症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/25 (水)

風邪をきっかけに味がしない・匂いがしない

風邪をきっかけに匂いが分からない

最初の印象では、笑顔のたえない元気な女性!という印象でしたが、実はここ最近、味覚は少しはわかるけど、匂いがわからないという事を気にされていました。

思い当たる原因としては、3ヶ月前に風邪(咳・鼻水)をひかれ、病院に行っても良くなったり悪くなったりを繰り返している。

そして同じ時期に耳に塞がっているような感じがあり、病院での診断では中耳炎やアレルギーでしょうと言われたものの改善せず・・という状態でした。

この状況をきいて、一緒にご来店されていたお姉様はますます心配でいっぱいのご様子でした。

ご本人も、これから仕事が忙しくなるので、早く元気になっておきたい!との思いでした。

風邪を引くとなぜ味や匂いがしなくなるのか?

漢方では「傷寒論」に「少陽の病たる口苦く」「陽明の中風は口苦く」とあり、少陽病・陽明病で起こる症状です。

少陽病とは風邪を引いて発熱し4~5日経った頃のこと。症状で言うと、微熱、食欲がない、鼻詰まりなど。確かに、風邪を引いてすぐの頃よりも、数日たって熱が下がった頃に胃腸の不調や鼻詰まりがひどく、口の中が何となく苦く、味や匂いがしなくなりますよね。

こんな時は、清熱和解法と言って、炎症をとって解毒するもので改善します。その典型的な例がこちら→味覚異常・味がしない~清熱和解法~

根本的な脾胃気虚からくる味覚障害

今回の方も風邪をきっかけに症状が出ていたので、清熱和解法でもよかったかもしれません。

しかし、今回の方は体質として、華奢で食が細い、 風邪をひきやすい、寒がり(冬はカイロを全身に貼る)、汗かき、立つときに腰痛、最近動悸が時々ある、上腹部が冷たい、お腹がゴロゴロなる、寝つきが悪く夢もよくみる 、というように典型的な「虚証」でした。

元々胃腸が弱い「脾胃気虚」の方が大病などをするとさらに胃腸の働きが低下し、味がしなくなることがあります。今回もまずは根本的な胃腸の働きを元気にする漢方薬をお飲みいただきました。

時間がかかるという予想に反し

漢方をスタートされて一週間後には、落ちていた食欲が出てこられました。

20日後にはお仕事が忙しくなってきても、身体は元気に動けている状態でした。

そして1ヶ月後、中耳炎も良くなり、匂いもわかるようになられていました!

その後も疲れも出られず、元気にお仕事をされていらっしゃいます。

正直、脾から元気にしていくには時間がかかると考えていましたが、早く良い方向に向かわれたのでとても嬉しかったです。症状が長引く前にご来店頂いてよかった!!と思いました。

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