めまいと漢方〜自律神経失調症・更年期障害・ストレス〜

めまいと漢方〜自律神経失調症・更年期障害・ストレス〜

めまいと漢方〜自律神経失調症・更年期障害・ストレス〜

西洋医学的なめまいの原因

めまいの出方は2パターン。

○回転性めまい・・・自分や周りがぐるぐる回るように感じるめまい

○浮動性めまい・・・グラグラ・ふわふわ、揺れるようなめまい、立ちくらみ

めまいが起こる主な要因は、平衡感覚をコントロールする機能のどこかに問題が生じた時です。
平衡感覚に関わるのは、位置情報をキャッチする「感覚器官」(耳、目、手足など)と、その情報を受けて指令を出す「脳」です。
複数の感覚器官からの情報を処理して、平衡感覚が保たれていますが、その情報がちぐはぐな場合、「脳」は正しい平衡が分からなくなり、めまいが起こります。
めまいの原因は、問題が起きている場所によって大きく3種類に分けられます。

が原因のもの・・・良性発作性頭位めまい、メニエール、前庭神経炎、突発性難聴など

が原因のもの・・・脳梗塞、脳出血、脳腫瘍など

耳や脳以外のもの・・・頚性めまい、高血圧、低血圧、貧血、肝機能障害、甲状腺機能低下、自律神経、ホルモンバランスの崩れ、心因性ショック、過労、発熱、薬剤性など

この中で最も多いのは、耳が原因となるめまいです。
耳には、平衡感覚を感知するために特に重要な、三半規管や耳石器があります。
その為、炎症や水腫など耳で何かしらの問題が起こると、めまいにつながりやすいです。
一方、診断がつかないめまいも多く、20%ほどあるようです。

西洋学的なめまいの治療法

めまいの治療は、その原因となっている疾患の治療を行います。その為、治療法は様々です。

○耳が原因のもの・・・良性発作性頭位めまいでは、耳石を元の位置に戻すリハビリ。メニエールでは水腫を除く利尿剤、前庭神経炎、突発性難聴には炎症を抑えるステロイド、など。めまい発作の急性期には、前庭機能抑制薬、制吐剤、精神安定剤などめまいを鎮めるための対症療法を行う。

○脳が原因のもの・・・腫瘍や緊急の場合は外科的手術、血栓による場合は血栓溶解療法、予防に脳循環改善薬など。

漢方的に見た「めまい」の要因

気血不足(きけつぶそく)・・・気が不足すると脳へエネルギーが届かず、神経の伝達が鈍ることで、めまいを起こす。また、血不足により脳を滋養できず、栄養の欠乏状態からめまいに。気不足、血不足は連動して起こることが多い。このタイプのめまいは、体力がない人に多く、活動すると悪化する。ふわふわ、くらっと倒れそうなめまい。

腎精不足(じんせいぶそく)・・・脳を満たす「髄液」、これは「腎精」から作られる。加齢などで「腎」の力が弱くなると、髄液を十分に届けられず、脳の働きが弱くなっていく。物忘れ、難聴、低音の耳鳴りなどと共にあらわれてくる。くらくら、ぼーっと意識が遠のくようなめまい。

痰濁中阻(たんだくちゅうそ)・・・「脾」や「肺」が代謝できずに滞った水は、どろっとした性質の「痰濁(たんだく)」となり、気血の通り道を塞ぐ。巡りが悪く、きれいな気血が脳へ届かないため、ぼんやりするめまいを起こす。「痰濁」という錘(おもり)を抱えているため、体が重だるく、頭重感、気圧変化で頭痛、胸辺りの痞え感、口の粘つきなどを伴う。「痰濁」があると嘔吐を伴う。

肝陽上亢(かんようじょうこう)・・・「肝」は気の巡りをコントロールするところ。興奮気味な人、ストレス、季節の変わり目など、「肝」の陰陽のバランスが崩れると、陽気が異常な急上昇に走り、血圧上昇、頭痛、のぼせ、めまい、高音の耳鳴りなど上部の熱症状を起こす。突然、立っていられないくらい激しく出るめまいが多い。

瘀血内阻(おけつないそ)・・・「瘀血」は血流の滞り。血の質も、巡りも悪い状態。血をどろどろさせる食生活や運動不足、冷え、他に、打撲など外傷でも「瘀血」が作られる。「瘀血」は気の巡りも妨げる。脳へ気血がスムーズに届かないため、めまい、立ち眩みを起こす。特定の場所に激痛が生じたり、急な体勢変化でめまいが起こりやすい。脳卒中はこのタイプ。

