症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/24 (火)

当帰芍薬散はお酒で飲むのがベスト!?~傷寒論より~

酒は百薬の長!?
西洋のお薬では、「お酒と飲むのは避けて下さい」と説明を受けると思います。

実際、西洋薬は単一成分のものが多く、服用後吸収されると、肝臓で代謝(分解)されて全身に巡ります。

その際、アルコールと一緒に飲むと、薬ではなくアルコールを先に分解するので、薬が効きすぎてしまうからなのです。
 
漢方の世界ではお酒も薬
漢方の世界では、実はお酒も漢方薬。

気を通し温める働きがあると言われていて、一部の漢方薬を煎じる時や服用する時に使います。
 
傷寒雑病論と当帰芍薬散
「傷寒雑病論」という漢方薬の古い文献に、

1.婦人懐妊腹中こう痛するは当帰芍薬散之を主る。

2.婦人腹中諸疾痛は当帰芍薬散之を主る。

という文があります。

1 は、女性が妊娠してお腹が痛むときは、当帰芍薬散がいいですよ。

2 は、女性のお腹の様々な痛みには当帰芍薬散がいいですよ。

という意味。
とにかく妊娠中飲んでいれば安心でき、出産時も痛みも少なく産後のあらゆる病気にもなり難い。と書かれています。


また、この傷寒雑病論という本には、漢方薬の煎じ方、飲み方も細かく書かれています。

その中でこの当帰芍薬散には、
「お酒(お猪口1杯分くらい)と混ぜて1日3回服用して下さい」と書かれています。
妊娠中ですので、あくまでもお猪口一杯です。
 
当帰四逆湯・当帰四逆加呉茱萸生姜湯で煎じ方が違う
また傷寒雑病論には、

1.手足がひどく冷えて脈が細く絶えそうなのは、当帰四逆湯がこれを主る。

2.もし病人が平素から冷え症のものは、当帰四逆加呉茱萸生姜湯の服用が宜しい。

という文もあり、
1 は通常通り水で煎じるように書かれているのですが、

2 の煎じ方はそうではなく、
「水と清酒を半分ずつで煎じ、これを5回(以上)に分けて温かくして飲んで下さい。」
とあります。



人を見て、症状を見て、組み立てられている漢方薬。
奥深いものがありますね。
この記事を読んでいる方は、以下の記事も読んでいます