症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/23 (月)

数字からみる体外受精、漢方は併用するべきか?

ART(生殖補助技術)

女性の卵巣から卵を、男性からは精子を取り出し、出会わせて授精させます。その受精卵をまた女性の子宮(または卵管)に戻すという方法です。

医学の進歩ってすごいですよね!ARTは、女性だけでなく、男性不妊がある場合特に有効とされています。戦国武将の豊臣秀吉は男性不妊だったのではないかとの説がありますが、ARTがこの時代にできたなら、歴史は変わっていたかもしれませんね!

しかしながら、この技術も万能ではありません。

体外受精の妊娠率は、20代で35%、30~34歳で25%、35~39歳で15%、40~44歳で8%、45歳以上で2%程度といわれています。

自然妊娠率は、25歳で25%~30%、30歳で25%~30%、35歳で18%、40歳で5%、45歳で1%程度です。

また驚くことに、ARTの出生率(学術的には生産率といいますが(・_・;)・・・)は妊娠率とは大きくかけ離れています。流産率が高くなるためです。

2012年の日本産科婦人科学会のデータでは総治療数あたりの出生率は20代で約20%、35歳で約17%、40歳で約8%、45歳で約0.7%となっています。

体外受精をすれば、だれでも赤ちゃんをさずかることができるということではないことがわかります。現代医学も神の領域には到底及ばないということなのでしょうか。

こんな数字を並べてみましたが、子供を授かったかどうかは、YESかNO、100か0かです。50歳近くなっても妊娠、出産した方も実際にいらっしゃいます。可能性はあると思いますし、それに懸けたいという気持ち、すごくわかります。

体外受精にもデメリットが・・・

通常は1個(多くても2個)しか、ひと月に排卵しないのに、体外受精では、より多くの卵を採卵するため、ホルモン剤を用いることが殆どです。自分の自然に分泌するホルモンの影響をなくして、薬剤の効き目をシャープにしたりもします。不自然なことをすることがスタンダードな治療なのです。

この不自然さも効率よくするためのものではありますが、長期になればなるほど、体の負担は相当なものになります。

体外受精をしていらっしゃる方の多くは、ホルモン剤で卵巣が腫れたり、吐き気などの副作用に悩まされたり、体重が増加したり、経血の色や量が不自然な状態になったり・・・ということを経験します。

 

漢方を併用する意味

個人差はありますが、ホルモン剤を使用すると「瘀血」といってよどんだ血液がたまりやすくなりますので、血行をよくする漢方薬の併用が必要です。

また、多くの卵を短期間につくるため、その素材である「血」「精」が、長く治療をするにつれて減っていきます。「血」や「精」を漢方で補い、また睡眠をしっかりとることが必要です。

こどもは、両親の「腎精」というエネルギーを受け継いでいます。「腎精」が少ないこどもは生まれつき体が弱くなりやすいといわれていますので、お母さん・お父さんの「腎精」をしっかり補っていく漢方をのむとよいでしょう。特に男性不妊の場合は、この「腎精」が足りないことが多いので、しっかりと補充しなければなりません。

そのほかにも、水分代謝が悪く、ドロドロしたお水が多いと、着床しにくかったり、赤ちゃんが大きくなれなかったりしますので、水はけをよくする漢方をのむと良いでしょう。(卵管水腫などがある方はこのタイプであることが多いです。)

体外受精をするから漢方は不要、そんなことは決してありません!むしろ、「漢方は必須」!!と思います!