めまいは「風(ふう)」と捉える

熄風(そくふう)剤とは体の中に風が吹いている状態(内風)を鎮める薬のことを言います。
風が吹くと木の上の葉がゆれますね。
それと同じように人間の体の上部に症状が現れます。
それが、耳、目、頭の症状として、耳鳴り、難聴、めまい、頭痛として現れます。

人間も自然界の一員。自然と一体となって生きている。
したがって、自然という大宇宙の中に人間という小宇宙が存在する。
東洋医学・哲学で言う「整体観」であり、「天人合一」の教えの出だしでもあります。

だから自然と同じことが身体の中でも起こる。
イライラ身体がざわつくと、風が生じる。
どういう事かと言えば、色々な悩みだったり、心が落ち着かなかったり、焦っていたり、いわゆるストレスが多い状態になると、
あたかも自然界の中の木々の葉がざわざわ揺れ動くかのように、心がざわつき風を生じ、上にあがってきて、症状を呈してくる。

漢方は理屈ではなく感性の世界。
葉がざわつき始めそれが徐々に上ってきて、木々の葉を揺らす。
もう少したとえてみると、寒い日の川面から湯気が立ったり、暑い日のアスファルトから逃げ水が昇ったりするのと同じことが身体の中でも起こっていて、
それが皮膚に出てくることもあれば、やがて身体の上部に出てきて、めまいや耳鳴り、頭痛になる。

このように考えることのほうが何か科学的と感じませんか?
想像する世界の真骨頂です。

話を戻しますが、体の中の風(内風(ないふう)と言います)はなぜ生じるかというと、
「肝」の異常で起こると考えます。
肝風内動といい、肝という臓器は漢方では自律神経や、ストレスと非常に関係深く、また血液を貯める臓器です。
したがって、めまいや耳鳴り、頭痛の症状のほかに、肝の異常、つまりは自律神経系統の興奮であったり、しびれやけいれんが生じやすくもなります。

「風」のタイプは4つ

風の状態により4種類に分かれ、
1)肝陽化風(かんようかふう)
肝を動かす力(陽気)が異常興奮になり、感情の高ぶりや急激な頭痛、めまい、耳鳴り、血圧上昇、こん睡等の症状が起こる。

代表的な漢方薬は釣藤散がある。

2)血虚生風(けっきょせいふう)
肝の血液を貯める機能に不都合が生じ、血液が不足して起こる。
血液をつくるもとは食べ物で、消化吸収するところは漢方的には脾。
この脾系統の消化吸収能力を上げることも肝要となる。

主な漢方薬は抑肝散がある。

3)陰虚内風(いんきょないふう)
血液を貯める肝系統と、水分をつかさどる腎系統の不足により体全体の水分が不足して風が生じる。
自然界で言えば逃げ水的なこと。
潮熱(ちょうねつと読み、熱が出たりひいたりを繰り返すこと)や手足のほてりや寝汗の症状も出やすくなる。

主な漢方薬は六味丸がある。

4)熱極生風(ねっきょくせいふう)
熱性病の最盛期に起こるようなけいれんや意識障害を伴うもの。

主な漢方薬には羚羊角鈎藤湯がある。

この中で慢性的な耳鳴りめまい頭痛に特に関係があるのは、肝陽化風、血虚生風、陰虚内風です。
それぞれ、微妙な体質の変化により使い分け、この3種のうちにもまた数種類の漢方薬があります。
ぜひ専門のところでのご相談を。

自律神経失調症からのめまい

39歳の女性
【症状】
#動悸
一年くらい前から、月に1~2回寝る前に動悸や息苦さを感じる。
横になれば15分ほどで落ち着くことが多く、原因は甘いものやコーヒーを摂った時や、曇りの日に多いような…でもはっきりとした原因は分からない。
#めまい、耳鳴り
今年に入り、ほぼ毎日、立ちくらみとめまいが起こるようになり病院で検査しても異常がなく、医師から「自律神経が原因では?」と言われた。
毎朝、仕事中に突然くるクルクル回るようなめまいと、キーンという耳鳴り、聞こえづらくなる耳の圧迫感。
思い通りに体が動かないことでストレスを感じ、仕事にも支障が出る…そうすると気持ちに余裕がなくなり、周りに当たってしまう。
#パニック障害
ひどくなり始めたころと同じころ、車の中や、映画館など暗くて狭いところが苦手になってきた。
不安感が強い。
【体質】
ここ1年疲れやすい、寒がり、手足冷え、頭痛、体・足が重い、顔と足のむくみ、耳鳴り(高音子供のころから)、のどのつかえ感、便秘下痢交互、小便夜間1~2回、寝つき悪い、熟睡感なし、生理痛、PMS(2年前からイライラ)

