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KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/05/05 (水)

いまさら聞けないタンパク質~ダイエット編~Part.2

前回の記事〈いまさら聞けないタンパク質~ダイエット編~〉では、ダイエットや健康的に生きていく上でのタンパク質の重要性と推奨摂取量、その他の栄養素の必要性についてご紹介しました。

今回はそれを踏まえて、どのように日々の食事を摂るのがよいのか、ご紹介してまいります。
 
どのように食事を摂るのがよいの?
健康的に体重を落としていくための食事について、カロリー面から栄養バランスを考える方法に、『PFCバランス』というものがあります。

P:プロテイン(タンパク質)・・・15%
F:ファット(脂質)・・・・・・・25%
C:カーボン(炭水化物)・・・・・60%
の略で、これら主要三大栄養素の摂取カロリーバランスを目安にお食事を摂るようにすると、痩せやすい食生活に近づくと考えられています。
例えば、

A)ミートスパゲッティ/野菜サラダ

B)ご飯/味噌汁/サバの塩焼き/ひじきとこんにゃくの和え物

で比較したとき、総カロリーはほぼ同じでも、Aの方が炭水化物と脂質の割合が多く太りやすいメニューになります。

常にきっちりと上記の割合を守るのは難しいので、例えば麺類や丼ぶりもののような炭水化物メインのメニューに偏っていないか意識してみたり、和定食をイメージして献立を考えるとよいかと思います。

消費カロリーを上回る摂取カロリーを摂り続けると太るのはもちろんですが、
摂取する総カロリー数を減らすことだけを考えるのではなく、その内訳がどうなっているのか太りやすいものの割合が増えすぎていないか、を考えることが大切です。
 
食材を選ぶポイント!
それでは、どのように食材を選んでいくのがよいのでしょうか。

ここでは主に、タンパク質と炭水化物についてご紹介してまいります。
脂質は様々な食材や調理過程に付随して摂れるので、特記していません。
 
タンパク質はアミノ酸スコアを意識!
タンパク質を摂取すると体内で分解され、私たちの体を構成していく最小単位、アミノ酸となります。

アミノ酸には全部で20種類ありますが、人の体で作れるものと作れないものがあり、作れないものは食べ物から摂取しなければならず、これらを”必須アミノ酸”といい、9種類あります。

その9種類の必須アミノ酸が、食材にどのように含まれているのか、そのバランスを表したものが、「アミノ酸スコア」です。

100が最もバランスよくアミノ酸を含んでおり、数値が低いほどバランスがよくないということになります。
バランスがよくないと、タンパク質の合成が不安定になります。
安定したタンパク質を作るためには、アミノ酸スコアが100となるように摂るのが理想的です。
肉類や魚介類、牛乳、卵などの動物性タンパク質は、アミノ酸スコアが100です。
植物性タンパク質の代表である大豆や、その加工品である豆腐・納豆・油揚げも100です。
この他の植物の中でも、枝豆やとうもろこし、アボカド、ほうれん草、山芋、さつま芋などはアミノ酸スコア100といわれています。

ただ、肉類などの動物性タンパク質に偏ると、今度は脂質の摂りすぎに注意しなければなりません。
ひとつの食材に偏らないように、魚介類や植物性タンパク質も積極的に取り入れることを意識してみましょう。
 
炭水化物・野菜・調味料はGI値に注目!
ダイエットをしていて気になるのが糖質。
糖質を多く含む炭水化物・野菜・調味料については、GI値に注目して選ぶとよいです。

GI値」とは「グリセミック・インデックス」の略で、食後の血糖値の上昇のスピードを表す指標です。
ブドウ糖を100とした相対的な数値で、高いほど血糖値が急上昇し、低いほど緩やかになります。
血糖値の上昇が過度に起こると、血糖値をもとに戻そうと働くインスリンが過剰に分泌され、脂肪が蓄積されることに繋がり、これが肥満の原因のひとつになっていると考えられています。

