症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/23 (月)

僕の愛する柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

症状ではなく体質で選ぶ

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)は、自律神経失調症、不眠症、不安神経症、パニック障害、動悸、耳鳴り、不妊症、湿疹、アレルギー性鼻炎、中耳炎、蓄膿症、眼の病気、歯槽膿漏、腎炎、気管支喘息、糖尿病、肝炎、胃潰瘍など、昔から非常に多くの病気に使用されてきた漢方薬です。

おそらく私の漢方人生で一番多く使ってきた処方ではないかと思います。こう書くと、一見万能薬のようにも思えますが、ある条件を満たさなければ効果はありません。ここが漢方薬の良いところであり、難しいところでもあります。

漢方特有の病気の捉え方というものがあり、不安神経症にしても、耳鳴りにしても、皮膚炎にしても、表面的に現れている症状が、どうして起こるのか?引き起こしている体質的な原因は何か?と考えていくと、実は異なる病気でも体質的な原因が一致する事がよくあります。そうすると異なる病気でも同じ漢方薬で治療する事になります。これを異病同治といって、漢方治療の大切な原則の一つとされています。

つまり、症状や病名ではなく、原因となっている”体質”に合致することが処方選定の条件になります。症状に注目するよりは、どこのバランスがどう崩れているのか?に注目して、パズルをはめるように漢方薬を選んでいくとピタッとはまって上手くいきます。

柴胡桂枝乾姜湯はどんな人に合う?

柴胡桂枝乾姜湯の体質は、心身の緊張が強くなったことがきっかけで、常に気持ちが落ち着かない、不眠や情緒不安定、水分代謝の異常(アレルギー症状やむくみ)、血の巡りが悪化(様々な婦人科疾患)といった気血水の巡りが悪化した症状が出ている状態。少し内気な性格、普段から体を冷やす飲食が多い、胃腸が冷えている人が慢性的なストレスを受けていることが原因となることが多いです。

普段から遠慮しがちなので、ストレスがあっても言いたい事も言えず、でも納得も出来ず、心身ともにモヤモヤして、イライラ感や不安感・緊張感、また緊張から口の中がやけに乾いてきたり、頭に汗をかきやすくなったり、小便が遠くなったり、動悸がしたり・・・お腹でドキドキすることもよくあります。

柴胡桂枝乾姜湯は現代向き

柴胡桂枝乾姜湯は以下の生薬のブレンドとなっています。

心身の緊張を解きほぐす、柴胡・黄芩・桂枝・牡蠣

胃を温めて、余分な水を流し元気もつける、乾姜・甘草

緊張から来る渇きを潤す、括蔞根

ストレス社会で、体を冷やす果物や白砂糖食品、生物が年中いつでもどこでも食べられる現代には欠かせない漢方薬の一つで、きっとこの漢方薬が出来た2000年前よりも今の方が活躍しているのではないかと思います。

様々な悩みですでに漢方薬を試されている方も、これから試そうと考えられている方も、是非ご自身の体質にピタッと合う漢方薬と出会って頂きたいです。その出会いを私達も精一杯応援しています。

 

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