵ月後の予定。

また、ホルモン剤服用後から生理が来ておらず、病院では心配しないでいいと言われたものの気になっている。10代から手足の冷えもあり、30代からはお腹の冷えも感じるようになり、冷えると子宮や仙骨がチクチクじんじん痛むくらい。生理や冷えも良くなればという思いで、ご相談に来られました。

瘀血

子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫など多くの婦人科疾患を、中医学では血の巡りが悪く滞った状態、瘀血と考えます。

瘀血の原因は様々ですが、血は単独では流れることができず、気の力を借りることで体のすみずみまで行き渡らせることができます。なので、気不足や気の滞りがあると血の滞りに繋がり、もちろん流れる血自体が少なくても滞りを生じます。

また温める力が弱いこと、水の滞りがあり慢性的に冷えることで、血の巡りが悪くなっている場合もあります。血の巡りが悪いと、肩がこる、末端が冷える、むくみ、あざができやすい、目の下のくま、しみ等が見られることが多いです。

冷えの改善

漢方の服用を始めたのは冬の終わり頃、いつもならお腹や腰が冷えて痛みを感じ、明け方冷えて目が覚めることもありましたが、服用から2週間くらいでお腹がすごく温かくなっていて、とても寒い日もそれほどきつくなく過ごせました。その後も気温の不安定な春、湿気の混じった冷えを感じる梅雨時期、クーラー冷えしやすい夏も、今までにないくらい快適に過ごせています。

生理が毎月来るように

漢方の服用を開始した月に、経血量は少ないものの、生理が再開。その後も経血量に大きな変化はありませんが、毎月順調に生理も来ており、以前感じていた生理前の胸の張り、寝つきの悪さもなし、生理痛もなく快適に過ごせています。

子宮内膜の増殖なし

2回目の3ヵ月後検査。内膜の厚みもなく経過良好。次回は6ヵ月後でかまわないとのこと。ほっと一安心。今後もこのいい状態が続くようコツコツ続けていただきたいと思います。

女性特有の疾患でお悩みの方は少なくありません。近年では、女性特有のがんの増加、若年齢化も言われています。女性の体は複雑で繊細だからこそ、病気を部分で捉える西洋医学より、全体で捉える東洋医学が適していると感じます。女性の皆さん、小さい不調はそのままにせずきちんとケアしてあげましょう。