つまり、GI値が高いほど太りやすく、低いほど太りにくいということになります。
例えば主食の代表「精白米」「玄米」「五穀米」「うどん」「パスタ」「食パン」を比較すると、GI値が高いものから順に「食パン>精白米>うどん>パスタ>玄米>五穀米」となります。
またこの中で、インスリンの過剰な分泌を抑えられるGI値60以下の食材は、玄米と五穀米のみです。

あなたは普段、どれを召し上がることが多いですか?
できるだけGI値の低い食材を選ぶことができるとよいですが、難しい場合もあると思います。

その場合、主食をお食事の最後に食べるという工夫もおすすめです。
GI値の低い野菜(葉物野菜・キノコ類)や海藻類、タンパク質といったおかずを先に食べてしまい、最後にご飯とお味噌汁やお漬物をいただく。懐石料理のような食べ方です。

ただし、野菜の中にもGI値の高いものがあったり、料理の味付けに砂糖やハチミツを使用している場合は食材そのもののGI値より高くなってしまいます。
料理の甘味付けにはラカントSやアガベシロップを利用したり、漢方みず堂ではご活用される方の多い「漢美爽水」をお食事前に飲むという方法もおすすめです。

詳しい食材のGI値表はご相談時にお渡ししておりますので、担当相談員までお申し付けください。



全てを厳密にやろうとすると疲れてしまうので、頭の片隅に置きながら、できることから取り入れてみてくださいね。
 
食事だけでタンパク質を摂るのは難しい?
では私たちが普段食べることの多いメニューには、タンパク質はどれくらい含まれているのでしょうか?
はじめに例で挙げたメニューで見てみましょう。

A)ミートスパゲッティ/野菜サラダ

B)ご飯(精白米)/味噌汁(もやし・油揚げ)/サバの塩焼き/ひじきとこんにゃくの和え物(ごま和え)

おおよその計算にはなりますが、

A)スパゲッティ 約24g/サラダ 約2g
合計 26g

B)ご飯 約4g/味噌汁 約4g/サバの塩焼き 約16.5g/和え物 約1g
合計 25.5g

となります。

例えば、朝食に食パン 1枚(タンパク質 5.6g)と、昼食にメニューA、夕食にメニューBを食べた場合、1日のタンパク質摂取量は、約57gとなります。

毎日しっかりお食事を準備できる環境であれば、ちょっと意識すれば1日60gは達成できるかもしれません。
もちろんこれまでお話したように、タンパク質だけではなく、全体的な栄養バランスも考えたうえでお食事できるのが理想です。
そして1食でまとめて摂るのではなく、1日を通してこまめに、筋肉合成の仕組みを考えるなら、夕食よりも朝・昼食でよりしっかり摂れることが望ましいです。

そう考えると、一人暮らしやお仕事などで忙しく、食事は手軽なものにしがち…という方にとってはとくに、毎日バランスを考えながら、1日60g、1食あたり約20~30gずつのタンパク質を摂るのは、案外難しいものかもしれません。


そのような方に、毎日安心して美味しくタンパク質を摂る手助けとなるものをと、漢方みず堂で開発いたしました。
ここにご紹介させていただきますので、気になる方はご覧になってみてくださいませ。
食べる×動く=やせやすいカラダ作り!
今回は食事について中心にご紹介してまいりました。

ただ、摂取したタンパク質を効果的にダイエットに活かすには、やはり運動と掛け合わせることが大切です。

動くことで消費するのはもちろん、動いていないときの消費量(基礎代謝)を上げるためにも、筋肉を健やかに維持すること。

そのためには、日々のちょっとした運動の積み重ねが効果的ですね。

取り込んだ良い栄養を活かして、良いカラダを作りましょう!



[参考資料]
『新しいタンパク質の教科書 健康な心と体をつくる栄養の基本』上西一弘 監修
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