肝風内動(かんふうないどう)

漢方的には、まず基本的に脾胃気虚(ひいききょ)といって、胃腸が虚弱。
そうすると体に栄養や潤いを与える「血」が不足します。
血の不足の影響が顕著にでるのは「肝」です。
そこにさまざまなストレスが積もり積もって弱った肝はコントロールがきかなくなり、肝風内動(かんふうないどう)が起こります。
気が体の上部でグルグルしてしまう状態なので、めまいや動悸が起こります。

漢方服用経過と呼吸法

漢方を飲み始めて2週間、夜中に息苦しい感じはあったけど、動悸とめまいが出てない!
1ヶ月後、1日だけ動けないくらいだるい日があったけど、動悸がからくるイライラ感、不安感は減っている。周りへ当たることもなくなってきた。
2ヶ月後、3日間くらい夜に動悸があったけど、めまいはでてないし、それ以外も調子よい!
2ヶ月半後、息苦しさが減ってきている。体調が良いせいか、気持ちにも余裕がでてきて、ストレッチなど体を動かし始めた。大きな音はまだ苦手だけど、車の中でも不安感は感じなくなってきた。

深呼吸は自律神経のバランスを整える効果もあるため、最初にお伝えしてから、ずっと実践されています。「リラックスするからすごくいいですよ。」とお話しされていました。

原因不明のめまいが2週間で改善した例

【体質】
フワフワ感
眠気
ぼーっとする
ホットフラッシュで汗が出る
胃が弱い
体力がない

肝陽上亢(かんようじょうこう) と痰濁中阻(たんだくちゅうそ)

胃は飲食物を消化してエネルギーを取り込んだり、水分を捌いたりするところ。
この消化吸収や分配する働きが弱い「脾虚」のために、水分がうまく代謝できず、余分な水が溜まりやすくなっていました。
そこにストレスや疲れがのしかかり、さらに拍車をかけてしまったのでしょう。
「脾」では過剰な水(痰濁)を溜め、他方では、過度のストレスが「肝」の働きを失調させ、エネルギーの流れを逆流させた結果(肝陽上亢)、痰濁を頭部へと押し上げ、血圧上昇とともにめまいを起こしたのだと思います。
めまいが落ち着いた後も、頭部に残った痰濁は、血流を妨げて、ふわふわ感、眠気、ぼーっとする感じを招いたり、ホットフラッシュの汗としてあふれ出る元になっていました。
そこで、「脾」の水分代謝を助け、「肝気」の流れを下へと戻す働きがある漢方を飲んでいただいたところ、2週間後には、めまいも疲れもホットフラッシュもすっかり良くなりました。
歯痕あり

季節の変わり目に繰り返すめまい・耳鳴り

70代女性
#めまいと耳鳴り
4~5年前、ひどいめまい、ふらつきから倒れてしまった。
その時は吐き気もひどく、耳鳴りもひどかったが、2日間寝てとりあえず改善。
しかしその後、年に1~2回の頻度でめまいと耳鳴りが起こるようになった。
薬を飲んで2日間くらいでよくなっていたので気にしていなかった所、今回は薬を1ヶ月飲んでも治らない。
絶えずゴーゴーと聞こえ、このままではノイローゼになってしまいそう。

春は肝の季節

季節は4月で丁度暖かくなる時期。
大体春と秋と季節の変わり目の時に調子を崩されているようでした。
春は季節的に『肝』の気が高ぶりやすい季節の為、それによる自律神経の症状などが起こりやすいです。さらにこの『肝』は『風』の影響を受けやすくこの時期、身体の中で『風』が起きやすくなっています。

この方もご家族の事で心配事があり夜も寝つきが悪いと言う事で自律神経と身体の中から起こる『風』によるめまい・耳鳴りが起きたと考えられました。漢方は平肝熄風の漢方を飲んでいただきました。

「風」は急激に変化する

漢方を始めて2週間、音がとても小さくなってびっくりした。
1ヶ月後、ふらふらは時々、音も波がある。
2ヶ月後、きついときはふらつくが、それも時々くらい。耳鳴りは今はほとんど感じない。

実は「風」は急激に変化をもたらす性質があります。逆に言うと、風による病気は早く良くなりやすく、今回の例でもすぐに改善しました。
今は少量で維持しつつ、季節の変わり目などの悪くなりやすい時に量を増やして養生しています。自分の身体の事が徐々に分かってきたことも自信に繋がってきているようです。

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