症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/09/14 (火)

潤いと防御を大切に

体の中から潤いが奪われていく秋は
・体内の潤い(陰液)を養う
・体表面の防御する力()を補う
この二つを大切に、意識して過ごしてみてくださいね。
以下、できることから始めてみましょう。

*早く寝る

夜更かしは潤いを消耗します。「秋の夜長に…」とは言いますが、眠っている間に潤いが補給されるので、乾燥対策には早寝が一番です!
夏より少しでも早くお布団に入れるといいですね。

*ゆったり落ち着いて過ごす

中国には「心静自然涼」という諺があり、「心が落ち着いたら自然に身体も涼しくなる」という意味だそうです。「身体が涼しくなる」とは、「イライラと落ち着かない(煩躁)状態が鎮まる」ということです。
活動的な夏から物静かな秋へと、自然とともに心も身体もゆったりと落ち着きましょう…。

*つばを飲み込む

呼吸や皮膚などの機能を主る「肺」は全身への潤い補給を担い、下半身の機能を主る「腎」は水瓶のような働きを担っています。そのため「肺」の乾燥により「腎」の潤いも減るのです。「腎」の潤いが減ると、骨や記憶力、髪の毛などに不調が現れます。
この「腎」の潤いを補う方法のひとつに、唾液を飲み込むという秘策があります!
「腎」は加齢により弱りやすいため、特にご高齢の方は舌を回したりよく噛んで食事することで、しっかり唾液を出し、そしてその唾液をしっかり飲み込むことで、骨の強さや、記憶力、そして髪の毛の維持を助けてくれます。飲み込む力を維持するトレーニングにもなりますよ!

*潤いを補うものを摂る

白い食べ物は、肺の潤いを補うと言われています。のど鼻やお肌の乾燥が気になる方、お通じが硬くて出にくい方はお食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。また甘酸っぱい秋の果物も潤いを養ってくれます。

[温める性質] 白ネギ、松の実、アンズ、ミカンなど
[中間の性質] 豆乳、里芋、山芋、白キクラゲ、銀杏、ブドウ、イチジクなど
[冷ます性質] 豆腐、レンコン、大根、百合根、白ごま、梨、柿など

皮膚炎やのどの腫れなど、炎症のある方は冷ます性質の食材を少し意識するとよいでしょう。
炎症や熱感のない方は加熱調理したり、ネギ、生姜、紫蘇などの温める食材と一緒にどうぞ。

*気を補うものを摂る

胃腸を元気にしてエネルギー補充することで、乾燥や冷えから防御する力も高めます。秋に美味しい食材がたっぷり!
[米、さつまいも、里芋、栗、カボチャ、人参、きのこ類、レンコン、サンマ、イワシなど]

*適度に運動・身体を冷やさないこと

涼しく動きやすい季節ですが身体の中の潤いは不足しがちのため、運動はあまり汗をかかない程度にするのが自然に合った過ごし方です。
汗をかいた時は冷えを防御する力が低下するため、まずは早めに汗を拭き取り、体を冷やさないようにすること。気温が下がるこれからの時期は、特にこの冷えが膝や関節の痛みに繋がりやすくなります。レッグウォーマー・アームウォーマーなどを上手に使って膝や関節などは涼しい風に直接当たらないよう注意しましょう。